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チャンス?それとも・・・。

 千鶴がクラス委員に決まってからは委員決めを千鶴が仕切った。

 普段の彼女からは想像できない見事な仕切りで、他の委員はスムーズに決まっていく。

 私はというと予定通り何の委員にも入らなかったのだが、図書委員という言葉にはやはりと言うべきか多少の興味を引かれた。

 あれだけ大きな図書館のある学校の図書委員はどんなものかと。

 だけど中学の時に入った図書委員会が仕事ばかりで殆ど本と戯れる時間など無く、イメージしていたのと違い唯唯疲れるだけだった思い出がある私にとって、図書委員という役職は敬遠すべき存在。

 なので今回は遠慮することに決めていた。

「ではこれで委員会決めを終わります!」

 彼女のこの一言で委員会決めは閉められた。

 私の知っている千鶴とは別の千鶴が前で話しているようで、終始私の心は不思議な感じだった。

 この気持ちは何だろう?


 委員会決めの後のHRも無事終わり私は図書館へ向かう。

 道中昨日のへま(お腹が鳴る)を繰り返さないために、購買に寄りパンとお茶を買っていった。

 だが図書館に着いてから気づく…、館内は飲食禁止じゃん!!

 まあ一応外にテラスみたいなのはあるけどさ、ポツンと一人でパン食ってたら寂しいでしょ?

 それでもしょうがないからお腹減ったら外で食べよ。

 背に腹は替えられないし、あんな恥ずかしい思いはもうしたくないしさ。

 持っていたパンとお茶を鞄に仕舞い図書館へ入った。

 館内はやっぱり落ち着く。

 匂いや雰囲気はもちろんだが、学校の敷地内でありながらそれを思わせない静かさもとても気に入っている。

 確か建物自体の防音設備がしっかりしていると学校見学のときに担当の人が言っていたっけ?

 普通の学校じゃ校舎内の一室が図書室になっているパターンだろうからこうはいかないだろうな。

 さて、今日は何をしよう?

 借りている本を読み進めるか館内の探索の続きをするか、それとも紫苑さんを探してお喋りするか。

 でも紫苑さんはお仕事中だろうからやっぱり迷惑かな?

 だとすると三つ目の選択肢は却下だから前の二つのどちらかだね。

 んー、どうしよう?

 悩んでる時間ももったいないし、とりあえず借りてる本でも読むか。

 空いている席に腰を下ろし鞄から本を取り出す。

 栞を挿んでおいたページを開き昨日の続きを読み進めるのだが、読めば読むほど如何に自分が料理に関して無知だったかを思い知らされる。

 興味が無いとは実に恐ろしいことだ。

 ただここはネガティブに考えても仕方ない。

 考えを逆方向に転換し、今興味をもてた事をポジティブに捉えようではないか!

 今から始めたって遅くはないさ!

 本を読みながらそんなことを思っていたときだった。

「こんにちは♪」

 かけられた声の方を振り向くと、そこには紫苑さんが立っていた。

 今日も可愛いな♪

「お勉強ですか?」

 そう言いながら読んでいる本を覗き込んでくるのだが、何だか好い香りがする。

 可愛い女の子からはこんな匂いがするのか!?

 しかし自分でも気づいているのだが、彼女の事となると私の思考は変態になってしまうらしくまだ初めて会ってから三日しか経ってないのにこの思考…私かなり重症だな。

「一応料理を少し勉強しようと思いまして」

 読んでいた本を彼女に見せたのだが、正直結構恥ずかしい。

 だって読んでる本を見れば料理がまったく出来ないのがバレバレだから!

 タイトルが『料理~基本の基本、まずはここから~』だよ!?

 ここで読んでれば見つかってしまう可能性を忘れてた。

 ポキリと心が折れる音が聞こえそうなところに、被さるように彼女が一言。

「じゃあ私が教えてあげますよ!」

「え?」

 なぜそうなる!?

 確かに料理を勉強しようと思ってるとは言ったけど…。

 混乱する私とは対照的に眩しい笑顔の紫苑さん。

 こっ、断れない。

「宜しくお願いします」

 この一言を搾り出すのが今の私に出来る精一杯だった。

 安易に返事をしたけど良かったのかな?

 まあここはポジティブに考えて、紫苑さんと長く一緒にいられると思えばラッキー♪

 仲良くなるチャンスが増えたってことだもんね!

 どんな風に教えてくれるのか今からちょっと楽しみだ♪

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