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第4話 ユリアナ嬢の憂鬱。

私は伯爵家の娘、ユリアナ。

自慢の美しい金色の縦ロール。ブルーの住んだ瞳。白い肌。自分で言うのもなんだけど、美人だし。


家は資産家でお金の心配もない。一回りも離れた兄上が跡を継いでいるので、私は好きにしていい。

結婚だって、政略を望む人は沢山いそうだけど、こちらからは望まなくてもいい。自由にしていい、と言われている。


父も母も、それぞれ好きに生きている。昔からお互いに愛人がいるみたいだ。まあ、貴族なら普通?驚くことでもないわね。

お金は自由になる。

欲しいものは手に入れることができる。

恋人?言い寄る殿方は多いわね。大方は、家との繋がりが欲しいんでしょうけどね、親に言われて。


窮屈だわ。


自由だけど。


兄が結婚するのを機に、学院の中等部から寮の特別室に入った。両親は心配しなかった。好きになさい、と。侍女は連れてきた。


学院生活はお友達に囲まれて…まあ、打算と親の言いつけでのお友達?それでもにぎやかに過ごしてきたが、単調で退屈。媚以外に何かないのかしら?


中等部の敷地のお隣に、高等部はある。

制服も変わるけど、私の回りはそうそう変わらないだろうなあ…。

いつもの自称お友達に囲まれながら、また3年か。

そのまま高等部に上がったが、メンバーもそうは変わらない。


退屈。


そうしたら、そこにいたのよ!同じクラス。ちょっと不思議な雰囲気の女の子。なに?あれ?

真っ黒な髪は毛量が多くて、三つ編みにしているのがすごく大きな縄みたい。船でも係留する気?

眉毛はげじげじ。日に焼けてるし。化粧してないし。スカート丈が中途半端に長いし…。どっから出てきたわけ?社交では見たことないから、どっか田舎の下級貴族だろうけど。


「あら、まあ、あなたイントネーションが少し変ね?」

「んでしょうか?おばあさまに標準語を習ってきたんですけど、なまっていますか?」

「そうね、少し?可愛らしい《《なまり》》ですわね?」

「まあ、ありがとうございます。」


いや…褒めてないから。直したほうが良くてよ?


「田舎臭いのが移りますわよ?ユリアナ様。」

「ほーーんと、臭いですわね?」

「あのスカート丈!田舎者丸出しですわ!!」

自称お友達が後ろで騒いでいる。


「スカート丈も少し長いのではなくて?」

「んでしょうか?森の匂いですかね?スカートはどのくらいがちょうどいいんですかね?」


その子は自分でスカートのウエスト部分を折り曲げながら、聞いてきた。


「森?そ、そうねえ、膝の少し下ぐらい?そうそう、それぐらいのほうがいいのじゃない?」

「いやあ、親切にありがとうございます。なんだか都会の4月は暖かいんですねえ。もっと寒いかと思ってました。」

「あら、お国はどちら?」

「ハルユラです。ここから馬車で4日北に向かったところです。」


どこよ?


「あら、まあ、随分遠くから出ていらしたのね。王都の生活は大変でしょう?」

「そうなんですよ!!うちの領は2メートルも雪が降るところで、どうしても脱出してみたかったんですよね。ワクワクしかないですね。」

「2メートル?人が住んでるの?そこに?」

「いやあ、面白いこと言う!ユリアナ様!アハハ!」


笑うとこ?そこ?


スカートをウエストで折り返して、短くしている。侍女はいないのかしら?まあ、いいけど。


次の日にもうスカート丈が直っていたから、侍女にでもやらせたのか、お針子さんを頼んだのかと思ったら、

「いやあ、このくらいなら、自分で出来ますよ?ユリアナ様はやらないんですか?お直しとか?」


いえ…普通のご令嬢はやらないわ。


「お昼ご飯はどうなさるの?よろしかったらご一緒してもよくてよ?」


その子を誘ってみたら、後ろの自称お友達たちがざわつく。

私たち、私と自称お友達の3〜4人は連れ添ってカフェテリアに行く。ほぼ毎日。


「いやあ、お弁当作ってきましたから。中庭で食べます。ユリアナ様とお友達はいつも一緒なんだなあ。トイレも一緒に行ってますよね?混みませんか?」


な…。








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