外伝2 涙を拭いて歩き出せ
次回予告で主人公復活を予定していましたが、その前にもう1つ外伝を投稿。
ミレアの話
異国の服を着た人がいた。黒い目、わずかに茶色が入った黒の髪。何もかも珍しい。それでいて、優しい人だった。私が、ゴブリンから逃げる時に、私は躓いた。その時、異国の人は、抱きかかえて助けてくれた。
母様も、私が躓いて転んだら、こんな感じに助けてくれるのだろうか。
異国の人はすごく疲れた目をしていた。怖くて声をかけづらかったが、ぐううという音を聞いてお腹が空いていることがわかった。
私は、鞄の中から干し肉を取り出して、上げた。そしたら、異国の人は綺麗な色が出る不思議な道具をくれた。
それから、綺麗な紙に綺麗な花の絵までくれた。それなりの物を触れた私でも、びっくりするほど上質な紙だ。
私は上質な紙をまがらないように鞄の中に入れ、ボールペンは綺麗な布に包んだ。
そのあと、声をかけることができなかったが、異国の人は見捨てればいいのに、ジャイアントベアーから私を救ってくれた。
そのあと、雨をあまり通さない異国の服をかけてくれて凍えることなかった。まるで、母様に抱きしめられているようだった。
そして、私は精霊たちの祝福に出会った。狩人の間で有名な伝承で、出会えた人は幸運を手にすると言われていた。
あまりの綺麗な光景に私は感動した。それに対して、異国の人は寝てしまった。
私を守ってくれたからだと思う。
そのあと、私は異国の人の名前を知った。名はコウノトリ。
すこし発音しにくいけど、見ず知らずの私を救ってくれたのだ。絶対に忘れてはいけない名前だ。
コウノトリは、どこか不安そうにしていたが、精霊の祝福を見たのだからきっと大丈夫だと思った。だから、私は手ぶり身振りで大丈夫だよと伝えたけど、寝ていた。私が寝ている間、ずっと起きていたのだと思う。仕方がない。
コウノトリとの対話は大変だけど、楽しかった。聞いたことない異国の言葉だけど、私はコウノトリと話したくて覚えようとした。
無事にゲーレ村についたら、落ち着いてコウノトリの言葉を覚えたかった。
けど、それは叶わなかった。精霊の祝福を見ても幸運じゃなかった。ジャイアントベアーに襲われた次の日は肥沃なる者に出会ってしまったのだ。
コウノトリは私を逃がしてくれた。でも、1人で逃げたくなかった。
「……」
死んじゃいやだと思って、コウノトリの戦いを見ていた。コウノトリは強い肥沃な者にたいして果敢に戦っていた。
多くの冒険者が束になってやっと倒す相手なのに、恐れずに戦っていた。だから、自分にできることをしたいと思って走り出した。
ゲーレ村に行って助けを呼ばなきゃいけない。私は走った。転んで手を擦りむいても涙が出ても走った。
すると、明かりが見えた。盗賊の可能性もあるが、私は大きな声で叫んだ。魔法で、小さな火を付けたり、消したりした。冒険者が使う救難信号だ。
明かりは徐々に近づいて、それが止まると私は安堵した。
「ミレア様」
ゼクスが来たからだ。ゼクスは騎士の中でも強い。馬に降りて私に歩み寄るゼウスに私は縋り付いて、
「助けて、コウノトリが死んじゃう」
と言う。
「落ち着いてください」
ゼウスは私の肩を掴んで言う。
「肥沃な者と戦っているの」
私がそう言うと、ゼウスは真剣な顔つきになって
「ミレア様を助けた人だ。見捨てるわけもいかない。それに、肥沃な者を、ほっとくわけにもいかない。失礼ですが、案内をお願いできますでしょうか」
私はゼクスの馬に乗って、コウノトリがいるところに向かった。
そして、私は見た。まだ、コウノトリが戦っている。早く助けなきゃいけないと思った。
でも、そんな必要なんてなかった。コウノトリは肥沃な者を倒したのだ。
私は、ゼクスの馬から降りると、コウノトリにかけよって
「死なないで」
と言った。
左手をコウノトリは出した。私は掴もうとすると灰となって消える。
見ず知らずの他人なのに、何で、助けたのだろうと思いながら私は涙を流した。
「――――――」
異国の言葉で何かを言っている。その意味はわからないが、優しい目をしていた。
そして、コウノトリは消えた。あの人の残す物は何もなかった。残ったのは、鞄の中に入っていた絵といろんな色がでる不思議なボールペンという道具だ。
「ミレア様……」
「行こう」
私は両手で涙を拭いた。他人の助けてくれたコウノトリ。私はこの人を子どもに語り継ごうと思った。だから、ここで立ち止まっていけない。
私は、泣きそうなのを耐えながら、歩き出した。
今度こそ、主人公復活です。
あと、か、感想を書いていただけると……更新が早くなるかもです。