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好奇心が黒猫を殺す時  作者: 瞬々
第1章 黒猫赴くままに。
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2 黒猫、プリクラを撮る

「プリクラかぁ……久々に聞いたな」


 銀がしみじみと言う。2年程前まで爆発的に流行っていたが、いつの間にか過ぎ去っていたブーム。


 今日は正月なこともあって、プリクラコーナーの場所もそこそこ人が多い……こんなとこに男1人女2人で入りたくないと、銀は2人の強い誘いを断り、外で待つことにした。


(桜もそうだが、沖夜宵が何を考えているのかさっぱりわからん)


 彼女にとって自分は会うたびに説教をしてくるウザイ男と認識されていると思ったのだが。それとも仲良くなっておいてこれからも行うだろう危険行為に目を瞑って貰おうという打算からなのか。


 撮り終わった2人がきゃっきゃしながら、銀の元へ走ってくる。


「いい写真が撮れましたよー」と桜が銀の眼前にプリクラ写真を見せつけてくる。やたらキラキラした背景に厚めの化粧と猫耳の生えた2人が写し出されている。


「……ほー、よく映ってるじゃないか」


「一緒に撮ればよかったのにぃ」と夜宵がにやにやしながら、煽ってくる。


「俺がやっても辱めにしかならないだろ……いや、もしかして、最初からそれが狙いなのか?」


 プリクラ写真をばら撒くぞと脅して、夜宵の行動を見逃させるつもりだったのではと、銀は半分本気で疑ってかかる。


「えー、そんなつもりじゃないよ、傷つくなぁー」


 夜宵の心にも無さそうな発言を聞いて、銀は眉をひそめた。反対側から桜も頬を膨らませて反論する。


「そうですよー、夜宵ちゃんは純粋に良心で誘ってくれたんですからねー!」


「わかったわかった……悪かった」と、根負けして銀は夜宵に謝る。内心ではまるで信用していないが。


 鬼との戦いから大分時間が経ち、外は既に夕方、沈みかけた太陽の薄っすらとした光が、ゲーセンからの帰り道の交差点に差し込んでいた。音響式信号機から「とおりゃんせ」のメロディが流れてくる。


「あ! そういえば、夜宵ちゃんはもう初詣済ましましたか?」


「今年はまだかなぁ……、今日は寝坊しちゃってさ」


 正月早々に『鬼』の相手をさせられ、女子高生に説教を垂れなきゃいけなくなるなど、銀としては最悪な正月になったが、2人が楽しそうに話しているのを見て、まぁいいか……と絆されたのだか、呆れたのだか分からない感情を抱く。それはそれとして、今日も含めた沖夜宵の行動を見逃す理由にはならないのだが。

 

 そろそろ家に帰るとなった際、銀はくどい位に告げる。


「もう無茶はするなよ」


 夜宵は答えずに、はいはいと言った感じに微笑する。信号が青になり、夜宵と桜の2人が横並びになって歩き出す。それを見送っていた銀だが、ふと道路に何かが落ちているのを見つけた。先程、2人が撮っていたプリクラ写真であることに気づいて、慌てて拾う。


「あ、おい……」


 呼びかけた頃には、信号は赤に、すれ違う車の向こうに2人の影は消えて行った。


(また会った時に渡せばいいか)


 夜宵はともかく、桜はいつでも会える。


(……いや、あいつも多分また会うな)


  何故か、銀の中で確信があった。あの少女とは今後、何度も出会うことになるだろうと。


 写真の中に映る2人は年相応の笑顔を浮かべていた。それはその場限りの一場面を映したに過ぎないが、間違いなく真実でもある。


 銀は静かにそれを胸ポケットに入れ、違う方向へと歩き出した。


 今こうしている間にも世界のどこかで『鬼』は蠢いていて、此方の世界に出てこようとしている。人類の多くは未だその存在を認知していない。質の悪い冗談だと、そんなものはいないと、心のどこかで信じている人もいる。


 それでも世界は確実に危機に瀕している。約1年前に起きた『四・一異変』以降も『鬼』は各地で『異変』を起こしている。


――黒猫一匹の好奇心に構ってる暇はないのだ。

星見ほしみ さくら

沖夜宵と同級生の少女。数ヶ月だけ夜宵よりもお姉さんなのを誇っている。現在高校1年16歳。

穏やかな見た目と言動、趣味、素振りに至るまでお嬢様そのものな擬態が得意。すぐ眉をひそめる癖が庇護欲を駆り立てるが芯が強靭、信念という名の思い込みは親友以外手が出し難いほど強情。


作者談

作者原作ではなく、友人が作ったキャラを頂いています。本人はフリー素材だから言ってたけど、ビクビクしながらこの作品に出させて貰ってます。ありがとう。


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