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異世界小説家  作者: キクメン


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63:ロックゴレムの執念

 町の大門を背に、今日からは隠さなくても良い駆け足で西のハデレス神殿へと向かった。


 昨日図書館で見た大きな地図で、自分の地図もバージョンアップしたので、これまで不明だった場所も明らかになり、依頼がなくとも行ってみたい場所も出来て大変充実した地図になった。


 そして何でもやってみるものだなと感心したことに、まるで現実世界のネットの検索地図のように、ハデレス神殿まであとどのくらい?と念じてみると、なんと進行ルートが点線の矢印で表示され、4時間と表示された。これには驚き、さらに走る速度を早めたところ3時間に変わった。


 これは相当便利になったぞと喜び俄然やる気になったが、さらにそこで大事なことを思い出して停止し、神殿につくまでの間はスライム部屋で手に入れたブーツに履き替えて走ればいいんだったことに気付き、ブーツを履き替えてまた走り始め、もう一度神殿までどのくらい?と念じると今度はなんと1時間半になった。そんなわけで私はぶっ飛ばした、まさに早ザラの速さで駆け抜けた。


 ちなみに西のハデレス神殿に向かう途中、南方向に少し行ったところにも遺跡があるので、もしもロックゴレムの完全破壊が早く終わるようだったら、ちょっと寄ってみようと思った。


 そうして私だけの便利地図通り1時間半でハデレス神殿へと到着した。


 神殿に到着するなり遠目からでも一目でロックゴレムの姿が分かった。なんといっても5メートルもある石像であり、しかも全く持ってファンタジーモノお約束のフォルムなのだ。


 辺りに誰もいないことを確認し双眼鏡を取り出して、ロックゴレムを観察した。するとギルドで聞いた通り額にはエメラルドグリーンの宝石が埋め込まれていた。


 いかにもお約束な見た目ということは、さらにまたお約束なことに、まず間違いなく額の宝石を破壊すればロックゴレムはもう動かなくなるだろう。しかし自分は出来ればあの宝石を無傷でなんとか取り外せないものかと考えていた。


 売ってお金にしたいという欲もあるが、それ以上にとても興味があったのだ。今から2百年程前に自らを天才と自称した魔術師の魔法が込められた魔法宝石である。一体どんなものか知りたいのは自分だけじゃないはずだ。冒険者ギルドも昨日行った図書館の人達もきっと知りたいに違いない。


 ここに来るまではロックゴレムの対象察知距離圏外から投げ槍で額の魔法宝石を破壊しようと思っていたが、戦術変更して接近戦のどつき合いをすることにした。といってももちろんこちらはロックゴレムの攻撃を食らうつもりはないが。


 ともあれ、それを実行するべくロックゴレムへと近づいて行った。もちろん10メートル付近からは「情報情報」と念じながら。


 近づいてみるとなかなかに迫力があって恐ろしいが、先に私の情報の方が表示された。


-------------------

ロックゴレム(希少)

レベル:6

生命力:60

魔法力:0

持久力:1000

攻撃力:6

防御力:60

素早さ:3

幸運度:0

魅力:0

魔法技能:0

異常耐性:0

【特殊】

自己修復(遅)

