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第8話 残暑。

【皆様お元気ですか。


私は夏バテして、夏休みの後半は寝込んでいましたが、今はすっかり元気になりました。

寝込んでいる間は同じ寮生のユリアナ様にとてもお世話になりました。今度の冬休みにはお礼を兼ねて、うちの領地にご招待しましたので、よろしくお願いします。


それと、ユリアナ様が私に良い殿方を紹介してくださるそうです。暑くない領地をお持ちの方がいいと、希望を伝えておきました。ワクワクしますね。


後期の授業も始まりました。

まだ九月の後半だというのに、学院中、12月の大舞踏会のお話でいっぱいです。

誰と行くとか、何を着るとか。


何にも決まっていない私を心配して、今度ユリアナ様のご自宅で開催するお茶会に呼んでいただきました。頑張ります!

ユリアナ様もまだ婚約者がお決まりじゃないんですって。一緒ですね!


エリザベト様、フローラ様、ロッタ様はもう小さい頃からの婚約者さんがいるんですって!!皆様と12月の大舞踏会に行ってみたいです!

どなたも見つからなかったら、お兄様と出席してもいいのよ?ということなので、そうならないようがんばりたいです。

後期の勉強も頑張ります。


それでは皆様もお体を大切に。


           アウラ        】





え?夏バテしてたの?アウラ…。


俺も初めの夏休みは帰らなかったらバテたなあ。

オルゴール工房の立ち上げをしていたから、歩き回ってたし。王都、暑いし。

食欲無くなるし、だるいし。

南国に憧れたオヤジの気持ちが理解できなかった瞬間だね。


2年生の夏休みからは隣の領地のリクの馬車に乗せてもらって帰った。

後期の授業が始まるから王都に戻ったら、残暑が厳しくて、これまた参った覚えがある。


そうそう、農耕用の馬の買い付けにこの前リクのとこに行ったとき、アークラ伯爵家のユリアナ嬢について聞いてみた。


「なになになに?アークラ家の御令嬢と縁談でもあるの?アハト?」

「いや。ない。うちのアウラの同級生らしくて、何かと関わっているみたいなんだけど、どうなの?その娘?」

「あーーーユリアナ嬢ねえ、その子の中等部時代の噂しか知らないけど…。もともと資産家の家だから金に不自由してなくて、寮も特別室に入って侍女を2人も連れてきていて。」

「へえ。」

「いつも取り巻きの女子が3.4人?あとはアークラ家との繋がりが欲しい家の息子たちがごそっとつきまとい、なかなか派手な交友関係を持つ娘だよね。」

「へえ。」

「なんでも手に入るから、あまり何かに執着もなく、美人だけどわがまま?金ぴかの縦ロールだったかな。決まった婚約者はいないと思ったけどな?学院のお茶会にも年齢に不釣り合いなほどの高価な宝石とかつけてくるから…先生方も伯爵家からたくさん寄付を貰っているから意見も言えないし…。そんな感じ?」

「うーーーん。」

「アウラちゃんの友達になったんだ?へえーー。」

「友達、なのかな?なんか、バカにされてからかわれているだけなんじゃないかなあ。アウラ、田舎者だから。いい標的だよね?」

「難しいところだね。アウラちゃんは自分で思ったことに正直な子だから、大丈夫なんじゃない?お前が思うよりしっかりした子だと思うよ。」

「そうかなあ…。」

「まあ、心配だよね、お兄ちゃんとしては。あははっ。」

「まあね。夏休みに帰ってこなかったら、夏バテしたらしいし。」

「ああ…あの暑さには参ったよね。夏に行くもんじゃないよね、王都。」

「俺も夏バテした。まいっちゃう暑さだよね。王都に住まう人たちは、ある意味すごいよな。」

「ああ、僕も思った。」


リクハルト゚は高等部で生徒会をやっていたから、と、もともと高位貴族との付き合いがあるから、情報をたくさん持っている。こいつも侯爵家の嫡男だし。領地内に王家の狩場があって、管理している。昔から王家とのつながりがあり、こいつの髪も銀色、瞳は菫色。高貴な色だ。


領地がお隣り同士だから俺もアウラも小さい時から一緒に遊んだが、本来なら手の届かないようなお方。学院でもモテモテだったが、こいつもまだ婚約者を決めていない。まあ、弱小子爵家のしかも豪雪地帯の俺と違って、選びたい放題なんだろうけど…。


「お前、今度の12月の大舞踏会、出る?」

「ああ、父も母も出るらしいから、一緒に出る予定だ。お前の家は社交嫌いだからな…でも、アハト、お前は出ておかないと嫁が探せないだろう?」

「・・・そうだよなあ…。待っていても話は来ないからな。お前と違って。」

「まあ、雪国好きな娘が見つかることを祈ってるよ。」


他人事みたいなこと言って…。うちよりちょっと、まあ、3分の1ぐらいだけど。お前の領だって、他の人から見たら雪国だし。確かに冬でも馬車が使えるのは便利がいいけどね。


「リクは?お前だって決まった子がいないんだろう?」

「僕はね…母みたいに、嫁に来たけど雪国生活は嫌だと王都に帰っちゃって、別居生活するなんてこりごりなんだ。じっくり選ぶさ。」

「なる。」


こいつも苦労してんな。



9月。リクハルドの所から農耕用の馬、2頭購入。結構な出費だ。

豆を作っていた畑を畑を耕して麦を蒔く準備を始める。

一人暮らしの老人宅を回って、体調と、この冬の薪の準備を確認。

乾かしていた麦わらをしまう。














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