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異世界小説家  作者: キクメン


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97/383

97:教育方針

 始まりの町の立派な会館にある貴賓室にて、あわや大惨事になるところだったのだが、ウェイルーと呼ばれた女性魔法使いの分厚い水の壁と、他の人達の素早く正しい判断によって何事もなく無事に済んだ。


 軽く情報ゲージを確認したところ、魔法力が100から30まで現象していた。自分では100パーセント出したつもりだったのだが、7割ほどしか出せていなかった。ウェイルーという女性は倒れる程にしっかりと魔法力を出すことが出来たようなので、自分はやはり魔法に関しては未熟なのだなと思った。


 そしてずっと空腹で腹がグゥグゥ鳴り続けている私のためにトゥルリィーンが気を利かしてくれて、夕食会で残った食事を持って来てもらった。結構な量がまだ残っていて大いに喜びモリモリ食べた。私の食べっぷりを見て、他の人達も食欲が移ったのか皆も大いに食べた。彼等も様々な人との会話であまり食べていなかったようだ。


 そうして一緒にとても美味しい食事をとりながら、打ち解けた感じの中で他の魔法協会の人達の自己紹介が始まった。


「私の名はドロル・デル・イェチェリテリ、大地の魔法に関する代表を務めているが回復魔法も少しだけ使える」


 先ほどウェイルーを介抱した褐色の肌の体格の良い男性が挨拶した。彫りの深い顔をしており、どことなく中東にいる人のような印象を受けたが正直年齢については良く分からない。多分年上だとは思うがどれくらい自分よりも年上なのか一見しただけでは分からなかった。


「私はリーン・スィー・ウェイルー、水魔法の代表で冷気の魔法も操る者です」


 近くで見ると銀髪碧眼の美しい女性だったが、恐らくこの方も自分よりは年上だと感じた。受ける印象が私よりも大人びており洗練されていた。


「初めましてタダノ殿、私はウィルド・ウォン・トゥルリィーンと申します、風魔法の代表で少しだけ雷魔法も使えます、そこにいるシルフィルの叔父にあたります」


 確かにどことなくトゥルリィーンに似た実にハンサムなエルフの男性だった。恐らく私よりも年長だと思うが何せエルフということでこの中で一番年齢が分からなかった。


 そして失礼ながらそれぞれの情報を確認してみたところ・・・


-------------------

ドロル・デル・イェチェリテリ

??歳男性

レベル:8

生命力:70

魔法力:80

持久力:50

攻撃力:3

防御力:4

素早さ:3

幸運度:3

魅力:3

魔法技能:8

異常耐性:3

【スキル】

杖使いLv4

【魔法】

土の槍小

土の壁中

土のゴレム中

弱回復

-------------------


-------------------

リーン・スィー・ウェイルー

??歳女性

レベル:8

生命力:50

魔法力:80

持久力:40

攻撃力:3

防御力:3

素早さ:3

幸運度:3

魅力:4

魔法技能:8

異常耐性:3

【スキル】

杖使いLv3

【魔法】

水鉄砲小

水の壁中

弱冷気

-------------------


-------------------

ウィルド・ウォン・トゥルリィーン

??歳男性

レベル:8

生命力:60

魔法力:80

持久力:40

攻撃力:3

防御力:3

素早さ:4

幸運度:3

魅力:3

魔法技能:8

異常耐性:3

【スキル】

弓使いLv4

【魔法】

風の刃小

風の壁中

風移動小

雷の槍弱

-------------------


 全員自分よりもレベルが低く、魔法力も下なので内心とても驚いたが、魔法の威力、とりわけ守りの壁の威力が私よりも高い中のレベルだった。やはり技術的な面では私よりも上なんだなと感心した。


