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異世界小説家  作者: キクメン


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93/383

93:承認不可

 大地溝帯で出会った野良モウム達の寝床と思われる場所には巨大なクジラの化石があり、その裏側に巨大なドーム空間があることを発見し、その中に入って壁一面に大きな壁画が描かれているのを見つけ、驚きながらも壁画を見続けた先に、透明なクリスタルの石板が乗せられている何かの金属で作られた台座の前に私は立っていた。


 私は何を思ったのか、無警戒にも程があるにも関わらず、何故か石板の上に手を乗せてみた。すると透明なクリスタル石板が輝きだし、私の身体をスキャンし始めた。そして・・・


『認証・・・レベル規定値を満たしていないため、承認不可』


「!!!」

 何だ!?何だコレ!?異世界の言葉でも日本語でも英語でも中国語でもフランス語でもドイツ語でもないぞ・・・って日本語以外良く分からないけど。


 レベル規定値?満たしていない?って何を承認しようとしているんだ?


「えっと・・・レベル規定値はどれくらい?」


『・・・当地域のレベル規定値は20』


 20!レベル20と言えば以前西のハデレス神殿から南西に行ったところで見つけた扉を開けることが出来なかったボス部屋がレベル20だ!


「承認されれば何が出来るの?」


『・・・メッセージとギフトを受け取ることが出来ます』


 メッセージとギフトだって!?古代人からのメッセージとギフトがもらえるのか!これは気になる!知りたい!是非とも欲しい!しかしレベル20か、どうやったらレベルを上げられるんだ?この辺りの敵を倒してもまるでレベルが上がる様子がない。もっと色々探索しないとダメなのだろうか?


 他にも色々と質問してみたが、ほとんど何も反応がなかった。


 そうしてもっと何かないか辺りをくまなく探していると、夜鷹の目の眼鏡は暗闇は見えるが色までは良く分からず気付かなかったのだが、壁の付け根に落ちている石ころのようなものが、どうやら紫色っぽいようで試しにこぶし大程のものを持って、外に出て見ると鮮やかな紫色の美しい石であることが分かった。


 自分は宝石や鉱石にはまるで詳しくないので分からないが、それでもこれが紫ヒスイではないかと思った。だとしたらあの場所にはこれがゴロゴロ大量にあるぞ。思わぬところで宝の山を発見してしまった。


 しかし、これはどうしたらいいだろうか、このことを発表するべきか・・・


 しばらくその場で考え込んだ私は、このことは誰にも言わないことにした。何故かは分からないが、異世界からチート能力に近い力を持った私が言うのは何か違う気がしたのと、これ以上私が有名人になってしまうのを避けたいからだった。


 とりあえず私は紫ヒスイを10個程とってアイテム格納バッグにしまい、ドーム空間の入り口を別の場所から持ってきた大きな岩で覆って隠した。


 そして巨大ワニがいた場所まで戻って、紫ヒスイを5個程でたらめに川に向かって投げ入れて、さらにアイテム格納バッグから巨大ワニを取り出して口の中に入ってその奥に一つだけ紫ヒスイを入れてからもう一度巨大ワニをバッグに格納した。


 我ながら恐ろしいと感じる程の偽装工作で、いよいよ嘘つきから詐欺師か犯罪者になりつつある自分に戦慄した。


 それからアイテム格納バッグから久しぶりに水上歩行可能なブーツを取り出して水の上を歩き、大きな魚を何匹か槍で突き刺して捕らえた。全て頭を一突きして仕留めた。大きいもので1メートルを優に超え、なんとなくサケのような見た目の魚だった。


 私はここで計画を変更して町に戻ることにした。いったん最初の場所に戻って現実世界に移動してお弁当を食べてゆっくり休んでから、ゆるいペースで町に向かってランニングしながら戻った。町への予定到着時間が大体午後の3時くらいになるように調整して進んだ。


 大門が遠くに見えてきた辺りで、周りに人がいないことを確認してアイテム格納バッグから荷車を取り出し、その上に巨大なワニを置いてその上に魚を置いてから大門へと近づいた。


