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異世界小説家  作者: キクメン


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75:ダリウム大洞窟

 町の大門を後にして北東へ進むこと1時間半、目の前には大きな山、そして大きく口を開けたダリウム大洞窟の入り口があった。


 ダリウム大洞窟の入り口は冒険者や付近の村に住んでいる村人達が結構いて、植物を採取したり洞窟の側面を流れる雪解け水の川の水汲みをしていた。


 洞窟入り口からそこそこの距離までは照明として使用されている魔石が点々と配置されていた。恐らくここで採掘された純度の低い小さな黒水晶が用いられているのだろう。


 私はどんどん進んでいき、徐々に他の冒険者や村人たちは少なくなっていった。そして「この先照明ナシ、キケン、要注意」と書かれた木の看板が現れたところで、道具屋で手に入れた眼鏡「夜鷹の目」を装着した。


 月明かりや星明かりのない正真正銘の真っ暗闇でも果たしてこの眼鏡はちゃんと見えるのか少し心配したが、鉱石採掘専門のドワーフ達も使用しているということを聞いたので大丈夫だろうと思っていた通り、夜鷹の目は洞窟の暗闇の中でも信じられない位ハッキリと周りを見ることが出来た。


 若干色彩が分からない位だが、こうした暗闇に生息する動植物は黒っぽいか白っぽいものがほとんどだし、特に色が分からなくても不自由することはないだろう。


 照明がなくなってからの先の道はほとんど整地されておらず、先に進むにしたがって足場は悪くなっていき、照明がなければ進むだけでもかなり難儀しそうな状況になった。そして案の定早速危険な生き物もやってきた。


 やってきたのは黒大サソリだと思うのだが色が良く分からないのでシュラ村に出た大サソリとほとんど同じように感じた。そして全く自分の敵ではなかった。もしかしたら肉は美味しいかもしれないのでアイテム格納バッグに収納した。


 さらに遠くを見ると黒大サソリが数匹集まっている場所があり、これはファイヤーボールの出番か!と思ったのだけれど、燃やし殺したら肉が売れなくなるし、密閉空間で火を燃やすと酸素が薄くなるのと引火性ガスがあったら危険なのでやめておいた。もしも近づいてくるようなら撃退するだけだ。


 移動中は地図を拡大表示して進んでいるのだが、野外と違って自分が歩く先の大体100メートル程度前方しか表示されなかった。危険対象物のマーカー表示も50メートル程近づいてようやく表示されるといった感じだった。それでもこの能力を持たない冒険者達に比べれば遥かに便利だった。


 足場が悪いせいもあって、さすがに走って移動することは出来ないのでかなり時間がかかる。それでも極僅かに人が通った形跡もあり、幅は細いが道のようなものが続いていた。


 面白い事としてはロックワームの亜種と思われるものが行く手を塞ぐように存在していたので倒してバッグに格納しておいた。果たして味はどうだろうか。


 洞窟内部は絶えず側面から雪解け水の小川が流れている音が聞こえており、喉を潤すために何度か飲んでみたが確かにすごく美味しかった。後で空のペットボトル容器を持ってきて汲んでおこう。


 美味しく飲める小川のおかげで飲料水を持たずとも洞窟探索が出来るのは便利な反面、この小川が流れる音によって睡眠中や休憩中に黒大トカゲや黒大サソリなどの危険対象物が近づく音がかき消されて分からなくなるので、確かにこれは複数人で来て交代で見張りをしないと極めて危険だということが良く分かった。


 自分はポータルゲートがあるので安心安全な家に帰って布団で眠れるというチートを行使出来るので全く問題ないが、他の冒険者達が命の危険をさらして苦労して挑んでいることを思うと実に申し訳ない気持ちになった。


 そうしてひたすら洞窟内部を歩き続け、腹が減ったのでポータルゲートを取り出して、現実世界の家に戻ってお弁当を食べることにした。太陽がないので何時なのか分からないが恐らく昼頃だろう。ちなみに現実世界ではまだ夕方だった。


 先ほど空のペットボトル容器を持って水を汲もうと考えたが、もの凄く美味しい水なのでせっかくならもっと沢山汲んでおこうと思い、軽トラでホームセンターに行って容量20リットルのポリタンクを二つ買ってきてその中に美味しい雪解け水を汲み入れた。


