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異世界小説家  作者: キクメン


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99:街道の旅

 始まりの町からおよそ400キロも離れた地点をわずか半日で徒歩で移動するというとても人間技とは思えない行程で本日宿泊する村へと到着した。


 小さい割には綺麗な宿屋に入り、有難いことに全員個室でしかも私の分の料金も払ってくれた。いったん荷物を置いてから別の小さな料理店に行って夕食をとった。ここも小さな割には出てくる料理はなかなかに豪勢なメニューで味も実に良かった。


 その後温泉があるということで、宿屋とは別の風呂屋に行って汗を流した。風呂屋では専用の腰にかける簡易的なパンツのようなものが渡されて、それを着用して入浴した。


 始まりの町とは少し違ったほんのり緑色がかった森の香りのする良い温泉で、風呂上りには休憩所にて果実酒を飲んで夜風にあたり、火照った身体を冷ましてから宿屋へと戻った。


 自室にてベッドに身体を入れると肌触りの良い清潔なシーツではあるのだがヒンヤリしており、早くもポルルの干してくれたフカフカの温かい布団が恋しくなってしまった。


 翌朝、朝から営業している飯屋に行って朝食をとり、宿屋に戻って支度を整えてチェックアウトし、今日もひたすら風移動魔法をかけてもらいながらの高速徒歩行軍を続けた。


 平均年齢が何歳になるかは分からないが、どう見ても高齢で白髪のハルケンロルグですら全く息があがることもなく歩き続けるのを見て、やはり魔法の力などでもない限り不可能だろうと思った。


 そうして移動し続けていると緑地が大分増えてきたのがはっきりと分かり、やがて遠い先の方には森の姿を目にすることが出来た。


 今日も午前中にいったん小さな村で小休止し、その後さらに数時間移動したところで、昼食休憩となったのだが、ちょうど森の手前に存在する村に到着した。中規模程度の大きさの村で、畑もなかなかに充実していて、森の方からは木こりと思われる村人が木を伐採している音も聞こえた。


 やはりこの村も行商人が多く利用しているようで、飯屋もなかなか繁盛していて取れたて新鮮野菜や森で採れたキノコや山菜が多く使われた料理は大変身体に優しく、素朴な味付けではあるがその分素材本来の持つ旨みが十分に引き出されていてとても美味しかった。


 ちなみに食後に出てきた団子が実に美味しくてかなり買い込んだ。これも始まりの町に帰る際は沢山買って帰ろう。そうして食後休憩を十分とった後でまた移動を再開した。


 森の中もしっかりと固い土で舗装されており、ここが交易上の街道であることが伺えた。時折土の魔法使いと思わる人と村の土木作業員達が協力して、道路の補修を行っているのを目にした。なるほど、これが生活魔法かと感心した。


 昨日の午後は二回小さな村で小休止したが、今日は森の奥ということで数件程の家がある小さな集落に立ち寄った。どうやら行商人達相手の峠の茶屋的な店で収益を得ているようだった。他にも森に狩りに来た人の休憩所でもあるようだった。


 茶屋以外にも小さな宿屋や狩りで使う道具の修理をしていると思われる店、そして獣の毛皮などをぶら下げている家屋もあった。毛皮を見ると大きなイノシシのような感じだった。


 一回目に立ち寄った峠の茶屋を後にしてからしばらくいくと峠の山頂に辿り着き、そこから見下ろす下界の遥か前方には草原が広がっており、さらにその先には目を細めてようやく分かる程に小さく、人口の建造物が多く存在する場所があるのが見えた。


 二回目の峠の茶屋は山の下りの中腹あたりにある小さな集落で、なんとなくこれまでの建物と雰囲気が変わった感じがした。建物がより頑丈に作られているように見えたが、恐らくここは冬には積雪があるのだろう。さらに村人達の着ている服もどことなく違う感じがした。また、大きな熊のような毛皮も建物の壁に飾られていた。


