第14話 英雄ロゼッタ
熱血主人公修行回の始まり。
修行者の火山に付くと、木々の無い火山が目の前にあった。目の前には山道がある。私のいる場所は、山の麓と思われる場所だろう。
木々に覆われていた。奇襲される可能性がある。私は槍鋸を左手に、散弾銃を右手に持って先へ進むことにした。
山道は森になっていて、薄暗い。今のところは何も見えない。道は緩やかな坂道になっていて上りやすい。
途中、急な坂になっていて、紐を使って上る場所があった。しかも、道幅がせまい場所で紐を話したら落ちそうな道が道中にあった。
周囲に敵の気配は感じられないが、いつ襲われるかわからない恐怖におびえながら山を登る。
けど、敵と遭遇することなく霧が見えた。山道の先にあるに霧が立ち込めていた。この先を抜けた先に何かが待っているのか用意に想像できる。
選択肢はない。私は霧に飛び込んだ。
「……」
深い霧を抜けた先には、広い空間が広がっていた。周囲は霧に覆われている。霧に触れると、ゴムのように押し戻される。
まるで、ドームの場所にいるような感じで、中心には剣が突き刺さっていて、その隣には鎧を着た人がいた。
ゴーグルには英雄ロデッサと表示され、赤いメーターが表示されていた。悪魔の下僕でなく、悪魔の使者だった。
「―――――――――――」
英雄ロゼッタは、叫び声をあげ、地面に刺さっていた剣を抜いた。剣は、私の世界でいうならば両手剣と呼ばれるサイズの大きなもなのだが、それを片手で軽々に持ち上げて、肩に担いだ。
ゆっくりゆっくりと英雄ロゼッタは私との距離を詰め、ある距離までくると左へと動く。
「……」
英雄ロゼッタの動きに、私は警戒をした。だらんと力を抜いた状態は、いつでも攻撃ができる状態を示している。
それから、私に一直線に来ないのは何かしらのカウンターを警戒している可能性がある。
つまり、相手は戦に対して何か考えているということだ。たぶん、私を観察しているのだろう。
それに対して、わたしも同じだ。目の前の敵は私よりも大きい。200㎝はあるだろう。体が大きいということは、それだけ攻撃の範囲が伸びる。大きいと動きが鈍くなる、大きな的になりやすいというが、それを補うだけのアドバンテージがある。
あと、ここまで敵のサイズと動きの速さが比例してないことが多い。つまり、場合によっては……。
「!」
敵が飛びあ上がった。早い。
相手は体の大きさに似合わない素早さで攻撃をしてきた。
「がはっ」
私は剣の攻撃に当たって叩きつけられる。反応が遅れた。敵の体格と剣のサイズから攻撃範囲外だと思っていたのが間違いだった。
敵にとっては、あの距離が一足一刀の間合い。つまり、私に攻撃できる範囲だったということだ。
つまり、すぐに立ち上がって、距離を取必要がある。
相手は地面に叩きつけた剣を左へと振り払った。
不死者の水を飲む余裕がない。後ろにステップして、右手に持っている散弾銃で撃った。
相手が怯んだ。わずかに敵のHPを削った。
英雄ロゼッタの動きがわずかに止まって、追撃の手も止まる。
「はぁはぁはぁ」
HPは半分以下になっている。どこかで不死者の水を飲まなければ、次に攻撃を受けたら灰になる。
だとすれば、相手に合わせて攻撃に合わせて飲むしかない。槍鋸を納刀。鞄の中から不死者の水を取り出した。
けど、すぐに飲まずに、私は手に持っている散弾銃を撃った。
だん
私の攻撃は当たらなかった。英雄ロゼッタは回避したのだ。
前から地面に飛び込み、素早く前転して立ち上がる。ゲームだけでしかないと思っていた回避を、英雄ロゼッタは実演してみせた。
「まずい」
とんでもなく機敏だ。鎧を着ているのに早い。しかも、英雄ロゼッタは、何の予備動作もなくジャンプし、そのまま、一気に急降下しながら剣を振り下ろす。
どんな原理で、こんな素早い攻撃ができるのか気になるが、私も右にステップして回避。次に攻撃が来る前に散弾銃で応戦した。
ばん
どごごぉん
地面に剣が降り押される音と銃声が同時に鳴り響く。
相手は体制を崩した。私で敵を殴って距離を取った。
「……」
HPは減ったが痛そうな感じはしない。やはり、不死者だ。私も敵の攻撃に怯んだりするがHPが減るまで体を動かすことができる。
普通なら、痛みで動けなくなったり、骨が折れて動けなくなったりするのだ。それが、動くのだ。
ファンタジーはやっかいだ。
私は素早く不死者の水を飲んで鞄の中にしまって、武器を持って構える。
先手は敵が取ったが、これで同じだ。
相手が距離を詰めてきた。私も前にステップして接敵。散弾銃を撃ちながら槍鋸をノコギリ状態にして剣を持つ手に攻撃をしかける。
それに対して、英雄ロゼッタは銃弾を撃つのに合わせて回避。攻撃を仕掛ける。