 昼食後もただひたすら洞窟を進んでいった。今履いているのは移動専用のブーツではないが、それでもザラの足の魔法石が縫い付けられているので移動速度は通常の人よりも相当早いと思うのだが、まだまだ最奥部まではありそうだった。


 洞窟を歩き続けて何が一番辛いかというと、とにかく退屈ということだった。話し相手もいないし、地上と違って周りの風景を眺めて楽しむことも出来ないし、ただ黙々と無心になって歩くのが退屈で辛かった。


 ラジオでも聞ければいいのになと思ったところで閃き、ラジオや動画やドラマなどを音声録音してスマホで聞けば移動時間が退屈じゃなくなるかもしれないと考え、異世界で過ごしている間は現実世界でタブレットPC等を使ってそうしたコンテンツを録音やダウンロードさせようと思った。


 こうしてともかく黙々と進み続け、途中でおやつタイムでナンに似たパンを食べ、さらにその後も歩き続けて恐らくそろそろ夕食時だろうということで腹の虫がグゥグゥと鳴り出したので家に戻って最後の弁当を食べて、もうひと踏ん張りするかということでまた洞窟に戻ってさらに数時間歩き続けたところで、とうとう洞窟最奥部へと到達した。


 最奥部は大きな広いドーム空間になっており、一目で黒水晶だと分かる大きな結晶がそこら中に大量にあった。とりあえず今日の所はこれにて終了としてポータルゲートで現実世界に戻りシャワーを浴びてすぐ寝ることにした。


 翌朝、異世界で買いこんだ食材を使ってカレーライスを作ってみた。結構沢山カレールーを作ったので鍋ごとアイテム格納バッグに入れていつでもアツアツのカレーを食べることが出来るようにした。ただしバッグの中では時間が停まるのでカレーを寝かしてコクを出すことが出来ないが。


 カレールーは日本全国どこでも手に入れられるものだし、料理人も普通の素人が作ったものだが、食材のレベルがかなり高いので実に美味しかった。


 そんなわけで朝からカレーライスをたらふく食べて元気一杯になったので、はりきって黒水晶の採掘を開始した。もちろん現実世界からツルハシを持ってきての採掘である。


 今回もリュックの底に木の板を敷いて▲▼みたいになるように収納して、スキマには小さい水晶を入れて大きな結晶が動かないように固定した。


 さらにリュックに入りきらない大きな結晶を二つ掘り起こしてアイテム格納バッグに入れて、一つは現実世界へと持ち帰り物置小屋へと運び入れた。前回持ってきたアイスクリスタルの影響で物置小屋はものすごく冷えていて近くにある物は霜が付いていた。黒水晶はその横に置いた。


 地図を確認すると赤いマーカーが幾つか表示されており、近づいて目視確認すると大きなトカゲがいたので、あれが黒大トカゲだなということで、あまり美味しそうな見た目ではないが一応一匹くらいは倒しておくかと思って一番大きなのを倒した。近付いたら口を大きく開けてシャーッといって威嚇してきたが槍を頭に突き刺すまで全く動くことなくあっさりと倒した。


 このまま戻ってもいいのだが、またしてもアリバイ工作と現実世界での時間調整をすることにして、洞窟を抜けて出るのが3日目の昼前になるように現実世界で時間を潰すことにした。


 鉱石の本を読み返して、何か洞窟内部で貴重な鉱石が採掘出来ないか調べてみると、黒水晶がある場所には漆黒の水晶と呼ばれる極めて希少なものがあるというのを見て俄然やる気が出て、ひたすら最奥部を探し回った。気付いたら何時間も探したり採掘してたりしたので、結局もう一度現実世界で眠れば時間調整になるという有様だった。


 しかしその甲斐あって夜鷹の目の眼鏡でも見ても明らかに真っ黒な結晶が見つかった。大きさはヘルメットよりも少し小さいぐらいだったがそれでも喜びは大きく、すごい宝石を発見して掘り起こしたという感動で私はその場でしばらく踊り回った。採掘専門のドワーフ達の気持ちが少しだけ分かった気がした。


 そうしてお宝を手にした喜びのおかげでとても足取りも軽く、アイテム格納バッグのおかげで物理的にも軽く、来た道を戻って行ったのであった。

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