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異世界小説家  作者: キクメン


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66:魔法宝石

 依頼をこなす度に毎回来ている冒険者ギルド内の個室部屋、私が頭の中で勝手にVIPルームと名付けている上質な調度品が揃っている個室部屋の中で、今回もウォルロッドと依頼完了に関する話しをおこなっていた。


「お前さん、またしてもとんでもない物を持ってきたぞ、これは魔法宝石だ。それもそんじょそこらの魔法石なんかとは訳が違う、正真正銘の本物の魔法宝石だ」


「魔法石と何が違うんでしょうか?」


「うむ、これは単純な魔法、例えば冷たくするとか熱くするとか、害虫害獣を寄せ付けなくするといった魔法を封じ込めるのではなく、より複雑な魔法を込めることが出来るのだ」


 うん、知ってた。


「・・・ということは、相当に貴重な、希少なものなのでしょうか?」


「ううむ・・・どの程度貴重な物なのか・・・実はここにいる職員達でも判断が出来ないのだ。中央大陸のさらに中央にある大きな町に魔法の聖地とも言える場所があり、そこにいる者達ならば分かると思う。だがこれはお前さんが勝ち取ったものだ、お前さんに所有権がある。この魔法宝石を中央大陸まで届けて鑑定してもらうとなると数カ月はかかる、だが今道具屋などに売れば恐らく1千万デンは下らないだろう、どうする?タダノ」


「私はお金よりもこの魔法宝石がどのようなものか詳しく知りたいので、ギルドにお渡ししたいと思います」


「いやいやいや、待て待て、さすがに渡すというのは無欲過ぎるだろう、しばらくの間預かるということにしてくれ、何でもかんでもギルドが冒険者のものを徴収したとあっては、他の冒険者達がそのうち疑念を抱いて、貴重なアイテムを隠してギルドに報告しなくなってしまう」


「あっ、なるほど、分かりました、であれば預けるという形でお渡しします」


「うむ、感謝する。しかしそれにしてもお前さんとんでもない腕前なんだな。オレもこの依頼は現役の時に小遣い稼ぎで何度かやったが、仲間と行っても足しか破壊出来なかったぞ。お前さんこのまま行けば、いや、既にオレよりも強いのではないか?」


「いえ、私よりも遥かに強い人は世の中に大勢います、実際これまでも私などまるで相手にならない存在に打ちのめされてきました」


 それもついさっき。


「あぁ分かる・・・それはオレも痛い程分かる、オレも自分より上の存在に大分打ちのめされてきたからな・・・だが、お前さんにはまだまだ先の未来がある、伸びしろだってオレに比べりゃもっともっとあるだろう、お前さんなら7等級、いや8等級よりも上の冒険者になれるだろうって信じてるぜ」


「有難う御座います、自分はまだまだ修行途中の身ですから、これからも世界中あちこち巡って、さらに自分を高めていけるよう精進します」


「おう!オレとしても鼻が高いぜ!未来の10等級冒険者がオレの町で初めて冒険者になったんだって自慢出来るからな!少しくらい大袈裟に宣伝しても大目に見てくれよ」


「ええ、町の宣伝になるならいくらでもどうぞ、あっいや、それで私の身が危険になるのは困るかも」


「ハッハッハ!確かに!しかし8等級以上ともなると極端に数が減るから、名前が知れるのは避けられないぞ。だが安心しろ、金目当ての盗賊たちでも8等級以上の冒険者に手を出そうなんて奴はまずいないからな、奴等もそれくらいのことは十分分かってる」


「そうですか、少し安心しました」


「しかしそうなるとやはりお前さん、近いうちにワイバルンでも倒しに行くのかね?」


「そうですね、でもそれには今防具屋さんで作ってもらっている防護服が出来てからになるので、10日程先の話しです」


「おお!防具屋のダルカルが張り切ってるやつのことか!なんだかオレの時の二の舞にはしないとかなり意気込んでいたぞ」


 その後も空飛ぶワイバルン相手にどう戦うのか、ウォルロッド達が挑んで破れた時はどのように挑んで敗北したのか、もしも今ならばどういう戦術で挑むのかなど、色々と相談にのってくれた。