「がはっ」
私と敵の攻撃は同時と言えるだろう。失ったHPは私が攻撃を与えたことで回復したが、それ以上の攻撃を仕掛けてきた。
左手で私の顔を掴み地面に叩きつけた。あまりの痛さに散弾銃を手放した。抵抗できない。
私は何度も地面に叩きつけられて、投げ捨てられた。
ごろごろと地面に転がる。だが、HPがわずかに残っていたので立ち上がれる。激痛だ。けれど、そのあとは無い。攻撃が終わると痛みが引く感じがして立ち上がれるのだ。
槍鋸を槍状態にして構えた。
敵が予備動作なくジャンプ。それに対して、私は槍鋸で突き刺そうと試みる。
結果は空中で、剣を使って槍鋸が弾かれ、私は体制を崩された。
「ごほっ」
口から血を吐いた。
「……」
HPが0になって体が灰になる。
私は英雄ロゼッタに敗北した。その強さは英雄と呼ばれるのにふさわしい強さを持っていた。
目を開けると悪魔の巫女の顔が見えた。
「……おかえりなさい」
「ただいま」
私は起き上がった。
「……行ってくるね」
私はそう言って、歩き出した。英雄ロゼッタに再挑戦するために山に登る。山に敵は出ない。だから、安心して私は山を登れた。ただ、魂が手に入らないので自分を強化することができない。
つまり、敵を倒すにはステータスに頼るのでなく技術で乗り越えるしかないということだ。
ただ、私は山に登りながら考える。あの動きに対して攻撃する隙が感じられない。
「……」
私は立ち止まって周囲を見回した。霧によって綺麗な景色は見えない。ただ、山には霧がかかってないのか、よく見える。
「まずは……回避からだ」
私はそう思って英雄ロゼッタの元へ行く。そして、相手の動きを覚えることから始めた。もちろん、時々攻撃できるように銃だけは持っておく。
結果は長く持たない。とりあえず、攻撃前は遅い。でも、攻撃をすると決めたら強烈な速さで攻撃してくる。
「ぐふっ」
しかも、剣以外の攻撃も行ってくる。私が攻撃を回避したら、左手で私の顔を掴んで地面に叩きつける。
強烈な力で抵抗することができない。そのまま、踏まれて剣で攻撃されて終わった。
「……」
悪魔の女神に膝枕されていた。
「行ってくる」
私はそう言って、山に登る。そして、私は4回目以降ぐらいから山を登る数をかぞえるのをやめた。
何度、やられたかわからない。
「私は人で、天才じゃない……」
私はそう言いながら、英雄ロゼッタへと戦う。何度、灰になろうと……人である私が英雄ロゼッタに勝つに相手を理解するしかない。何度も、痛みに耐えながら倒すしかない。
ここまでくると、ゲームをやっているみたいな気分になってくる。死なないというのは、大きな強さだ。これだけが、他の人とは違った大きなアドバンテージだ。
私が、英雄ロゼッタに勝つためにはこのアドバンテージを使うしかない。
数えきれない戦いの中で、私は確実に英雄ロゼッタを追い詰めていく。
戦いの中で、避ける以外に武器を受け流すことも覚えてきた。敵の攻撃の瞬間に散弾銃を撃つことで相手をけん制できるのだ。
タイミングはシビアだが、何度も練習したのだ。相手の隙を作るには、これができなければいけない。
次に敵の行動パターンを理解して、攻撃タイミングを覚えた。不確定要素の部分を除けば、かなり攻撃を避けられるようになっていた。
あとは、相手のHPをゼロにするだけだ。
「……ん」
のこりHPが3分の1ぐらいになったところから、雰囲気が変わった。周囲が暗闇に覆われ、敵が見にくくなる。
さらに、攻撃の手数も増えている。休む隙を与ええてくれない。
「……まずい」
HPがなくなるまで、行動パターンは変わらないと思った。けれど、戦いかたを変えてきた。自分の最後の手を晒したのかもしれない。もしくは、これを使わざる相手と認識されたのかもしれない。
「……やれるさ」
私はつぶやいて回避に専念した。まだ、灰になっていない。生きている。そして、相手の動きが鈍くなった。
HPが減って、あと1撃の状態になっていた。私はとどめを刺そうと、槍鋸を槍状態にして近寄る。
「……」
私は止めを刺せなかった。納得できなかったからだ。私は、不死者の水を差しだした。英雄ロゼッタは顔を上げた。
不死者の水を受け取ると、それを飲み干す。HPは回復した。よくわからないけど、私の中でこの人の全力の状態で勝たなければいけないと感じていた。
英雄ロゼッタは、鉄のボトルを他紙に差し出した。私はそれを受け取ると鞄の中にしまった。相手は、待ってくれた。英雄ロゼッタは武器を構えた。
私も武器を構えた。再び暗闇が現れる。私は全力で英雄ロゼッタにぶつかった。結果は、敗北だった。英雄は強かった。
英雄つよーい。あと、お気に入りありがとうございます。