17◆◆落 涙◆◆
会議の邪魔だと第一王子殿下に半笑いで摘まみ出され、王宮の一室で軟禁状態。
王妃様が『マーティングのせいだろうけど、王宮でその格好はダメですよ』的な伝言付きで寄越した護衛メイドと侍女達により、強制湯浴みから強制おめかしまで強制フルコースを強制的に堪能させられた。
王妃様から直々に出向かれたので身構える。
「……まずは…マーティングの一方的な婚約の破棄について、あれの母としてそなたに詫び申す」
あくまで、王妃様ではなく個人の親としてゴメンねって事だった。叱責系では無かったので一安心。
婚約破棄についてはコチラがお礼したいぐらいなので頭を下げさせてしまって却って申し訳ない。
表面的な遣り取りを済ませ、護衛メイド達を残して他の者は退室させる。護衛メイド達に念入りな周囲の人払いを命じた王妃様。
「私は王妃という地位にありながら、この帝国での権利など無いに等しい。他国の方々との違いようを見れば、聡いそなたは分かるであろう?この国の価値観は古いと」
少し疲れたお顔で、王妃様の末妹が他国へ嫁いだ話をされる。姉妹の中で一番仲が良く今も文を交わしているそうで、末妹から他国と帝国の差違を細やかに指摘されたらしい。
「…………そなたのばぁやから聞いたのだが」
ばぁや!?あなたいつになく無謀な方向に活動的ですけど、本当にどうしちゃったの!?
「そなたが父君に語った内容、まさに私の末妹の指摘そのものよ。だからこそ、私は戦慄した。外に出てその差違や奇異に気づくのは難しくないが、内に居ながらに気づける者が出るほど…この帝国のやり方が時代にも民の今後の有り様にそぐわぬのだ。この帝国はこのままでは……沈むであろう」
…そう、考えれる王妃様が居るのがせめてもの救いでは?と返すが鼻先で笑われた。
「今の私一人では大した事は出来ぬと分かっておろうに、よく言うわ。それでも私はやらざるを得ぬとも心得ておる。他国から見れば名ばかりでも、私は王妃だからの」
毅然と仰るけれど、それはとても長い長い棘の道。王妃様、頑張ってね!なんて気軽には言えんな。
「で、そなたのばぁやなのだが。そなたの言う事はよく分からないが、そなたがそれ程に熱望するのならば帝国から出して欲しいと訴えておったぞ。マーティングに」
「殿下に、ですか??」
「この帝国も婚約も全て嫌だと父君に訴えて牢に捕らえられたそうだの?このままではそなたが自害も辞さぬやも!と泡を食って飛んできての、私と茶を飲んでいたマーティングに切々と嘆願しておったぞ」
そういう経緯だったのか、なるほど。ばぁやはマーケティングと私をくっつけたいのではなくて、私が国外に出れるように命がけでお願いに行ってくれたのか…。
「婚約の破棄にはケロリとしておったわりに、そこで泣くとは…そなたは思ったよりもまだ子供だの?」
王妃様が柔らかな瞳で微笑んだ。




