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第21話 神殿の主を鎮める時

 ついに、鎮める時がやってきた。

 悪魔を繋ぐ神殿に戻ると悪魔の巫女の姿が無かった。いつもいるはずの彼女がいなくて寂しさを感じる。


 けど、そんなに慌てることじゃない。とりあえず、ロイドのところへ行くことにした。

 ロイドは、私がくると作業をやめた。


「どうやら、勝ったみたいだな」


「勝った」


「それで、何の用だ」


「魂を使って装備を強化してほしい」


「ああ、いいぜ」


 私は得た魂を使って装備の強化を図った。見た目は変わらないが、威力が上がっているらしい。


 装備の強化を行って、装備を渡す際に

「負けるじゃねぇぞ」

と言う。


「……うん」

私はそう言って、ロイドの元を立ち去った。


 焚火のところに戻ると、不死者の水を補給。自分で武器の点検を行う。


 そして、悪魔を繋ぐ神殿の主のところへ向かう。


 主へ続く階段を上る最中、重たい空気を感じた。今まで感じたことのない重圧だ。


 それでも、歩みは止めない。


 主のところへたどり着くと、あいかわず……奴はえらそうだった。


「待っていました。よく、悪魔の力を持つ王を倒しました。さぁ、封印の為に魂を捧げてください」


「……断る」


 私は奴の要求を拒んだ。こいつには従いたくない。


「……そうですか。やはり、悪魔の力を持つ王に吹き込まれたのですね」


 悪魔を繋ぐ神殿の主は残念そうに言う。


 それに対して、私は死んだ目でこうこたえる。

「いいや、私の意思だ。そして、気になるんだ。悪魔の力の持つ王は誰に負けたのかと……」

 ついでに、自分の疑問も投げかけた。


「……感がいいのですね。いいでしょう、相手をしましょう。この玉座の裏にある隠し通路の先で待っています」


 主はそういうと姿を消した。どうやら、敵は悪魔を繋ぐ神殿の主のようだ。


 玉座の裏側を確認すると、確かに隠し通路があった。階段を下りて、上って霧があった。霧を抜けると、悪魔の巫女が檻に入れられていた。


「魂を捧げよ。悪魔の力は我が王の者です」


 そこには、背中に翼が生えた悪魔のような姿をした存在がいた。ゴーグルには、悪魔を欲する王と表示されていた。


 そして、振る舞いも力もすべて王にふさわしい力だった。ラベールはこの圧倒的な力の前にひれ伏したことが理解できた。


 30秒も立たずに私は灰にされた。



 目が覚めると悪魔の巫女はいなかった。冷たい床で寝ていた。ものすごい喪失感だ。

 私は立ち上がって、悪魔を欲する王の元へ行く。


 結果は惨敗だった。HPを削ることすら叶わなかった。悪魔の力を持つもの。それに対して、それを支配しようとする存在はそれ以上の力を持っているのだろう。


 けれど、私はあきらめない。


「また、きましたか」


 相手はあきれたような声で言う。


「魂を捧げなさい。さすれば、解放されます」


 相手の誘惑に耳をかさずに戦う。よくわからないけど、本人の意思がなければ悪魔の力は得られないようだ。


 なら好都合だ。何度だって戦ってやる。


「諦めなさい。あなたは勝てない」


「なら、勝てるまでやる」


 私はあきらめない。今までと同じだ。強大な敵に対して、何度も戦って知恵を使った戦う。


 私は……休むことなく挑み続ける。まだ、かすり傷すら負わせてない相手に何度も挑む。


 この時は、私の中にいる獣は何も叫ばない。たぶんだけど、悪魔の巫女が恋しいのかもしれない。


 何度目かの戦いをしたのか数えてはいないが、相手のHPを少しだけ削れた時はうれしかった。すぐに……倒されてしまったけれど……。


 でも、やっと……倒し方がわかった気がする。相手の動きを探って追い詰めるだけでだ。


 それに対して、悪魔を欲する王は問いかける。

「なぜ、あきらめない。なぜ、戦い続けるのですか」


 答えは簡単。だから、私は言ってやる。


「不死者だから」


 死なないから、戦いつづけられる。例え、力で勝っても魂では負けない。やられるたびに、私は少しづつ強くなっていく。


 何度も挑戦して……徐々にHPを削っていく。


 そして、最後の一撃まで悪魔を欲する王を追い詰めた。けれど、敵の攻撃を受けて吹き飛ばされる。痛くて、起き上

がるのが辛い。


 とどめは来ない。代わりに、来たのは問いかけだ。


「……理解ができない。辛くないのですか」


「辛いさ」


 私はそう言いながら、地面を這う。


「あなたの行動は無意味です」


 価値観はいろいろある。受け入れられないのもあるけど。無意味じゃない。


「あなたは悪魔の手先となるのですか」


「鳥は自由だ」


 あと少しで、散弾銃に手が届く。


「来るな」


 相手は初めて怯えを見せた。


「これで、終わり。安らかに眠れ」


 私は散弾銃を手にした。慈悲なんてない。


どん


 私は悪魔を欲した王を撃った。


 それと同時に、白い灰となって消えた。私は手元には悪魔の力を手にできなかった王の魂を手に入れた。



―――

 悪魔を手にできなかった王の魂


 かつては人でありながら、自分が悪魔になったことに気が付かない愚かな王の魂。

とある悪魔を欲しました。自分が悪魔になって願いを叶えているのも気がつくこともなく……

そして、あと1歩のところで、悪魔を手に入れることができました。でも、ただの人によって夢は壊れました。


―――



 もう願いはかなっていたのか。欲張りだ。世界を滅ぼしてまで手に入れようとするものじゃない。

 私は、上を向いてため息をついた。

 終わった。だから……悪魔の巫女の元へ行こう。私は鳥かごに足を向けた。



 結論から言うと、主人公はとんでもないことをしています。

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