人権剥奪~1日目~
調子に乗って次話出してしまいました。
誤字脱字、ご指摘お願いします。
毎度1000字超えたあたりで投稿してるちびちび投稿者です。3000文字とかは書きたいんですが筆者の文才では不可能だと悟りました。
人権剥奪
・人権を剥奪された人間は一匹の高等知能生物ヒト科の生物として扱う。
・人権を剥奪された人間に対する暴行は必要に応じて認める
×× ××
「ようこそ地獄へ」
地獄。比喩的表現ではなく、現世に存在する地獄は日本国の人権侵害防止法に抵触した「物」達が目撃する。
「...先輩は体験済なんですか?」
「あぁ、四日目だ。だが、地獄の意味を理解するには4日も要らない」
質問する桐己に素っ気なく弥太郎は答える。
×× ××
特別隔離生徒指導室。通称:独房。人権侵害防止法が制定されてわずか3ヶ月足らずで全ての学校に設置された。
民衆は殆ど、同時期に起きた2020.7.24。東京オリンピックの開会式に行われたテロにフォーカスを固定していた。そのテロの手口は今までのテロとは違う手段で行われたのも相まって民衆はこの事件に注目していた。火事場泥棒のような手口だが、このテロに便乗するようにしてこの人権侵害防止法案は可決された。このテロを利用したのか、はたまた意図的か――――。その真相を知る由は無い。
人権侵害防止法について批判する人間も確かに居たはずだ。が、この法案が可決されたと同時にその派閥はたちまち姿を消した。
ある噂によれば、抹殺された。等と、情報が錯乱する中で一人の政治家が記者会見を開いた。
ある意味、その噂は正しかったと言うべきだ。
「最近可決された人権侵害防止法について批判した団体はこの提案者である私の人権を侵害する恐れがあるとして永久人権剥奪を行った。」
――――法に触れれば消される――――
――――死にたくなければ関わるな――――
民衆はこの記者会見をきっかけにその法を見ないふりをするようになった。
学生にもその噂はすぐに伝わり。その法を恐れた。
ニュース等あまり見ない年頃の学生でさえなぜその法を恐るのか。
被害者が出たのだ。
人権侵害防止法に反対していた人物の中には大学生も混じっていた。
しかし、その大学生すら姿を消している。
人権剥奪に年も男も女も関係ない。
得体の知れない恐怖。これが学生を支配していた――――が。
時は経ち、やがて社会はこの法に適応しはじめていた。学生とて例外ではない。
人権剥奪者に対しての暴力や暴行、脅迫等は日常茶飯事となりつつあるのだ。
人権剥奪者にはそれに対する拒否権、抵抗する権利を持たないことをいいことに。
人権剥奪者に対する処罰はエスカレートしていった。
×× ××
「人権剥奪。それは人間として扱われない。それの本質がいかに残酷か。それは身をもって思い知るさ。」
弥太郎は言う。
「生き残る為には何だってしなくちゃいけないんだ。」
警告をする為に。
奇しくも、その警告の意味を知る事になるのはその直後である。
対話を続ける2人が感じる外の世界の空気。涼しい空気。
「おー、出てこいや、そこの人権剥奪者。2匹」
「な、まだ僕は勉強を――――」
視界がひっくり返る。とはこの事だと身をもって知った次の瞬間には地面に屈服していた。
顔には遅れて鈍い痛みが走る。
「うっせぇんだよ、せっかく一ヶ月動物になってるんだから勉強なんかせずに――」
「サンドバッグにでもなってろ」
そこで桐己の意識はログアウトした。
×× ××
「...」
弥太郎は知り合ったばかりの人権剥奪者、多岐 桐己の暴行を目の前にして何も出来ない。
「....」
慣れている。人権剥奪からまだ4日だがもうこんな光景は何度も目にしてきたし、弥太郎自身も被害にあっている。
助けようとすればそれに言いがかりをつけられて永久人権剥奪をされかねない。
1ヶ月の我慢。1ヶ月の我慢じゃないか。
そう思う弥太郎だが、気を失ってもなお殴り、蹴られ虐げられる桐己を直視できなかった。どのみち飽きたら弥太郎が暴行を受けるのだ。
人権剥奪者に生きる権利はない。
すべての権利を失うという事はこういう事である。
後書きまで見ていただき感謝の意を申し上げます(テンプレ)
えー、人権剥奪ですかねぇ、こんな未来有り得そうだから嫌です(被害妄想)