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第20話 悪魔の力を持つ王とは?

 言葉はいらない。ただ、戦いだけがまっている。

  悪魔の力を持つ王が自分だったということに、驚いて……その場から動けなくなる。

 

 次に考えたことは……私は何度も同じことが来るかされているのかと思った。では、私は何度も何度も同じ過ちを繰り返しているのかもしれない。


「……自分に打ち勝ったようだね」


 背後を見ると倒したはずのフードの被った悪魔の力を持つ王がいた。

「……」

「どうやら、混乱しているんだね。今までの戦いから……君を作り出した。悪魔の力を持つ王なら簡単にできることさ」


 どうやら、私は何度も繰り返す無限の円環とかにはいないようだ。


「……君が戦い続けた価値はあるのか。悪魔を繋ぐ神殿の意味が何かわかるかい?」


 その問いに、私は何もしらないと感じ、散弾銃を握りしめた。


「戦う前に話をしよう。その間に武器を拾えばいい」


「……」


 信用できるかわからない。けれど、爆発ハンマーは回収しておきたい。私は相手を確認しながら、ゆっくりと爆発ハンマーを回収した。


「それじゃあ、話をしよう。かつて、悪魔の力を手に入れようとした王は悪魔に戦いを挑んだ。結果的には、手にいられた。でも、それは世界の崩壊へと繋がる。結果、抵抗した人たちがいた。長い戦いの始まりだ。ある人は世界の崩壊を防ぐために、楔となった。ある人はすべてを終わらすため力を蓄えることを選んだ。この長いあいだ、悪魔の力を支配しようとした王を誰も倒すことができなかった。そう、私でもだ」


 悪魔を繋ぐ神殿の主から聞いた話と似ているが、相違が見られた。

 それから、悪魔の力を持つ王の手には、1本の剣が握られていた。その剣は、私のレベルを下げた剣だ。

 剣を眺めながら、悪魔の力を持つ王は語る。


「悪魔を繋ぐ神殿は、悪魔を支配するための魂を生む場所だ。そして、私たちはそれと戦う存在だ。君も気が付いているはずだ。もはや、君も人じゃない。悪魔の力を持つ者なのだよ。故に、君は悪魔を支配になる可能性を持っている。そして、それは私を倒したことで証明できる。もし倒せなければ、世界の崩壊の楔という運命が待っている」


 役者のように悪魔の力を持つ王は剣を地面に突き刺す。


「もし、私が証明できたらどうなるんだ」


「それは戦えばわかる。はじめよう。不死者らしい戦いを……」


 悪魔の力を持つ王はフードを取り去った。

 そこには、悪魔の力を持つ王ではなく、鎧を着こんだ男がいた。体のサイズも私と同じぐらいだ。右手には剣、左手には盾を持っていた。


「私の名は、ラベール・イノン。かつて、悪魔の力を持つ王と呼ばれる前の私で戦おうじゃないか」


「……」


 だん


 私は銃を撃って先制をした。


「名を名乗らないか。君は騎士じゃないだね」


 盾でガードされた。一気に接敵して、横に回り込む。


「早い。けれど……」


 洗練されたラベールの攻撃。それを槍鋸のノコギリ状態で受け止める。これで、刃こぼれを狙えるはずだ。


「そのギザギザしたものは厄介そうだ」


 距離を取って、投げナイフを投げてきた。右へステップ回避する。


「そこだ」


 回避先を狙って、ラベールの鋭い突きが襲う。散弾銃を構える余裕がない。けれど、散弾銃を振って避ける。


「やれるさ」


 私はそう言って、反撃をする。戦いは地味だった。今まで人知を超えた戦いが多かったが今までの戦いと比べると地味だった。


「君は何回、死んだ。君はどれだけの命を奪った」


 ラベールの問いに私は答えない。生き残りたいからだ。そして、たとえやられても何度でも立ち上がってやる。


 自分の持てる全力のぶつかり合い。早く終わりたいという気持ちが生まれてくる。


「……」


 攻撃の手が緩む。吸い込まれるように私に剣が振り下ろされる。それを、無意識で散弾銃で打ち込む。


「気が緩んだと思ったが、フェイクか」


 ラベールはそう言っているが、私の集中力はもうない。そもそも、戦ってから3分もしないうちに集中力は散漫である。


 ただ、何度も戦っていることで体が自然に動いているだけである。


 相手は疲れた様子はない。こっちは、すごく辛い。


「……」


 辛いけど、敵の攻撃に当たりたくないから、必死に避ける。今までの戦いの結果である。集中ができない私の特性。だから、自然に体が反応するまで訓練するしかなかった。


「今だ」


 敵に隙が生まれた。その瞬間だけ、私のわずかな集中を行い追撃。その一撃は鎧の隙間に張り込み、ラベールの肉を切り裂いた。


 私は武器を手放して散弾銃を足元に放つ。基本は上の攻撃に気が取られるから、有効だった。相手はバランスを崩す。


 私は、空いた左手で短銃を抜いて、敵に打ち込んだ。相手は盾で防ぐ。


 私には辛い集中を行って敵に接敵した。敵は、倒されないようにと膝を突きながら攻撃をする。それに対して、シンプルであるが故に対処が難しい攻撃。

 それを私は散弾銃でそらしながら、左手を獣化し、手に炎を灯した。


「燃えろ」


 私はラベールの鎧を砕きながら、内臓を燃やした。


「――――――――――」


 ラベールは叫んだ。そして、剣を地面に突き刺して膝をついた。HPを確認すると0になっていた。


「……どうやら、私の負けのようだ。誇るがいい、王の資格を持つ者よ。そして、選ぶがよい。誰に魂を捧げるかを……」


 ラベールはそう言って、灰となった。そして、100000という数の魂と悪魔の力を持つ騎士の英雄の魂を手に入れた。あまりにも、あっけない地味な幕切れだった。


―――

悪魔の力を持つ騎士の英雄の魂


 英雄と呼ばれた騎士は、命を犠牲にしてすべてを救う。そして、不死者だった彼は、解放されることなく悪魔の力を得る。しかし、騎士は敗北し、王となる道を選ぶ。


―――


 敗北という言葉に、私は何かあるような気がした。そして、彼の墓標のように床に突き刺さった剣。私はそれを拾う気になれなかった。


―――

 魂の集合剣


 多くの魂を得て、強大な力をえることができる剣。解放の時を待ち、魂を集める剣。しかし、この剣の悪魔の力を支配しようとする王を倒す力はいまだにない。

―――


 ゴーグルに表示された説明を見て、さらに取る気がなれない。


 私は剣を拾うことなく、来た道を戻った。エレベーターを乗り、奴が何に負けたか考えた。


 すると、これで終わりでないような気がした。悪魔の力を支配しようとする王が残っている。


 だとすれば、それは何処にいる。


「……」


 残るは、悪魔の巫女がいる……悪魔を繋ぐ神殿。


 確かめよう。私は焚火の前で膝をついて、祈り……悪魔を繋ぐ神殿へと戻った。


 






 次回、1つの終わりを告げる戦い。

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