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13◆◆牢 屋◆◆

私はこの帝国から出たい。


帝国に美点は幾つもあるが、今の私はこの帝国を愛せない。


せめて、嫌いになる前に去りたい。


マーティングだけが悪いとは思わないし、ある意味では被害者だとも思う。マーティングへの個人的な感情を抜けば、だけど。感情込みだと罵詈雑言の嵐で思考が霧散する…



…そう、このオライン帝国の『歪み』に私はもう気がついてしまったのだ。



この帝国の識字率や教育水準は高いけれど、それは幼子の内に読み書き計算を神殿で学ぶからだ。


幼子は神々の名を文字にする事から始めて、その教えを文字にしてゆく。一つ一つの教えは本当に無害なのだ。



『清く正しく生きる』『感謝の心を持つ』『人に優しく自分に厳しく 』



神殿で神々の教えのこれらを読み書きの教材とするのに、違和感はない。ついでに神殿本来の宗教の布教も込みだし。



『男は女を守れ、勇ましくあれ』『正直であれ、誠実であれ』『父母に尽くして子を宝と思え』『女は家を守れ、貞淑であれ』『目上に礼を欠くことのないように』



本当にゆっくりゆっくりと緩やかに目隠しされる。


個人差も多少はあるが、10歳前後には神殿は学舎から祈りの場へとなっている。


時代の変遷とともに、周辺諸国では既にこの『男尊女卑』は時代遅れになっている。『洗脳紛いの教育方針』は論外であろう。


帝国は鎖国も情報規制もしていないのに、目隠しを施された国民はこの現状も『他所は他所、ウチはウチ』状態。



おめでたい国だが、私のように途中で目隠しが外れた者には絶望しか見えない。


極少数の目隠しが外れても愛国心を持つ、非常に稀有者達が改革を目指すことはある。



私はそこまでの愛国心も義理固さも持ち合わせていないので、さっさと国外逃亡したいと思う。





と、バカ正直に父に言ったら無言で地下牢にぶち込まれた。三食昼寝付きにばぁやのすすり泣き付きだ。





ばぁやを泣かせた事だけは、ばぁやに謝った。


考え方や価値観に著しい相違があって、その溝は深い。だから、ばぁやが私を理解できなくなったとしても仕方ない。


それでも、ばぁやがばぁやの価値観に即した行動でもって私を大切にしてくれた事に感謝を述べた。




ばぁやはすすり泣きから号泣にバージョンアップした。



それから、立ち去った。今までありがとう、さようなら。

どうかお元気でね、ばぁや。

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