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異世界小説家  作者: キクメン


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91:留学報告

 冒険者ギルド建屋の毎度お馴染みVIPルームにて、大魔法協会から正式に招待されることが決まり、しかも大感謝祭当日は大魔法協会の会長が直々にやってくるという驚きの報告を聞かされた。


 魔法の聖地と呼ばれている中央大陸のそのまた中央にある魔法の町で、私は魔法を学ぶことになり、寄宿舎も用意されるとのことだった。


 宿泊費用や学費は幾らかかるのか聞いた所、無料だと言われて非常に驚いた。食費や生活費は実費でお願いしますと言われたが、それでもなんという好待遇だろうかと感激して喜んだ。


 しかしそうなると、いよいよこの町ともしばらく離れなければならなくなる、トラやヨクリュー、そしてなによりポルルのことが大いに心配だ。


「ここから魔法の町までは遠いのでしょうか?」


「タダノ殿がワイバルンを討伐していただいたおかげで峠越えが可能になりましたので、中2日宿泊を挟んで3日目の朝には到着する距離です」


「早ザラや早ルマで小休止を挟みながら進めば2日で到着出来ますし、特別に訓練された者ならば最短で丸1日で到着することも可能ですわ」


「良かった、そんなに遠くないんですね」


「タダノはポルルのことが気になるんだろう?」


「はい、トラやヨクリューはこれから大きくなっていくでしょうから少し心配です」


「大丈夫だ、ギルドからもサポートするので安心して任せてくれ」


「タダノ様、一月に一回はこちらの町に戻れるように休息日を設けられてはいかがでしょうか?こちらかもそのように協会にはお伝えしますが」


「有難う御座います、是非そうしていただきたいと思います」


「かしこまりました、本部にはそうお伝えしておきます」


 その後も今後についての参考になる話しを聞き、昼になったので一緒に飯屋に行って昼食を食べ、宿屋に行って宿主のウォルゼル婆さんに魔法の町に留学することになったことを報告することにした。


 宿屋の玄関に入ると実にタイミングの良いことに受付カウンターにウォルゼル婆さんが座っていた。


「せがれから伝書鳥が届いたが、アンタ、中央大陸に行って魔法の勉強をするんだってな」


「あっ、はい、そうです、大感謝祭の翌日に大魔法協会の方々と一緒に行くことになりました」


「うむ、ちょうどアンタが来てから30日目だね、宿代分きっかり泊れて良かったね」


「はい、お世話になりました」


「うむ、せがれから聞いたけど一月に一回はこっちに来るんだろう?」


「はい、トラとヨクリューとポルルに会いに毎月帰ってきます」


「そうかい、そうしてくれるかい、うん、それは良かった、アンタには本当に感謝してるんだよ、アンタがこっちに戻って来てくれた時にはタダで泊めてあげるからウチに来ておくれよ、アンタの部屋は空けておく、まぁ一番人気のない部屋だから誰も利用しないと思うけどね」


「有難う御座います」


「うむ、ポルル達にもちゃんと伝えておくれよ」


「はい、しっかり伝えます」


 ウォルゼル婆さんが奥の部屋に戻っていくのと同時にトラとヨクリューが私の声か匂いかその両方かに気づいたらしく元気よくやってきた。その後ろにポルルもついてきた。


 いつも通りモウム達のいる場所に向かっていったが、いつもとは違ってトラもヨクリューも私にくっついて離れず仕方がないので二匹とも抱いて歩いたのだが、私は力持ちなので重たくはないのだが歩きにくく、とりわけヨクリューは結構大きいので大変だった。前が見えにくくて道が分からないのでポルルが上着を引っ張って教えてくれた。


 モウム達のいる柵に近付いてようやく二匹とも私から離れたところでポルルと二人きりになったので、ポルルに中央大陸のさらに中央にある魔法の町に留学に行くことを話すことにした。


 ポルルは最初は私の目を見て聞いていたが、その後はトラとヨクリューの方を見て、私の話しを頷きながら聞いていた。私は何故か必至に弁明するようになってしまい、必ず毎月一回は戻ってくると強く強調した。さらにお互いに伝書鳥で報告しようとも言った。トラとヨクリューの様子を知りたいし、こちらからもどういう状況か報告するから連絡して欲しいとお願いするとポルルはコクリと頷いた。


