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第22話 ユリアナ嬢の一日。

「・・・それでね、おばあさま、」


いつものようにユーリの髪を拭く。

暖炉は明るく、暖かい。

私たちは暖炉の前のソファーに並んで座って、ユーリの流れるような綺麗な金髪を拭き上げていく。こちらに来てからずっと羽織っているハルユラ犬の刺繍の入ったキルティングガウンを寝間着の上に羽織っている。似合うわね?


「雪の家を作るお手伝いをしたり、キャンディの木?枯れ木にみんな持ち寄ったキャンディを結び付けるお手伝いもしましたの。お昼近くなって暖かくなってきたら、子供たちが集まってきたので、男の子と女の子に分かれて、雪合戦をしました!」

「そう。うふふっ。楽しかった?」

「ええ。とっても。雪がキュッキュッしてますでしょ?丸めるのに苦労しましたが、子供たちはみんな上手でしたわ。コツを教えてもらったんです。それで、女の子チームがやや有利の時にね、」

「あら、どうしたの?」

「むむっ、アハトが男の子チームに入っちゃって!!ずるいですわよね??」

「あはははっ。」

「笑いごとではありませんわ。」


その時のことを思いだしてぷんすかしているユーリ。

あなた知ってる?あなたの笑顔はとても素敵だわ。

怒った顔も可愛いわ。


「そしたら手袋が濡れちゃって、アハトが乾かしてくれました。」


あら?耳が赤いわね?暖まったかしら。



「・・・そう言えば、広場に行く前に、長い棒にリボンが付いているのを見つけて、」

「ああ。」

「アハトに聞きました。ここで生きていくのも大変なんですね。」

「そうね。」


ユーリの乾いた髪を、ゆるく三つ編みにする。


「私が秋口に寝込んだら、私の息子が棒を立てるのよ。そうやってきたんですもの。怖いことではないわ。」

「・・・・」

「そうやってこの土地に戻っていくのよ。」


「・・・おばあさま?」


「あら、やだ、私はまだまだ死なないわよ?春の森で森星もすずらんも見たいし。山の湖に白鳥が帰ってくるのも見たいわ。みんなでベリー摘みにも行きたいしね。」

「まあ、素敵ね?」

「そう?」

「雪景色もとても綺麗だったけど、今朝はダイヤモンドダストも見たし!春や夏も見て見たいわ!」

「そうね。またいつでも遊びにいらっしゃい。ここをもう一つのあなたのお家だと思ってくれたらうれしいわ。」

「まあ…。ありがとうございます。本当に。嬉しいです!」


年相応の笑顔。


そうね…でもあなたもそう遠くない将来に、どなたかと婚約することになるんでしょうね。そうしたら、お友達のお家と言っても気軽に出かけては来れない。


・・・多分、わかっているわね。賢い子だもの。


高位貴族って、いろいろと大変よね?

あなたが良い方と巡り合って、こんなふうに笑えることを祈っているわね。


ゆっくりとユーリの頭を撫でる。







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