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異世界小説家  作者: キクメン


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90:正式招待

 中央大陸の大魔法協会本部からやってきた二人の使者から、自分には魔法の才があると言われ、ウォルロッドも含めて今が魔法を学ぶ最大かつ最後のチャンスだと言われたので、自分も本格的に魔法を学んでみようと思った。


 会談を終えてギルド建屋を出ると、腹が減ったのでとりあえず飯屋で昼食をとり、その後は宿屋へと戻ることにした。玄関を通過して階段を登っているとトラの足音とパタパタというヨクリューの翼の音が聞こえたので振り返って、二匹からの熱烈なアタックというよりも突進を受け止めた。


「うん、今日のお仕事はもう終わったから、一緒に行けるよ、着替えてくるからポルルと一緒に待ってて」


「ギャウ!」

「クェッ!」


 一体どういう育て方をすればこんなに物分かりの良い子になるのかと不思議に思いながら、部屋へと戻り防具を脱いで槍を置いて袋に入れた棒を肩に斜め掛けして玄関へと向かった。


 そうしていつも通りモウム達のいる場所に行って、トラとヨクリューとモウム達とポルルを眺めて大いに心が癒されて、今日起きた出来事もすっかり忘れる程に緊張感から解き放たれた。人生にはこういう癒しが必要だと痛感した。


 その後宿屋に戻ったときにすっかり忘れていたことを思い出し、ボルグド村の農園でもらった果物を持ってきて一緒に食べようと言ったのだが、現実世界では見たこともない果物なのでどうやって食べればいいのか全く分からなかった。


 するとウォルゼル婆さんがやってきて「あぁアンタ良い物持ってるね」と実に良いタイミングで言ってくれたので「皆で食べましょう」と言って渡すと「ちょっと待ってな」と言って奥の部屋に入っていった。


 程なくして三日月型にカットされた果物が沢山皿に乗せられて出てきた。一つ手にして食べてみたところとても爽やかかつ甘くてとても美味しかった。メロンのような味でもあり、バナナのような食感でもある不思議な果物だったが、美味しい事だけは間違いなかった。


「うわ!コレ凄く美味しいんですね!」


「あぁこれは結構良い値段がする高級果物だよ、ホレ、ポルルもお食べ」


 ポルルも小さい手で一つ取って口に入れた途端、目を大きく見開いて、とても癒される笑顔を見せてくれた。ああ、実に癒される。


「クェッ!クェェーッ!」


「おや、アンタも食べたいのかい?」


「クェェーッ!」


「ホレ、おあがり」


「クェッ!クェッ!クェーッ!」


「おおそうかい、気に入ったかい、そんなに美味しいかい」


 そうしてトラ以外の三人と一匹で果物を美味しく食べた。ちなみに一番食べたのはヨクリューで次にウォルゼル婆さんで私とポルルは4切れ食べた。


「もう他にないのかい?」


「えっ?まだありますよ」


「すまないんだけどウェンデルや他の子にも食べさせてあげたいんだ」


「あっ!そういうことなら是非他の子達にも食べさせてあげてください!今全部持ってきます」


 そうして現実世界にいる時にでも食べようと思っていた分も全部ウォルゼル婆さんに渡した。2個あるので結構な人数が食べれると思う。


「ありがとうな、お前さん」


 ウォルゼル婆さんはとても嬉しそうな顔をして喜んだ。私もとても嬉しくなった。


 その後図書館に行って一冊しかない魔法の本を借りてきて、夕食の時間までの時間調整を兼ねて現実世界でしっかり予習しておくことにした。


 しかし読み始めてすぐに残念ながら欲しい情報はあまり記載されていないことが分かった。大昔に人類が初めて大海原を超えて魔族人類と接触した時に魔族人類が使う不思議な術を見て魔法と呼ばれるようになったとか、基本的な種類と代表的な技の説明があるだけで、具体的にどのように習得していくものなのかといったことに関しては全く書かれていなかった。