 その後また移動を再開し、程なくして森を抜けて草原地帯に入り、さらに進んだところで両サイドに見事な黄金色の小麦畑が現れてきた。そうして辺りが少しづつ夕暮れ時に近づいてきたところで、それなりの規模の村に到着した。


 村に入ってまず目についたのが大きな風車小屋で、間違いなく小麦を挽いて小麦粉を作っているのだろうと想像出来た。またところどころ魔法石を使った街頭を目にすることが出来て大分生活魔法が浸透しているのが分かった。


 村に入ると村長が直々に出迎えてきて、とても丁寧に挨拶をしてきた。やはりここまでくると大魔法協会の影響力も大きいようで村人達も手を振って歓迎してくれた。


 この村では宿ではなく、そこそこ大きな家に泊まることになり、どうやらそこは大魔法協会が保有している宿泊所のようだった。


 中に入ると普段から常駐していると思われる魔法協会員が出迎えてきて手厚いもてなしを受けた。とりわけハルケンロルグを筆頭に使節団の4人に対してはいかにも位や身分が高い人に対しての接し方といった態度だった。


 そんな中若輩者で防具を身にまとった、いかにも冒険者風情の私に対しても、とても丁寧に対応してくれて大いに好感が持てて嬉しく思った。どうやらここにいる人達にも私の事が伝わっているようで、私が採掘してギルド経由でもたらされた鉱石について皆から感謝された。


 夕食には驚くべきことにピザが出てきて、私は生まれて初めて石窯で焼いた本格的なピザというものを食べた。これまでは宅配ピザか冷凍食品のピザしか食べてきたことがなかったのだが、ここで出されたピザはまず生地からして感動的な美味しさで、その上にタップリと乗せられたチーズと、トマトやジャガイモに似た野菜のスライスも最高に美味しく、あっという間に一枚完食してすぐに二枚目を持って来てもらった。


 そしてまたサイドメニューのオニオンスライスと生ハムがこれまた絶品で何皿もおかわりをしてしまった。私以外の人も皆沢山おかわりしていたので、一人だけ恥ずかしい思いをすることなく沢山おかわりをした。


 小麦だけでなく大麦も栽培しているようで、食後にはビールに似たお酒が出てきたが、私はビールは苦手なので別の飲み物をお願いしたところ、初めて見る発泡酒が出てきて、こちらも麦を原料としているが苦味は全くなく、この近くで獲れる果物の汁が沢山入っており爽やかな甘味のあるフルーティーな発泡酒で大変美味しくかなり気に入った。


 その後始まりの町の宿屋にある共同風呂と同じ位の広さの風呂に入った。始まりの町にある浴槽は磨き石だったがここでは木の浴槽だった。ヒノキのような香りがしてこれはこれで日本人としては実に良いものだった。


 その後個室部屋が用意されてベッドの布団の中に入ってみると今日はほんのりとした温もりがあり、ちゃんと干してくれたんだというのが分かった。これはやはり協会の会長という役職のおエライさん達と一緒だから特別に待遇が良いのだろうかなどと考えながら、ポルルの干してくれた布団を思い出しつつ眠りに包まれていった。


 翌日、朝から私は大いに感動した。これまでスーパーで買っていた食パンとは比較にならない程に美味しいトーストが出てきて、もうおかずなしでトーストだけでもいくらでも食べれそうな程に美味しく感動的な食パンだった。


 そこで私は自室に戻ってモウムのバターとチーズを持ってきて試してみたところ、なお一層抜群に美味しくなり、皆にも勧めたところ、皆も大変美味しいと喜び、どこで売っているのかと給仕をしてくれた協会の人達からも聞かれ、モウム達の世話をしている少女のことを教えると、正常な交易ルートも再開したことなので必ず買いに行くと言ってくれた。その逆に私はこのパンはどこで売っているのかを聞き、この村で評判のパン屋を教えてもらった。


 最高のトーストセットモーニングで朝から大いに幸せいっぱいな気持ちになり、今日も歩くぞと意気込んで支度を整えて外に出たところ、なんと馬車のようなものが2台用意されており、今日はこれで町まで移動するとのことだった。

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