81:決戦前夜
町から南西にあるボルグド村の農園にて大ヌタルモドキ4匹を倒して荷車に乗せて見張りのいる門に戻ると、見張りの人はあまりの早さと一人で4匹の大ヌタルモドキを乗せた荷車を引いてきた私をみてかなり驚き、腕の立つ冒険者というのは本当に凄いものなのだなぁと大いに感心した様子だった。
村に戻っても村人達や村の代表に全く同じ反応をされた。遠目の筒を返却し、依頼終了の証をもらい、さらに取れたばかりの果物を渡されて、私は村を後にした。結局このまま行けば夕方どころか昼には大門まで戻れそうだった。
今回は大門に着くまでの間倒した大ヌタルモドキをアイテム格納バッグにしまうこともなく、装備も全て町で手に入れたものなので、一切隠し事や演技をすることなく普通にそのままの状態で大門に到着した。
やはり行商人たちが私の積み荷を見て驚き、この後この大ヌタルモドキは競売所でセリに出されるのかね?と聞かれたりした。自分の番が来ていつもの門番が「やっぱりタダノは凄いな!昼前に仕事を片付けてきたのか!」と言って通してくれた。その際何人かの行商人が「あれが冒険者タダノか」と囁き合っている声が聞こえた。
今回は自分が競売所まで荷車を引いて行き、競売所の搬入口まで来るとあとは職員達に任せて、冒険者ギルドに向かうことにした。
ギルド建屋に入り受付カウンターに行って依頼完了の証を渡すとあまりの早さに驚かれ、夕方には大ヌタルモドキのセリも終わるからその時報酬額が決まるとのことでまた後で来てくれと言われて、いったんギルドを後にした。
そのまままずは飯屋に行って、昼食を食べることにした。飯屋でもあまりの早さに驚かれ、弁当はどうしたと聞かれたが途中でおやつ代わりに食べたと答えたら笑っていた。実際はアイテム格納バッグに出来立てホヤホヤの状態で入っており、後で時間調整などで現実世界に戻った時にでも食べようと思っている。
昼食を終えた私は防具屋に立ち寄り、依頼を終えてきたことを伝えると店主ダルカルの息子も私が早くに依頼完了してきたことに驚きつつも、もう一度防具を全てチェックするというので、試着室を借りて普段着に着替えた。明日の朝までには仕上げるということで防具屋を後にした。
その後はいつもの流れで、トラをモウムのいる場所に連れて行き、夕方にもう一度ギルドに行くと4匹の大ヌタルモドキが高値で売れた分が上乗せされてトータルで1千万デンの報酬になり、その後高級料理店に行くと一番大きな大ヌタルモドキを競り落として最上級の部位の肉を確保したと聞かされたので真っ先にそれを注文して、倒した時の想定以上にジューシーで大変美味な肉を大いに堪能した。ちなみに今日は10万デンというこれまでで最も高い料理代を支払った。
帰りに肉屋にも寄ってみると、大ヌタルモドキの高級部位が一塊6万デンで売られていたのですぐに買った。やはり今度美味しい食材に関しては依頼とは別に個別で動いて確保して高級料理店か肉屋に持って行って捌いてもらおうと強く思った。
翌日、朝食を食べて独り占め風呂にトラと一緒に入った後で冒険者ギルドに行き、いよいよワイバルン討伐の依頼を持って受付カウンターへと向かった。その際多くの冒険者達から目撃されて周囲はざわついた状況になり、カウンターにいた職員もいよいよこの日が来たかと察したようだった。
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【7等級冒険者向け】
~ ワイバルン討伐 ~
【内容】
北のロックマウンテン山頂付近にいる
ワイバルンの討伐をお願いしたい
【期限】
なし
【報酬】
5千万デン
ワイバルンの状態によっては上乗せアリ
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「いよいよ、ワイバルン討伐に行かれるのですね」
「はい、今日は準備を整えて明日の朝に行こうと思っています」
「ただいまギルド長に報告してき来ますので、いつもの個室部屋にてお待ちくださいますか?」
「分かりました」
いつも以上に冒険者達の視線を背中に浴びながらいつものVIPルームへと入り、いつもの女性職員がいつものシナモン入りミルクティーを運んできて、いつもとは違う言葉を言った。
「とうとうワイバルン討伐に挑まれるのですね、どうかご無事で帰ってきてください、決して少なくない数の人達がタダノ様が無事帰ってくることを祈っているはずです」
「はい!死んでも必ず帰ってきます!」
初めて女性職員が笑った顔を見た。
そして入れ替わるようにウォルロッドが入ってきた。
「いよいよやるか!タダノ!」
「はい、この日のために準備万端整えました、後は先人からの忠告を聞くだけです」
「ようし分かった、そうだな、では何から話そうか・・・」
そうしてウォルロッドから様々な話を聞き、途中一緒に昼食を食べに行き、午後3時くらいまであれやこれやと話し合った。VIPルームから退室すると、他の冒険者達に加えて職員達も出迎えてくれて、「頑張れよ!」とか「生きて帰ってこい!」など、沢山の激励の言葉をもらって、最後に出入口で腕を挙げてみせて「死んでも必ず帰ってくる!」と大声で言うと、笑ったり勝どきをあげたりと様々な声援を受けて冒険者ギルドを後にした。
