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異世界小説家  作者: キクメン


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64:完全破壊

 ロックゴレムにひたすら石突を叩きこむことおよそ2時間、とうとう頭を残して全ての部位を破壊することに成功した。


 久しぶりの長丁場だったが、以前スライムゼリーを食べなければ腕が上がらず槍を持つことすら出来なかった時のように疲労することはなかった。


 さすがに頭だけでは攻撃することは出来ないようだったが、魔法宝石からビームとか出てきたら嫌なので、結局スイカ割りのように上からポカポカ叩いて頭も粉砕してしまおうということになった。


 それも程なくして完了し、とうとうお目当ての魔法宝石とご対面することになった。砕け散ったゴーレムの頭部の石の欠片の中に美しくエメラルドグリーンに輝く魔法宝石が出現した。


 近づいて手に取ろうとしたが、何かヤバイことが起きたら怖いなと思いながら恐る恐る近づき、宝石の表面を顔に向けないようにして手に持って見た。


 特にビーム光線が放出されることも、何かの呪いで私の身体が乗っ取られることも、宝石が話しかけてくることもなく、普通に綺麗な宝石のままだった。


 もちろん私はすぐに「情報」を念じた。


-------------------

魔法宝石(希少)

複雑な魔法を封じることが出来る

耐久性:10

損耗率:0%

-------------------


 最初持久力が1000向上するとかだったら神!と思ったのだが、そうではなかった。それでも希少価値アイテムで、何か特定の固定した能力があるのではなく、複雑な魔法を封じることが出来るということに物凄く興味が湧いた。有効な利用方法についてはすぐには思いつかないが、何かとんでもない物のような気がした。


 辺りを見回すと粉々になった石の破片だらけという有様で、ロックゴレムらしい形跡は全くないので果たしてこれがロックゴレムだと認識してくれるだろうかと少々不安になった。まぁそれでも美しい希少な魔法宝石が手に入ったからヨシとしよう。


 せっかく神殿に来たのだから少し見物していこうということであちこち見て回ることにした。といっても相当昔のものなのでかなり風化しており、見所はあまりなさそうだった。


 大抵この手のモノにありがちな、地下神殿への入り口とかもなく、かつては祭事を行う何かの台があったと思われる箇所も風化していて形が崩れており良く分からなかった。


 おおよその時間ではあるが、朝5時に大門を出発して恐らくまだ朝の8時台といったところなので、せっかくだから行きに気になった別の遺跡へと行くことにした。


 ブーツを履き替えて地図を表示し駆け足で駆けだして遺跡までどのくらい?と念じると1時間と表示され点線の矢印が現れたので、その通りに走っていった。ちなみに誰も見ていないので槍はリュックの中にあるアイテム格納バッグにしまった。


 ほぼ地図の推定時間通りに目的地の遺跡に到着した。周りを天然の岩の壁に囲まれているのでこれまでよりも状態が良く柱と天井がまだ残っていた。といってもところどころ欠けてはいるが。


 丁度良い日よけになるので、短い階段をのぼって地面から一段高い石畳にあがり、日陰になってる場所に腰かけておやつのパンに似たナンを食べることにした。朝の出来立てホヤホヤのを買ったので、その時の状態のものを食べらるので実に美味しく、何を付けなくてもそのままでもほんのりと甘くてとても美味しかった。


 おやつを食べて水も飲んで小休止もしたので立ち上がり、遺跡を調べて回ることにした。そういえば遺跡や神殿はあちこちにあるが、かつての市街地のような人が住んでいた跡は地図には書かれていなかった。何故だろう?風化して完全に跡形もなくなったからだろうか?出土品とかないのだろうか?日本だと地面から縄文土器が出土したとかがあったりするがこの地ではそうしたものはないのだろうか。そんなことを考えながら遺跡の柱をなんとなく眺めながら歩いた。


 それにしてもこの遺跡といい神殿といい、古代の異世界人はこれらの建物をどういう目的でどのように使用していたのだろうか。そろそろ異世界で過ごした日数も多くなってきたので、現実世界で時間調整する必要があるので、その時に図書館で借りた歴史の本をしっかり読んで調べてみることにしよう。その際見開きごとに写真を撮って保存整理もすれば良い時間潰しになりそうだ。


 そうして遺跡の奥へと進んでみたが、地図にも描かれているくらいなのでやはり特に何もなく、新イベント新クエストキタァーッ!みたいな事もなかった。まぁそんなものがあればとっくのとうに冒険者達によって攻略されていることだろう。


 それでもちゃんと裏側にも回ってしっかり調査してみたのだがやはり何もなかったので町へ帰ろうとしたが、それでもせっかくお弁当も買ってきたし、昼前にロックゴレムを完全破壊して帰ってきたとあっては、さすがに早すぎると思われそうなのでどこかで時間つぶしをしようと思い地図を確認した。


 大きな地図を表示して頭の中で地図をさらに西の方に移動させると、妙な絵のアイコンが表示されていることに気が付いた。


「あれ?こんなのあったっけ?」

 私は図書館で買った巻物の地図をリュックの中のアイテム格納バッグから取り出して確認したが、その辺りには何も記載されていなかった。


 もう一度頭の中の地図を見て「もう少し大きくして」と念じて拡大表示させると、何やら可愛らしい形の山の絵の真ん中に扉のような形の穴が黒く描かれていた。


「これって、もしかして・・・まさか、もしかして・・・ゴクリ・・・いやいや、待て待て、まだ早合点して喜ぶのは早いぞ、とにかく行ってみない事には分からない、とにかく行ってみよう、えっと、どれくらいかかるの?」


 2時間と表示された。今から行けばお昼のお弁当を食べる前に到着出来そうなので、早速行ってみることにした。ワクワクを抑えることが出来ずかなり速度を上げたので、2時間から1時間半に到着予定時間が更新された。


 恐らく午前11時前と思われる時間にアイコンマークが描かれた地点に到達した。確かに風化して角が丸められた小さな山、山と言うには小さすぎる山が見えた。高さは10メートルもなくポコンとそこだけ不自然に盛り上がっていた。いよいよもって何かがありそうだという気分になった。


 まずは山の周りを一周してみようということで歩き始めたところ、裏側に回ったところであやしくへこんでいる箇所を発見した。すぐに近づいてみると砂に埋もれているようなので、手で砂を掘り返してみたのだが効率が悪いので、いったんポータルゲートを取り出して現実世界に戻ってスコップを持ってきて砂をどけていった。


 どんどん砂をかきわけていくと、カツン!という手ごたえがあり、さらに砂をどかしていくととうとうお目当てのものが現れた。


 それは石の扉だった。それも良く見た見慣れた扉だった。


「扉キタァーーーッ!!」と大きくガッツポーズをとった。スコップを高らかに掲げてガッツポーズをとった。


 早速両手で扉を押してみた。驚くことにかなり重たかった。スコップでしっかり足場の砂をどけてからもう一度、自分からみて左側の扉だけを全力で押した。しかしそれでもかなり重かった。


「いちにのさん、ウォーーーッ!、いちにのさん、ウォーーーッ!」と、全力で掛け声をして押してようやく少しづつ動くという重たさだった。


 これほどまでに重たく感じるのは初めてという程に重く、それでもなんとか休み休み少しづつ開けていったところで、とうとう90度の角度にまで開かせることに成功した。


 中を見ると青黒い石の回廊ではなく、赤黒い石の回廊が続いていた。見るからに禍々しいというか、ここはまだ来てはいけない危険な匂いがプンプンした。

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