 ひとしきりトラとヨクリューは遊んだ後で、こちらに戻ってきたので、私は二匹を抱いて目を見て「ちゃんとお母さんの言うことを聞いて良い子にするんだぞ、毎月一回は必ず帰ってくるよ」と言うと「ギャァウ!」と「クェェツ!」と元気に返事をしてくれた。そして帰り道も二匹を抱きながらポルルに引かれて宿へと戻った。


 その後魔法の本とそれ以外で借りていた本を返却しに図書館に行き、司書の方にも中央大陸にある魔法の町に留学に行くことを知らせると、向こうでは魔法に関する書籍は膨大にあると教えてくれた。


 それから道具屋、防具屋、武器屋、服屋に行って留学に行くことと、一月に一回は戻ってくる旨を伝え歩いた。道具屋の店主トルバノからは何かピンときた魔法具などがあれば高値で買い取るのでよろしく頼むと言われ、防具屋や武器屋でも同じようなことを言われた。


 あちこち回っているとどこも餞別としてちょっとした便利グッズをくれた。例えば武器屋では簡易的な砥石、防具屋では革に塗りこむ油、道具屋では小銭入れなど実に有難かった。


 こうしてあちこち回っているうちに夕食時になったので高級料理店に行き、いつもの席でいつもの給仕にも留学の件と月に一回戻る件を伝えると、現時点で調べ上げた大地溝帯の食材になりそうな動物についての調査結果書を渡してくれた。


 夕食を終えて部屋に戻って給仕からもらった大地溝帯の食材に関する報告書を読んでいるうちに、大感謝祭までの2日間のうちに大地溝帯に行ってみたいなという思いが強まり、明日から泊まり込みで大地溝帯に行くことに決めた。


 翌朝、身支度を整えて枕の上に10デン硬貨と羊皮紙に今日から大地溝帯に行って明日の夜に戻ると書いて置いておいた。


 ザラ小屋から荷車だけを借りて、飯屋に行って朝食を食べて弁当3っつとナンに似たパンを買い込んで大門へと向かい、門番にはしばらく町には戻って来れなくなるので大地溝帯に行ってその素晴らしい景観を目に焼き付けて、ついでに何か食材になりそうなものを探しに行き、明日の夕方頃に戻ってくると伝えた。門番達もどこから聞いてきたのか、私の留学については知っているようだった。


 そうして私は最初からほぼ全速力で大地溝帯に向けて走り出した。途中で辺りに誰もいなくなったところで荷車をアイテム格納バッグに収納して走り、走り疲れたらポータルゲートで現実世界に戻って休憩すれば異世界では全然時間が経過しないのでとにかく全速力で走って時間を稼ぐことにした。


 さすがにほぼ全力の疾走ともなると結構疲労するがそれでも全力で1時間も走り続けられるというのは普通の人間ではほぼ不可能なことをやってのけて、現実世界で同じ位の時間をかけてゆっくり休んでからまた異世界に戻って走り続けた。その甲斐あってなんと2時間程で大地溝帯に着くことが出来た。恐らくまだ朝の8時にもなっていないぐらいの時間だ。


 目の前には雄大な大地溝帯が広がり、やはりこの壮観な眺めは非常に心揺さぶられるものがあると感じた。


 私は早速谷底まで斜面をまるで転がり落ちているかのような速度で進んで、あっという間に谷底に到着した。そして下から眺める景色も実に圧巻で大いに感動しつつも、バッグから双眼鏡を取り出して生き物を探した。


 数百メートル先に地面が平らな河原があり、そこで何やら水を飲んでいる大きな動物がいるのを見つけたので、早速槍の鞘を抜いてそこに向かって走り出した。


 ところが、まだまだその場所に到達するまでに距離があるにも関わらず動物達は慌てた様子で逃げていき、まさかこの距離でもう私の存在に気付いたのだろうかと思ったところ、思いもやらぬ出来事が起きたのだった。

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