その後宿屋に行くと玄関の前の外でポルルがトラと一緒に待っていて、近づくとトラが自分の胸に飛び込んできて頭を顔にこすりつけてきて、ペロペロ舐めてきた。とても癒されながらいつものモウムがいる場所へ歩いた。
相変らず見ているだけでも癒されるトラとモウム達とポルル、まさにいつまでも見ていられる幸せな風景、こういう光景を末永く見続けられるように、自分に出来ることがあるならば可能な限り努力しようと思った。そんな風に自分のため以外の事のために思ったのは恐らくこれが初めてだった。
その後部屋に戻って、明日の戦いに備えて持ち物チェックを始めた。ウォルロッドとの会話の際に渡された道具として発煙筒のようなものが二種類渡された。
一つは青く塗られたものでこれはワイバルンを倒した時に使用してくれと言われ、二つに折ると青い色の狼煙が上がるので、それを見て山の麓から気球を飛ばすとのことだった。
気球があるのかと驚いて問いただすと、かつてワイバルンが峠に現れる前は物資の運搬に頻繁に使っていたとのことで、もしもワイバルンの討伐に成功したら、気球で迎えに行きワイバルンを吊るして麓まで運ぶのだそうだ。
さすがに荷車を引いて行くには斜面が急過ぎる場所や路面がガレ場になっているところがあるので荷車の使用は出来ないため、以前は物資の運搬には力持ちの才がある運び屋か、気球でまとめて峠越えして運搬していたそうだ。
そしてもしも怪我して動けなくなった時や救助が必要になった時は赤く塗られた発煙筒を折って使用してくれとのことだった。救助隊を結成して向かうとのことだが、二次被害を防ぐために場合によっては近づくことが出来ずに見捨てることもあり得ることを覚悟してくれと言われた。
一切包み隠さず正直にストレートに言ってくれたことにむしろ嬉しい気持ちになった。
それから武器と防具と装備品、現時点で最高最強のものをフル装備して現在の自分のステータスを確認した。
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多田野 仁
20歳男性
レベル:10
生命力:100(+100)
魔法力:100
持久力:100
攻撃力:10(+10)(+5)
防御力:10(+22)
素早さ:10(+5)
幸運度:10
魅力:10
魔法技能:10
異常耐性:10
【スキル】
情報
ステップワークLv10
キックLv8
槍使いLv10
【魔法】
小回復
火の玉小
火の壁小
【特殊】
魔法防御:0(+10)
耐熱、耐冷、耐水、耐風、耐雷
【武器】
槍
槍
投げナイフ
【防具】
胴当て
防護服
グローブ
ヘルメット
ブーツ
マント
【装飾】
首飾り
腕輪
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槍(希少)
攻撃力:10
耐久性:10
損耗率:0%
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槍
攻撃力:6
耐久性:6
損耗率:0%
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投げナイフ
攻撃力:2
耐久性:2
損耗率:0%
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胴当て
防御力:6
耐久性:6
損耗率:0%
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防護服
防御力:5
耐久性:5
損耗率:0%
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グローブ
防御力:5
耐久性:5
損耗率:0%
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ヘルメット
防御力:3
耐久性:3
損耗率:0%
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ブーツ(希少)
防御力:3
素早さ:5
耐久性:4
損耗率:0%
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マント(希少)
魔法防御力:10
耐久性:10
損耗率:0%
【効果】
耐熱、耐冷、耐水、耐風、耐雷
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首飾り(希少)
生命力:100
耐久性:10
損耗率:18%
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腕輪
攻撃力:5
耐久性:5
損耗率:0%
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正直ワイバルンに対して後れを取ることはないと思うが、相手は初めての空を飛ぶモンスターだ。何が起こるか分からないので気を引き締めていこうと肝に銘じて明日に備えることにした。