 大門に近付くと久しぶりに行商人達が驚いた様子で荷車の上の戦利品を見て「魚だ!デカイ魚がいる!」「見たこともない大トカゲだ!」「一体どこで獲ってきたんだね!?」などとひとしきり大騒ぎしたものだから、待機所から門番たちが駆けつけてきた。


「おうタダノか!明日戻るんじゃなかったのか?」


「ええ、紫ヒスイを発見したのと、珍しい食材を手に入れたので戻ってきました」


「何だと!紫ヒスイだって!?」


 2日後には大感謝祭があるので、中央大陸からも多くの行商人が来ていて大門の周りは多くの行商人達がいたのだが、皆一様に紫ヒスイと聞いてざわめきだした。


 門番はすぐに冒険者ギルドに行くんだと言って、荷車を競売所の方に運んでいった。


 私は冒険者ギルド建屋に入り、すぐには受付カウンターに行かず、掲示板に貼ってある人気がなくて古くなって色あせた依頼書を持ってから、受付カウンターに向かった。


「おやタダノさん、依頼ですか・・・って、えっ?この依頼ですか?明後日は大感謝祭ですし、翌日には魔法の町に留学に行かれるのでは?」


「えっと・・・コレ・・・で合ってます?」

 私はリュックからリンゴのような大きさの紫ヒスイを取り出した。


「エーーーッ!!」


 カウンターにいたギルド職員だけでなく、近くにいた冒険者達も寄って来て目を丸くして驚いた。


「いっ!今ギルド長を呼んできますので、いつもの部屋でお待ちを!」


 そうして私は恐らくこれが最後になりそうなVIPルームへと歩いて行った。


 程なくしていつもの女性職員がいつものシナモン入りミルクティーを運んで持ってきてくれた。


「こうしてタダノさんにお茶をお持ちするのも最後になりそうですね」


「そうですね、これまで美味しいお茶を有難う御座いました、本当に美味しくてホッすることが出来ました」


「魔法の町に留学なされても、一月に一度はこちらに戻られるとお聞きしました、いつでもまた遊びにいらしてくださいね」


「はい、有難う御座います、是非また美味しいお茶をご馳走して下さい」


「かしこまりました」


 その後最後の甘いシナモン入りミルクティーをじっくりと堪能し終えた頃に、丁度良いタイミングでウォルロッドと大魔法協会の使者二人が入室してきた。


「オイオイオイ、タダノ、お前さんよ、お前さんときたら最後の最後まで驚かしてくれるじゃないか、ええ?オイ、たまげたぜさすがに、とりあえず何がどうしてこうなったのか、詳しく聞かせてもらおうじゃないか」


 そうして大地溝帯で起きた出来事を虚実交えて報告した。真実3割嘘7割だった。しかもこれからお世話になる大魔法協会の使者に対しても嘘をつくことになった。嘘発見の魔法とかあったら、もうこの世界にいられなくなることだろう。


 虚実入り混じれた説明をしているうちに、競売所からも大きなトカゲの体内から紫ヒスイが見つかったという報告がやってきた。


 私の偽装証言は、大トカゲや魚を捕まえていた際に川底が紫色に光るのを見つけ、もしやと思って採ってみたところ紫ヒスイだったというものだった。現地で紫ヒスイを川に投げ入れたのはこの証言を裏付けるための偽装工作だった。


 そしてリュックの中から残り3個の大きな紫ヒスイを取り出して見せたところ、大魔法協会の使者二人は声を上げて驚いた。


「驚きました・・・これ程の大きさと純度の紫ヒスイなど見たことも聞いたこともありません、恐らく記録文献にも存在しないでしょう」


「その通りですわ、しかも3個、トカゲの体内にあったものと受付に渡したものも含めると5個もあるなんて、信じられません、これ程の数があれば北方の魔族国境線での戦局が大いに変わりますわ」


「どうだ、これが冒険者タダノだ、正直なところ魔法使いにするのがもったいない奴なんだ」


 実は数えきれないほどの数があるとは、口が裂けても言えなかった。

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