-------------------


「うわっ!持久力パねぇな!とうとう持久力1000かよ!そして遅ッ!これならまず攻撃を食らうことはない・・・よね?」


 誰もいないことを良いことに少々自分の「地」が出てしまうような言葉が漏れてしまった。


「さて、それじゃやりますかね・・・って、おっといけね!ブーツを履き替えないまま戦うところだった」


 静かにそっと後ろ足で離れてから、ブーツを履き替えた。


「ヨシッ!あらためてそれじゃあやりますか!」


 私は武器屋で買った槍を足元に置いて、スライム部屋で手に入れた槍を逆に構えてロックゴレムに近づいて行った。穂先の鞘はそのままに。


 少しづつ近づいていくと私の情報表示圏内10メートルからさらに近づいていったところで、ロックゴレムはこちらに動き出してきた。


 しかし案の定実に遅かった。といっても他の冒険者にとっても遅いかどうかは分からない。あくまでも私の目から見た場合で非常に遅かった。


 まずは私を蹴ろうとして右足がかなり素敵な殺人的な音を立ててやってきたが、私は難なく躱し、槍の石筒を思いっきり叩きつけてやった。それも弁慶の泣き所に。


 私の攻撃もなかなかに素敵な破裂音を轟かせ、ロックゴレムの弁慶の泣き所であるスネの中央部を結構えぐることが出来た。現実世界では河川敷で勝手に持ち出しきた岩を木っ端微塵に粉砕したが、さすが異世界のロックゴレム、防御力も結構あるので同じようにはいかなかった。


 もう一発足を攻撃しようとしたら、上から私を掴んで来ようとしてきたので攻撃を中止しロックゴレムの背中に回った。今の攻撃は急に日陰が出来たから気付くことが出来た。パンチと違って掴んでこようとしてきたのであまり大きな音がしなかったので結構驚いた。


 ともあれ今度はヒザ裏あたりに思いっきり石突を叩きこんだ。最初のスネといい、人間ならばそれはもう急所とも言える場所なのだが、相手は人間じゃないので全く痛がることもなく、振り返って同じ足でまた蹴りを放ってきた。


 当然わざわざ振り返り終わるのを待ってあげる程お人よしではないので今度は軸足側に回り込みながらヒザに思い切り石突を叩き込んだ。こうしてクルクル回りながらひたすらヒザに石突を叩き込んでは、上から掴んできたりパンチしてきたりするのを避けてとにかく動き回ってヒザを攻撃し続けた。


 もちろんゲージを見ながらの戦闘なので、じわじわと生命力ゲージが削られていくのが分かるので、精神的にへこたれることもなく、いつか崩れ落ちるのを信じて回避と攻撃を繰り返し続けた。といってもそれほど長い時間はかからないだろう。


 数百発ほど叩き込んだところで片方の足の破壊に成功しロックゴレムは地面に倒れた。しかし倒れてからでも、パンチや片方の足のキックが飛んでくるので、むしろそっちの方が厄介だった。


 背中に回って攻撃すれば片方の足のキックは飛んでこないので有利だったが、人間と違って腕が後ろにも曲がるので、パンチを避ける必要はあった。


 キックと違って腕の攻撃はそこそこ早いので、なかなか手こずり、パンチが伸びきったところや、腕を上からハンマーのように打ち下ろして来た時は地面に激突して停止した直後を狙うしかなかった。


 これまで冒険者たちが片足だけしか破壊しなかった理由が分かった。片足しか破壊出来なかったのだ。ロックゴレムは座ってからの方がむしろ手強かったのだ。


 回避するのもなかなか一苦労で、腕による攻撃のほうが色んなパターンがあって複雑なので、実に厄介だった。その上防御力と生命力が結構あるので何発も攻撃を当てなければならず実に面倒でもあった。とはいえレッドボススライムよりは防御力も生命力も6割程度なので、あの時に比べれば長くはかからなそうだった。


 その最大の理由はヒト型にある。スライムは丸々一つのボディだったが、ロックゴレムは頭、胴体、右腕、左腕、右足、左足の6個のパーツに別れ、これまでの攻撃でほぼ確実に分かったこととして、生命力60が6分割されて、一つ一つのパーツの生命力は10であることが確実なのだ。だから一個のパーツで生命力100のスライムより断然効率が良かったのだ。


 そういうわけで、慌てず着実にパーツ単位での部位破壊をひたすら淡々とこなしていった。最後の頭になるまで。


 ちなみに両腕を破壊してもなお、まるで腹筋運動をするかのように胴体で押しつぶしてこようとしてくるのでその凄まじいまでの執念にはむしろ尊敬の念すら感じる程だった。

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