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初めての料理(実践編)

「さっそくなんですけど、いつからお料理教えましょうか?」

 想像以上に乗り気な紫苑さんに若干気押される。

 私なんかより彼女のほうがこの事を楽しんでいるような気が?

「私はいつでも大丈夫なんで、日取りなんかは高峰さんにお任せしますよ♪」

 いつの間にか日取りの決定まで話が進んでいる!?

 私の思考がぐるぐる回っていて追いつかない。

 こっ、これはマズイ、とりあえず落ち着かなければ。

 ・

 ・

 ・

「さて何から始めましょうか?」

 押し切られました。

 輝く笑顔に私はノーとは言えず、彼女の流れにそのまま流されてしまい現在彼女の家のキッチンに立っています。

 私の優柔不断。

 べっ、別に嫌なわけじゃもちろんないんですよ!?

 でもですね、私にも心の準備というものが欲しいわけですよ、ほんと。

 未だに心臓ドキドキしてますし。

 そんな気持ちを知ってか知らずか、彼女は隣で満面の笑顔。

 この笑顔にやられたんですよ、と悪態すらつきたくなるぐらい本当可愛過ぎるんですよ!

 相手は女性だし女の人が恋愛対象とかそういうのじゃないと思うんだけど、惚れた者の弱みってやつですかね。

「まったくの素人だと思ってもらって構わない程度しか出来ないので、基礎から教えて下さい」

 お願いする立場なので少しだけ頭を下げると、彼女から力強い返事が返ってくる。

「任せてください!!」

 超やる気だ。


「私が思うに料理ってやっぱり作らないと上手くならないと思うので一緒にお昼を作りましょう♪メニューは何がいいですか?」

 予想通りの流れになってしまった。

 やっぱ実践ですよね。

 私は難しくなさそうなメニューを考えるのだが、中々思いつかない。

 そんな私を見かねてか、いくつか彼女が提案してくれる。

「パスタ系はどうですか?カルボナーラとかぺペロンチーノとか。ご飯系にするとチャーハンとかも良いですね♪でも白いご飯にサラダとスープって組み合わせも簡単で美味しいですよ!」

 ぱっとこれだけの種類の料理が思いつくなんて、実際に料理してる人はやっぱり違うな。

「それじゃあカルボナーラで」

「わかりました♪」

 最終的には自分の好きなものを選んだ。

 どれが簡単でどれが難しいかなんて今の私には分からないし、結局どれも私にとっては簡単ではないと思うから。

 ただここまできたら少しでもこの状況を楽しめるように頑張ろう!

 最終的な目標に過程をすっ飛ばしてきたと思えばいいじゃないか!!

 むしろ本で読んだことのあるような非現実的な密着したレッスンがあるかも…!?

 そんな妄想をしていると顔がにやけてしまう。

 頑張れ私!


「それでは始めましょうか♪」

 紫苑さんがカルボナーラに必要な材料があるかどうかを確認してから料理はスタートした。

「まずは下準備をします。カルボナーラのお肉はパンチェッタという豚の塩漬けを本当は使うんですけど、今家には無いのでベーコンで代用します!なのでベーコンを幅1センチぐらいに切っていきましょう」

 言われるがまま包丁を握り目の前に置かれたベーコンを切っていく。

 私は包丁を普通に握ったつもりだったんだけどちょっと変だったらしく、「こっちの方が握りやすいですよ」と指の位置を動かしてくれたのだが、手が直接触れた瞬間物凄くドキドキした!

 中学生か私は。

 当の本人はまったく知らん顔だけどね。

「ベーコンを切り終えたら次はソースを作っていきます。ボウルの中に卵2個とチーズ、それに軽く胡椒を振って混ぜていきます」

 入れる量を教えてもらいながら、私は一つずつ材料をボウルに入れていく。

 そして混ぜる!

 その間に紫苑さんはお湯を沸かして塩を入れ、パスタを茹でる準備をしている。

「このぐらいでどうですか?」

 私は混ぜたソースを紫苑さんに見せる。

 すると紫苑さんは人差し指と親指で円をつくりながら「オーケーです♪」と笑顔を返してくれた。

 たかだかこれだけの事でも、褒められると嬉しい♪

 小さい頃お母さんもこうやって私に教えてくれれば、もう少し料理に興味持ってたのかな。

「それでは麺を茹でていきます!お塩はさっき入れておきましたので、麺を入れていきます。茹で加減はアルデンテぐらいにしたいのでこのパスタの場合は7分位ですかね」

 一つ一つの指示や動きに無駄がなく、流れるように調理していく。

 教えられる立場なのにむしろ『邪魔になっているんじゃ』と不安になりそうになる私に、ところどころ優しい言葉をかけてくれる。

 本当に彼女は優しい人だと思う。

「パスタを茹でている間に、フライパンの方でベーコンを炒めていきましょう!いい具合に炒め終わったら火を止めておいて下さいね」

 彼女の指示にあわせてオリーブオイルを熱したフライパンにベーコンを入れ炒めていく。

「焼き加減は任せますよ」と言われたのだが、緊張して少し焦がしてしまった。

 私の失敗をまた優しくフォローしてくれる彼女。

 よし、次はミスしないように頑張るぞ!

「それでは最後の仕上げです!まだ温かい先ほどのフライパンに茹で上がったパスタを入れ軽く混ぜます。そこに作っておいたソースを入れて後は余熱で火を入れながら全体を絡めていきます!」

 言われたとおりに調理していくのだがこれがまた難しい。

 ただ混ぜるだけでもいい塩梅にするため、私の目はフライパンから離れない!

 そんな私を何も言わず見守ってくれている彼女。

 彼女のためにも失敗するわけにはいかない!

 私は一生懸命混ぜ、完成したパスタを用意してもらったお皿に移し少し胡椒を振って出来上がり!!

 そっと汗だくになった私の額をタオルで拭きながら「お疲れ様でした♪」と彼女に言われた。

 嬉しくてつい目がうるうるしてしまった。

 久々こんなに汗かいたな。

 冷めないうちに二人で出来上がったカルボナーラを食べた。

 今まで食べたカルボナーラの中で一番美味しかったかもしれない!

 彼女の指示通り作ったのだから美味しくて当然なのだが、きっとこの味は一生忘れないと思う。

 私の料理の第一歩だから…。

 次は自分一人で作って振舞える様に頑張らなくちゃ!

 食べ終わった後は二人で片づけをして私は家に帰った。

 予想以上に疲れていたらしくお風呂に入るのも忘れて寝てしまった。

 慣れない事すると疲労感が凄いな。

 でも何だかんだ楽しかったし、これからも料理頑張るぞ!

 そんな初めての料理を無事終えることができた時だった。

何だかいつもより少し長くなってしまいました。

もっと甘くしようか迷ったのですが最終的にこうなりました。

一応今回で一つの区切りの10話目です!

これからもちょいちょい書いていくので気長にお付き合いください。

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