表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/31

第20話 ユリアナ嬢の雪国生活。

ブーツはアウラのおばあさまが貸してくださった。

中が毛皮になっていて、凄く暖かい。ソールにはサメの皮が張ってあるらしいけど、念のために、と、アハトが縄を巻いてくれた。


木でできた大きなスコップで玄関先の雪をよけるのを手伝う。

アウラやお母様はサクサクとよけていくんだけど、なかなか難しい。慣れてきたころには汗だくになってしまった。意外に重労働。でも、楽しい。


ここで着替えないと風邪をひくと言われて、お着替え。

「大事な事よ。自分の体は自分で守らないとね?」

はい。お母様。


これで大体午前中終了。ランチは軽く食べる。今日はライムギパンのサンドイッチだった。疲れたからお昼寝したいところなんだけど、そんなことをしたら昼間の時間が終わってしまう。日暮れが早いから。3時くらいからもう夕方。


お片づけをして、ブーツの上にスノーシューを装着。慣れたもんだわ。

これは雪の上を歩くのに、足が埋まりにくくする道具。埋まらないわけではないことがわかった。時々、ずぼっ、と埋まる。それも楽しい。


今日は近くの林で生き物の足跡探しに行った。

いろんな足跡。長く見えるのはうさぎ。それを追うように狐。ちっちゃいのはてん?


お天気が悪い時には、おばあさまと刺繍をしたりもする。

ハルユラには独特の刺し方があって、変わった幾何学模様になる。アウラにも聞いたことがあるけど、おばあさまが丁寧に教えて下さった。


そうそう、髪を洗った後は、おばあさまが隣に座って髪を乾かしてくれる。今は侍女もいないから縦ロールにしていない。髪が軽くなった気がする。その髪をゆっくり優しく拭いてくださる。


いろいろな話をする。

おばあさまの時代の王都や、貴族社会の事とかも。



*****


年末。

みんなで屋敷中を大掃除する。

私はエプロンを借りて、窓ガラスを拭く係になった。


アハトが玄関に大きな毛皮を敷いている。


「これは?何をしているんですの?」


「もうすぐ年の瀬だろう?精霊が来るんだよ。あいつら、遠慮なく入ってくるから、雪だらけになるんだ。だから敷いておく。」

「え?精霊が??」

「ああ。」

「え?本気でおっしゃっています?」

「ああ。来るんだよ。年末の夜に。お前も気を付けろ。」

「え?」

「悪い子はな、連れていかれてしまうんだ。むふふ。」

「え?」


精霊が?来るんですの?あの、絵本とかに出てくる?



*****


大晦日の日も、普通に、何事もないかのように夕食。


玄関前には松明が赤々と灯されている。


バッターン、と、大きな音でドアが開いた。外の冷気も一緒に入ってくる。


「え????」


たくさんの精霊?が、

「悪い子はいねえがあ」

と言いながら家に乱入してくる。


片手には大きなナイフ。

悪魔の面。

頭からすっぽりかぶったわらで出来た何か。


え?強盗??


わらわらと入ってきた男たちは、暖炉にあたりながら、なんの遠慮もなくお酒を飲みだした。

おじいさまとお父様が一緒にお酒を飲んでいる。アウラは精霊?に担がれて喜んでるし…。


な、何が起こっているの?


思わずアハトにしがみつく。


「な、大丈夫だから。飲むか?お前も。」


いやいやいやいや、無理でしょう?おいていかないでよ。

アハトの上着を離さないように、握りなおす。


アハトの背中からほんの少し顔をのぞかせて、精霊?を見てみる。


精霊?













評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