 まぁあまり先入観を持たずに魔法の聖地、本場に行って現地の人達から直に学ぶ方が良いだろうということで気を取り直して、異世界に戻って夕食に出かけることにした。


 高級料理店に行くと看板に大感謝祭ではワイバルンのステーキプレートを500デンという破格の値段で提供すると書かれていた。また切り落とし肉を使ったシチューも一杯200デンというこれまた破格の値段で提供するとも書かれていた。


 これはどこかひっそり人目につかないところでアイテム格納バッグにしまってリピートしたい。一人一皿とかっていう決まりがあるのだろうか。


 いつもの席で食事中にいつもの給仕にそれとなく聞いてみたところ、ワイバルンの肉の大きさと町の住人の数から、十分な数は確保されているので一人何皿でも問題ないとのことだった。そもそも一皿でも相当ボリュームがあると言っていた。やった!これは凄く楽しみだ。


 そうして1日を終え、翌朝飯屋に行ってみると、飯屋でも看板が新たに追加されて、大感謝祭ではワイバルンのサンドが300デンで切り落とし肉の雑炊が200デンで提供するとのことだった。こちらも特に一人一皿ということはなくいくらでも食べてくれととのことだった。ようし10個はさすがに怪しまれるが5個くらいは確保しよう。


 その後肉屋に寄ってみるとやはり看板にてワイバルンの肉特別価格にて提供と書かれていた。店の人に一人一つまでとかあるのかと聞いてみると、特にないとのことで幾らでも買っていってくれと言ってくれた。ヨシッ!大量に買い込んでおこう。


 大感謝祭まであと3日ということで、冒険者ギルドのあるメインストリートでも様々な店が立て看板に特別価格にて提供とか目玉商品が大特価などと書かれていて、あちこちで特設販売用の仮説の店舗が組み立てられていた。それらを見ながら実にウキウキした気分になって宿へと戻った。


 宿に戻ると久しぶりの独り占め風呂に入ろうということで脱衣所に行くとトラとヨクリューが仲良く待っていて、一緒にお風呂に入った。まさに心も体も癒される至福の時間だった。


 入浴後自室に戻ると机の上に手紙が置いてあり、一つは洗濯をしてくれるウェンデルから美味しい果物を有難う御座いましたと書いてあり、もう一つは大魔法協会の使者からの手紙で報告したいことがあるので冒険者ギルドに来て欲しいとのことだった。


 早速ギルドに向かう途中いったん裏庭に寄って、もしかしたら話しが長引く可能性があるとポルルに伝えてからギルド建屋へと向かった。


 いつものVIPルームに入室すると既に役者は揃っていて、ウォルロッドの横に腰かけるとすぐに本題に入った。


「タダノ殿、大魔法協会本部から正式にタダノ殿を招待することが決まりました。大感謝祭では本部から会長が直々に来ることになり、大感謝祭の翌日に皆で一緒に中央大陸の大魔法協会へと向かうことになりますがいかがでしょうか?是非タダノ殿におかれましては御同行願いたく存じます」


「・・・えっ?あっ!有難う御座います!喜んでご一緒させていただきます!」


 話の展開が大き過ぎて脳の理解がついて行けず、一瞬の間を置いてから二つ返事で了承した。


「おお!それは良かった!会長もタダノ殿には非常に興味を示しておられるようで、会うのが楽しみだとおっしゃられておりました」


「いや、しかし私のように魔法に関する知識も経験もない者ではガッカリさせてしまうのではないでしょうか・・・」


「ご心配には及びません、昨今のやたら技や理屈に傾倒する風潮を会長もあまり良しとは考えておられず、それよりも長年に渡って地道に辛い修練でしか得られない魔法力を持ったタダノ殿を高く評価なされています」


「その通りですわ、知識や経験、そして技はこれから幾らでも学んでいけます、そのための基礎となる土台がしっかり築かれているタダノ様ならば、その可能性は無限大に広がっていると思います、会長もその点に大いに期待しておられるのです」


「いっいやぁ~、ハハハ・・・えっとその、期待に応えらるように頑張ります」


 目の前でまるでファンタジーゲームに登場するCGで描かれたような美麗なエルフからそう言われて、完全に舞い上がってしまいそうなるのを堪えるのに精一杯だった。

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