「今一度改めて私の名はオルストス・ラー・ハルケンロルグ、元はそなたと同じ火の魔法を使っておったが、今は回復と治癒魔法の代表を兼任しておる」


-------------------

オルストス・ラー・ハルケンロルグ

??歳男性

レベル:9

生命力:70

魔法力:90

持久力:50

攻撃力:4

防御力:4

素早さ:3

幸運度:3

魅力:5

魔法技能:9

異常耐性:6

【スキル】

杖使いLv5

【魔法】

火の玉小

火の壁小

中回復

小治癒

-------------------


「回復魔法と治癒魔法はどのような違いがあるのでしょうか?」


「うむ、回復魔法は怪我を治し、治癒魔法は毒消しや病気の初期症状までなら僅かに病人の自己回復を助けることが出来る、生まれ持った持病や慢性的な病気までは治すことは出来ん」


「凄い!病気を治す魔法があるんですね!」


「治すと言ってもまだまだほんの僅かに初期症状の病人の手助けすることしか出来ん、幼い子供や年老いた者や病弱な者など自己回復力が弱い者にはあまり効果がないのだ。私は魔法協会の仕事をこなさねばらなぬ身ゆえ、今は前途有望な治癒魔法使いの育成に力を入れておる」


「病気も魔法で治せるようになれば素晴らしいですね」


「うむ、だが魔法だけではどうにもならないことの方が多く、治癒魔法を学ぶ者は薬学も一緒に、いや、それ以上により多く深く学ぶことで互いに良い力を引き出すことが出来るのだが、なかなか薬学を真剣に学ぶ者が少なくて困っておる」


「なるほど、確かに薬学は難しそうですものね」


「うむ、生活魔法を磨くことは確かに有益だが、治癒魔法もそれ以上に有益なのだがなぁ・・・さて、タダノの今後の教育方針なのだが私はイフリルの下で学ばせるのが最も良いと思うのだが、皆の意見はどうだろうか?」


「うぅーむ・・・イフリルですか・・・」


「確かに彼女が最も火の魔法に長けているとは思いますが、その性格も火のように苛烈なものですからタダノさんの穏やかで優しい性格の方と果たして相性が合いますでしょうか」


「その点は同意しますが、先程見たタダノ氏の尋常ならざる魔法力は会長が提案した通り彼女ぐらいしか御しえないのではないかと思います」


「確かにそうですわね・・・」


 これから教わる当人の目の前で実に不安になるようなコメントが交わされた。しかも名前からして苛烈な感じがすごくする。確かイフリートって炎の魔人か何かだったような気がするが・・・


 私はむしろ回復魔法や治癒魔法を学びたいと言った方が良いのではないかと思ったが、回復はともかく薬学について学ぶことは全く自信がなかった。


「タダノ氏はかのワイバルンも一撃で倒したほどの歴戦の強者ですから例え相手がかのイフリルであってもうまくやっていけるのではないでしょうか」


「そうだな、これまで冒険者として数々の修羅場をくぐり抜けてきたであろうタダノ殿ならば、イフリル相手に後れを取ることはないかもしれん」


 何だか魔法を教わるというよりも、戦いに挑むような表現に聞こえてきて、ますます難しい薬学の勉強でもいいから回復魔法と治癒魔法の方を学びたくなってきた。


 そうして私は彼等の目の前にいるのに完全に置いてけぼりのような感覚を味わいながら、教育方針が決まっていくのを耳にし、明日は各々朝食をとったあとで大門に集合することを伝えられて貴賓室を後にして宿屋へと向かった。


 宿屋の自室へと戻ってみると机の上に何通か手紙が置いてあり、大感謝祭のお小遣いをもらった孤児達やバザーで手作り品を買い占めてあげたうえにお小遣いをあげた孤児達からの感謝の手紙だった。


 それら一つ一つを読むだけで心が温まり、現実世界に戻って寝支度を整えてから、今夜が最後のポルルの干してくれた心地良い布団の中で心も体も温まりながら幸せな気持ちで眠りに着いた。


 このひとときだけはこれからの魔法修行の不安もかき消されたかのようだった。

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