第9話 お茶会。
【皆様へ
お元気ですか?そろそろ冬の準備が始まった頃でしょうか?
10月がこんなに暖かいことに感動しています。
体調もすっかり戻りました。元気ですよ。
さて、先日、ユリアナ様のご自宅でのお茶会にお呼ばれしてきました。
元々はユリアナ様の婚約者選びのために開催されたらしいですが、ユリアナ様のいつも一緒にいるお友達や、御親戚?のお嬢さまたちも来ていました。
男の子たちも年齢もまちまちで、10歳ぐらい上から、2つ下ぐらいまで?たくさん呼ばれていましたよ?凄いですね。
伯爵家の中庭はきちんと手入れされており、秋咲きのバラも咲いておりました。
そこに、沢山のお菓子、プチケーキ、紅茶の茶葉も選べるんです!!つまめる軽食もありました!アルコールも出ましたよ!綺麗なカクテルがいっぱいありました。
ユリアナ様はモテモテでした。
そうですよねえ、お綺麗なんですもの!
ユリアナ様がお声がけしてくださったようで、私もいろんな人とお話する機会がありました。私の国元の話をすると、皆さん驚いておられました。
目指せ、涼しい領地をお持ちの殿方!ですね。なかなか難しいもんです。
(王都は私には暑すぎるので。)
少しご無礼な方もいたので、それなりの対処をいたしましたよ。
なかなかできない経験でしたので、楽しかったです。
今年はしかたがないので、お兄様と舞踏会に行こうと思っています。
では、また。
アウラ。 】
しかたがないので…って、地味に傷つく。
まあ、いいけど。
12月の舞踏会に向けて、母はもうアウラのドレスを注文しているようだし、
おじいさまとおばあさまは、アウラのデビューでもあるので、ドレスに合わせたネックレスをプレゼントするらしい。
俺はどうすっかなあ。
10月。玉ねぎの苗をみんなで植え付け。大豆の収穫と乾燥。
麦を蒔く。
だんだんリンゴの収穫かな。
天気のいい日に必要なところに薪を配る。もちろん、自分の家にも蓄える。
薪小屋を増設するか?
雪が降る前に必要なものをまとめて買い出し。リクハルドの家に注文する。
砂糖とか、塩とか、糸とか、まあ、いろいろ。みんなに注文を取って、うちの領地で手に入らない物を半年分買い込む。これは村の雑貨屋のキエロばーさんが取りまとめてくれている。
*****
【皆様へ
お元気ですか?
相変わらずお忙しいのですね。もうすぐ雪ですものね。
お兄様、ハルユラ犬のぬいぐるみをありがとうございました。毎晩一緒に寝ています。沢山のリンゴも届きました。もうリンゴの季節になったんですね。さっぱりして美味しかったです。
ユリアナ様の所にもリンゴが届いたようです。お気遣いに感謝いたします。
リク様のお父様がお仕事でしばらくこちらにいらしたので、おじさまとおばさまにあちこち案内していただきました。
観劇にも行ったんですのよ?素晴しかったですわ!!
王家の温室にも特別に入らせていただきました。見たことのない植物がたくさんありました!!その後、カフェにも連れて行ってもらいました。美味しいケーキをご馳走になりました。国元のお話も聞けて、楽しい時間でした。
そうそう、ユリアナ様のご友人が、お友達になりましょう、と言って下さったので、お友達になりました。ニーロという方で、3つ上と言ってましたから、お兄様と同級生でしょうかね?
いやあ、都会の男の人は友達になる時にお花とか下さるんですね。
男の子の友人なんて、リクハルド様ぐらいですもの、びっくりですわ。
私からはほんのお気持ちでハルユラ犬の刺繍入りのハンカチを同送させていただきました。都会でのお友達の付き合いは難しいですね。
あと、ユリアナ様やエリザベト様達に、冬のプレゼントを贈りたいので、キルティングガウンを色違いで4着送ってください。お代は工房にハンカチを降ろしたお小遣いでお支払いしますね。よろしくお願いいたします。
11月になったのに、こちらはまだ秋の終わりという感じです。
ハルユラではもう、雪が積もっていますか?
チラリとも雪が舞わない風景は、なんだか不思議です。その分、風が肌寒い気がしますが。
それでは皆様、お体御大事に。
アウラより。 】
さんざん田舎者とバカにしてきた奴らから、お友達から始めましょうと言われたって?意味、解ってる??アウラ???
しかも、ニーロ?って、あのニーロ?伯爵家の嫡男で、いけ好かない野郎だ。なんか、前髪が長くて、いつもかきあげてて、キザったらしくて女癖が悪い。最悪だ。
よくわからないけど、学院時代はリクハルドをライバル視してたなあ…。あれは謎だった。なにをどうやっても…かなわないのにな。勉強でも、剣術でも、モテぶりでも…いいところは強いて言えば…領地に雪が降らないとこかな。
なあなあ、そのユリアナって子に、面白がられてからかわれてるんじゃないの?
お兄ちゃんは、無理だよ。あんな奴を義弟にしたくない。
しっかりして!アウラ!
とりあえず、12月に向けて、来春の木工品の注文書をまとめて、みんなに発注して、雪がひどくなる前に領地の見回りを済ませて…。
11月。来年用の発注書がリクハルドの家から届く。
木工品やオルゴール。リンゴ酒。手芸品など。
雪が降る前は共同でやっているけど、冬場は個人個人。何を何個、と割り振っていく。リンゴ酒は共同で仕込んでいる。仕上がりが楽しみだ。
雪がちらつき始めた。
長い長い冬の始まり。