第18話 私と悪魔の巫女の獣
私と巫女の獣のいちゃらぶな話。
むぎゅむぎゅもあるよ。
ついに、悪魔の巫女がデレる。やったね。
悪魔の繋ぐ神殿に戻ると、悪魔の巫女が体育座りをしていた。かわいい。
「おかえりなさい。あなたが悪魔の使者を倒したことで王へと続く道が開けました」
「じゃあ、王を倒せばここを出られるの?」
「はい、出られます。あなたが望めば外へと出られます。ですが……王との戦いは過酷なものとなることでしょう」
「わかっている」
自分の手を眺めながら答えた。悪魔の巫女は私の手を両手で優しく包み込むように触れた。
「私はあなたの苦労を直接見てないのではっきりとは言えません。でも、あなたなら戻ってこれるような気がするのです。私の願いを叶えてくれそうな気がするのです」
「……戻るさ。だから、待っていて」
私は顔を上げた。悪魔の巫女の表情は優しそうな顔をしていた。ただ、表情に変化はない。悪魔の巫女と手を繋いだ状態で私は焚火までくる。
不死者の水を飲んで、空腹を満たす。悪魔の巫女が私に肩を借りてくる。アタタカイ。コノママ、ワタシハ……。
手を握りしめて、炎を眺めて目を閉じた。
綺麗な星空が見えた。獣がいた。
「……」
「クライタイナラ、クラエ」
「うん」
「ナノニ、クラワナイ」
「人でありたいから」
獣は私に襲い掛かって来た。
「オマエハワタシダ。イシニシタガエ」
「シタガウヨ。けど、私がおまえなら……私のこともわかるはず」
私は獣を抱きしめた。
「私は、あなたを認めるから……、あなたも私を認めてほしい」
獣は私を突き飛ばした。
「……ダメ?」
私の問いに獣は苦しそうにしていた。
そこに白い獣が現れる。白い獣は、私の獣に寄り添う。あれは……そうか。あれは、あの人の一部。
「ありがとう」
白い獣にお礼を言うと私は、別の景色を見ていた。
どうやら、夢を見ていたようだ。
「おはようございます」
私は悪魔の巫女に膝枕でなく、後ろから抱きしめられていた。
「……」
背中にやわらかいものを感じる。それに引き換え、自分の胸の無さを感じる。たしかに、わずかな柔らかさはあるけど……たゆんたゆんしていない。
「おはようございます」
私は首を少し動かして、悪魔の巫女の顔を見ながら言う。どうして、彼女が私を抱きしめてくれたのかわからない。ただ、よく寝られたきがする。
「……」
「……」
目と目が合う。顔を近づければキスができそうな距離だ。綺麗な桜色の唇の柔らかさと温かさがどんなものなのか。少しだけ、胸がどきどきした。
私は……前を向いて彼女にキスをすることはしなかった。たぶん、悪魔の巫女は無言で受け入れてくれると思う。
けど、それはしてはいけないと思った。彼女の自分の意思は無いような気がする。
「さてと、行くよ。次はどんな場所なんだろう」
私は、心を奮い立たせるように言った。
「悪魔の力を持つ王は、霧の境界の彼方の城にいます」
「そうなんだ」
王と呼ばれる存在だ。やっぱりお城にいるのだろう。私は彼女に抱かれながら、レベルアップを行った。
―――
名前:鸛 小夜
職業:狩人(不死者)
レベル45
HP:659
スタミナ110
体力:14
持久:11+9
筋力:11+9
技術:10+6
心:7+11
不思議:7
能力:不死者の錬成、道具理解、無限収納、他者観覧不可
―――
レベルアップを終えると、彼女から離れて不死者の水を補給。私は霧の境界の彼方の城へと向かうために石碑の前へと行く。
石碑の前に来ると、4つ目の宝石が輝いていた。
これが最後の場所だ。私は宝石に触れた。私の視界が変わる。
私の眼前には、巨大な塔のような城があった。
主人公と悪魔の巫女の関係は、言葉にならない謎の関係でなりたっています。
次回は新しい舞台での戦いだよ。