「ところで今回のロックゴレムの報酬の件だが、明日ギルド職員が現地で確認してくるので、夕方ごろにまた来てくれ、その後また一緒に飯でも食おう」


「有難う御座います!そうします!」


 そう言って話しは終了してVIPルームを退室した。それにしても中央大陸のそのまた中央にある大きな町にあると言われる魔法の聖地か、これは是非ともいつか訪れてみたい。


 そのままギルド建屋を出ようとしたところで思い留まり、掲示板を確認することにした。


 先ほどウォルロッドとの会話で8等級冒険者という単語が出てきたので、そもそもこの冒険者ギルドには8等級から上の依頼はあるのだろうかと気になったのだ。


 早速探してみたところ、この冒険者ギルドでは7等級冒険者依頼のワイバルン討伐が一番最上級の依頼で、しかも何十年も貼り付けられたままなので、他の羊皮紙に比べてとても日焼けして色あせていた。


 掲示板の板は4枚しかなく1等級とその裏の2等級の掲示板は所狭しと色んな依頼書が貼られていて賑やかだったが、最後の板はワイバルンの依頼書が真ん中に一枚だけ貼られている状況で、板の裏側には何も貼られていなかった。


 とりあえずワイバルンの依頼書の対面にある3枚目の掲示板の6等級依頼書を見てみることにした。どうやら新たにもう一枚追加されているようだった。


-------------------

【6等級冒険者向け】

~ ロックタイガル討伐 ~


【内容】

 町と南東のペシシ村を結ぶ街道に出没する

 ロックタイガルの討伐をお願いしたい


 目撃情報では2頭いるらしいとのこと


【期限】

 なし


【報酬】

 一頭につき600万デン


-------------------


 頭の中で地図を開きペシシ村を確認すると距離的にはゴドルム村と同じか少し近い程の距離だった。私はその依頼書を手にして、もう一度受付カウンターに向かった。


「こちらの依頼を受けたいのですが」

「あっ、こちらですね、了解いたしました。目撃情報ではペシシ村と町を結ぶ街道の大体中間地点に出没するそうです。その近くには小さな泉があるらしく恐らくそこに住み着いているのではないかとのことです。ロックタイガルは警戒心が強いので複数人で討伐に行くと身を潜めるので単独で挑む必要があるのです」


「なるほど、それで6等級冒険者なんですね」

「はい、その通りです。ペシシ村は小麦が取れる地域なので、街道からロックタイガルを討伐出来れば小麦の運搬も大幅に改善されます」


「分かりました、頑張って討伐してきます」

「よろしくお願いいたします、ご武運を」


 こうして私は新たな依頼を受けることにした。


 冒険者ギルドを後にした私は次に防具屋へと向かった。そこでも防具屋店主ダルカルの息子から門番と同じように早い帰りだったので部位破壊だったのかと聞かれたのだが、完全破壊してきたと応えて驚かれると共にペコペコ頭を下げられてしまった。


 防具を脱いで渡すと、全くどこにも外傷がないのでさらに驚かれ、それでも防具が長持ちするクリームを塗りこんで手入れしておくと言ってくれたので全て預けた。そしてブーツの代わりに預けていた革靴に履き替えた。慣らし用のクリームが程よく塗られてとてもいい感じに仕上がっていた。明日の昼前までには防具の手入れは完了すると言われ、防具屋を後にした。もちろん費用は無料だった。


 間もなく夕暮れで恐らく午後5時頃といったところで、少し早いが今日も高級料理店に行って夕食にすることにした。


 いつもの給仕がすぐにいつもの席に案内してくれて、最近ずっと肉続きだったので野菜を取りたいと言っておすすめの料理を持って来てもらった。野菜料理なのにどれも絶品で満足したが、この荒野の地では野菜は貴重なのでその分値段は高く、先日までの高級料理に近い代金を支払った。ちなみに魚料理はさらに高額とのことだった。


 帰りの道中またしてもポルルの姿が目に浮かび、ポルルはちゃんと野菜を食べられる程の生活水準なんだろうかと考えた。お爺さんのように畑を耕して美味しい野菜を育てられるスキルがあればなぁなどと考えながら宿へと戻っていった。

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