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魔王城からは逃げられない  作者: 野良灰
6章 知りたいという気持ちからは逃げられない
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計画の確認

 昨日俺は新たに二人の魔王城の住人と知り合う機会を得た。

 

 音楽に興味が無い俺でも魅了される程の歌い手である、セイレーンのジュリエッタ。

 彼女のためなら周りの迷惑何のその。鳥の亜人、バードマンのロイド。

 そんな恋人同士の間に、なぜか俺はある意味割り込む事になりそうなのだ。


 出会った日にジュリエッタから「わたくしを攫っていただけませんか?」と言われ、いつの間にか彼女が恋人の愛を確かめる計画に加担することになっている。

 その第一歩として今日は転移魔法陣で彼女と待ち合わせになっている。

 もう通り飽きた執務室から門の広場への道を進み、目的の魔法陣の前まで来た。

 陣の上に乗ると光に包まれ、昨日ロイドに案内してもらった場所に到着する。

 するとジュリエッタは既に転移魔法陣の前で本を読みながら俺の到着を待っていた。

 

「あぁ、すまん待たせたか?」


 手に持つ本から目を離し、俺に気づいたジュリエッタにこちらから声をかける。

 彼女は俺の近くまで来て口を開く。


「いえ、わたくしも少し前に来たところです。さて、あまり長居して誰かに見られる前にこちらへどうぞ……」


 淡々と返事をしながら、彼女は俺を先導するように木々の合間を歩き出した。

 周囲に誰かいるような様子は無い。昨日ロイドにここまで案内してもらった時も誰にも会わなかった。

 大体の種族が、この区画の大部分を占める森の中で自給自足しているため、あまり使われないそうだ。

 果実を実らす木々を育て、獣を狩って日々の糧とするから市場等に行く必要が無いとも言っていた。


「この辺りは近くに住む種族の領域間の境界になっていて、あまり誰も来ません……ここでお話してもよろしいでしょうか?」


 森の中を俺を案内するように進むジュリエッタが頭だけこちらを見てそう言ってくる。

 静かで涼しい場所だし特に異論は無い。構わないという意思表示で首を縦に振った。


「では早速計画をご説明いたします……」


 そして彼女は足早に計画とやらを説明し始めた。

 まず、彼女がロイドと二人きりで村から離れた森の中で逢引をする。

 これは問題ない。彼女の方から誘えば、例えいついかなる時でも、どんな罠があってもロイドは来るだろう。

   

 そこへ突然現れてジュリエッタを捕まえる俺。

 正体がばれないように仮面と外套を決行までに用意してくれるそうだ。

 彼女の身を盾に、ロイドから引き離し……彼女を攫って東の山へ向かう。

 ちなみに東の山は、俺がこの区画に来た時に出た山らしい。

 

 ほぼ間違いなくロイドは俺達を追いかけてくるだろう。

 その途中でこの区画の防衛のための罠を使い、それらの妨害に負けずに向かってくるかを見る。

 つまり奴のジュリエッタへの愛を試すわけだ。


 これが計画の基本部分。説明の後ジュリエッタは東の山への逃走ルートと使用予定の罠についても述べた。

 昨日思いつきで始めた計画の割りに結構詳しく説明できているようだ。


 正直俺はジュリエッタが話すこの計画に協力するのに乗り気ではなかった。

 それは話を聞いている今もあまり変わっていない。

 だが昨日ロイドと道案内の途中に少し話をして、それなりに親交をもった。

 今回の計画が上手くいけば、奴の求婚にジュリエッタが応えるかもしれない。そう思うと協力してやってもいいかなとも思い始めていた。

 魔王が仲を取り持つというのも気恥ずかしいがな。

 

「魔王様……何だか楽しそうですが、ここまでは宜しいでしょうか?」


 どうやら未来の新婚夫婦を想像して、にやけていたらしい。

 怪訝そうな顔でジュリエッタが確認してくる。


「あぁ、問題ない」


 真面目な顔つきに戻す事を意識しながら短く答えた。


「では今日はこの後、わたくしを攫って頂く地点から、逃走ルートを一度確認して頂けますか?」


 俺はその申し出を受け、再びジュリエッタの案内で計画の開始地点に向かって森の中を進み始めた。

 実際この計画の後でジュリエッタがロイドの求婚を受けるとも限らないが、できるだけ応援してやろう。

 そのためにロイドの活躍を思い浮かべながらルートの確認をしていった。


 明日は準備あるとの事で、計画の開始は明後日の昼から開始となった。

 俺も視察の時間をとるために、書類と戦う時間が欲しかったから丁度いい。

 確認した後俺は執務室へ戻り、彼女は準備に向かっていった。

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