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1◆洗脳はダメ、絶対

おぎゃあと泣いたその日、私の将来は既に決定していた。私の名前よりそちらの方が先に決まるとかどうかと思う。



オライン帝国の第二王子、マーティング殿下の婚約者として私は生まれてきたのだと。



赤子の頃から乳母に延々と枕もとで繰り返し囁かれたそれは寝物語というより、洗脳目的か?と穿った考え方もしたくなるほどの『婚約者教育』ぶりには参った。


私が10歳頃まではこのふざけた『婚約者教育』とやらもそれなりに効果があったのだから腹がたつ。


流石にそれ以降は馬鹿馬鹿しい事だと気がつき、普通の令嬢教育に力を注いでおくれと半ば脅しも交えて必死に父母にお願いした。


普通の令嬢教育なら使い回し可能だからね。



「おい、お前のとこに新しく入ったメイドが可愛いらしいじゃないか。今度はソイツ連れてこいよ。なんならお前は来なくてメイドだけでもいいぞ」


「断る」


「お?お?嫉妬か?醜い嫉妬なのか、レーベ」


「その呼び方は止めろ。それと先程の会話のどこに嫉妬する要素があった?」




なぜ、私がこんな残念な王子と結婚せねばならんのだ。


先祖の約束?知らん。


墓場から曾祖母あたりの骨でも持ってきて真っ赤なリボンでもつけてこいつに投げつけてやればいい。


私の言動が不敬だと思う?敬うべき相手は敬っているし、必要な時には令嬢教育の賜物たる振る舞いをしている。







それに、私が普通の女の子のように振る舞うとマーティングが『似合わない』と笑うからイヤなんだ。






だから私は普段こうして兄上のお下がりの男物の略装を着ているし、化粧もお洒落もしない。似合わないから必要も無いのは分かっている。


私の髪は真っ黒だし、瞳はオレンジ。


マーティングのような輝く金の髪で、王家の至宝と言われるアメジストの瞳のには幾ら着飾っても適わない。


美形と名高い王子の隣に相応しくないのだ、私では。だから早く婚約解消してくれないだろうか。



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