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異世界小説家  作者: キクメン


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62:薬屋

 夕方近くになり、冒険者ギルド建屋に行って大蛇討伐の時に採取してきた薬草をギルド職員に見せると、薬屋に売れば結構なお金になると言われた。ギルドに提出しなくてもいいのかと尋ねたが、それには及ばないとのことだった。


 それならばということで、防具屋に行く前にその足でまだ訪れたことがない薬屋に向かうことにした。


 やはりメインストリートの並びにそれらしい図柄と「薬屋」と書かれた看板が目についたので、早速入店した。扉の横には夜間緊急窓口もあった。


 入店するといかにも薬屋、それもまさしく異世界の薬屋といった感じで、大きなガラス瓶の中には色んな生き物が何かの薬液に漬けられており、乾燥した草やら木の皮やらも目にした。


 店内には何人かの客と、数人の店員もいて結構繁盛しているようだった。私はとりあえず店のカウンターへと向かった。


「おや、あなたはひょっとして冒険者タダノさんですか?」

「はい、そうです、今日は薬草を持ってきました」


「ホウ!薬草ですか!もしかしてそれは大蛇のいる遺跡の奥の泉にある薬草ですか?」

「そうです、それだと思います」


「それは是非拝見させていただきたい!」

「はい・・・こちらです、どうぞ」


「おお!まだ花が咲いている!これは素晴らしい!」

「そうなんですか?」


「ええ、タダノさんが大蛇を討伐してくれたおかげでこれからまた良質の薬草が入ってきますが、花を咲かせた状態のものとなると、当然季節的な時期の問題もありますが、余程の早ザラで飛ばして運ばないと花はすぐに枯れてしまいます、ですのでこの花を咲かせた薬草は大変貴重なもので、今すぐに煎じれば相当効きの良い良薬が作れるのです」


「そうですか、それは良かった。確かに大蛇討伐の時はシュラ村の良い早ザラを借りれたのです」

「なるほど、シュラ村の早ザラと言えば名ザラで有名ですからな、なるほどなるほど、そうでしたか」


 本当は現実世界のリュックに入れて、さらにそれをアイテム格納バッグに入れていたから鮮度が保たれたのだが、うまいこと納得してくれて実に良かった。一応嘘は言っていない嘘は。


「7本全部で15万デンでいかがでしょうか?」

「はい、それでお願いします」


 全く相場のことは分からないが、ただ草を取ってきただけで一本約二万デンとはなかなかの高買い取り額だと思った。恐らく煎じて良い薬になればこの十倍くらいの利益になるのだろう。これなら全部ポルルにあげれば良かったかなと思ったが、すぐにそれはきっと断られるし何か違うなと考え直した。


 他にももし今後依頼などで出かけた際に、貴重な薬の材料になるようなものがあれば、片手間でも構わないので採取していただければ買い取りさせてもらいますと言われた。図書館で詳しく調べるので、とりあえずは欲しい材料の名前だけを幾つか羊皮紙に書いてもらった。


 薬屋を後にしたところで丁度良い頃合いになったので、防具屋に向かった。入店すると店主ダルカルの息子が私の顔を見るなり頷いて、出来上がったブーツを持ってやってきた。


 ブーツはふくらはぎの辺りが少しだけコブのように盛り上がっており、革で覆われたその中に素早さ向上の効果がある魔石が入っているらしかった。


 私は早速履いてみて、まず全く違和感がないことを確認し、そして軽くステップワークをしてみた。いい感じなので少しスペースのある場所に移動して少し鋭く移動してみたが全く問題なかった。


「ウン、いい感じだ」と、つぶやいて目線を移動させたところ、数人の客と他の店員、そしてダルカルの息子の目が点になって私を見ていた。


「イヤ、ハハハ、すいません店の中で、失礼いたしました・・・」


「いえ、こちらこそタダノ様の実力の一端を垣間見ることが出来て大いに感服いたしました、ところでいかがなさいましょうか?このままブーツを履いて行かれるのでしたら、こちらの革靴は革慣らし用のクリームを塗ろうと思うのですが」


「はい、是非お願いします」

「かしこまりました、お預かり致します」


 こうして今日はこれで何度目だ?という防具屋を後にした。情報でブーツを確認すると次のようになっていたのでかなり嬉しかった。


-------------------

ブーツ(希少)

防御力:3

素早さ:5

耐久性:4

損耗率:0%

-------------------


 耐久性が1向上していたのも地味に嬉しかった。


 こうして本日の最後のお楽しみ、高級料理店へと向かうことにした。


 入店すると昨日給仕してくれた店員がすぐにやってきて、昨日と同じ席でも良いかと尋ねてきたので、そこが良いと応えた。


 おすすめメニューを聞くと狙い通りララルゥ肉を使った料理だということでそれを注文した。さらに女王サソリの煮つけ卵がさらにコクを増して食べごろだというのでそれも頼んだ。もちろん果実酒も。


 果実酒を飲みながら、メインディッシュがやってくるのを待った、他の客も同じかどうかは分からないが、以前ウォルロッドにご馳走になった時から変わらず前菜を頼まずにいきなりメインディッシュのご馳走を食べるスタイルである。しかしずっと肉続きだったので野菜も食べないと良くないな。


 とかいいつつも目の前にたまらない香りのするララルゥ鳥の肉料理が出てきたものだから先ほどの考えは頭から消し飛んでしまった。


 基本的にはチキンステーキなのだが、やはり肉の旨味が断然違う。ララルゥは野生のザラを食べるが好物はロックワームとのことなので、ロックワームを食べたララルゥを捕まえることが出来たら、値段は一気に三倍にまで跳ね上がるとのことだった。そうして今食べているのがまさにそのララルゥであり、滅多に食べられないものだそうだ。


 それを聞かされたとあっては益々美味しさに拍車がかかるというものだった。しかも憎い事に実はソースは二通りあって、今食べているのとはまた異なるピリ辛ソース味も絶品だと言われたので、そんなことを聞かされたとあっては頼まないわけにはいかなかった。


 そういうわけで今日もたらふく食べて大満足だったのだが、今日の料理もこれだけの高級食材にも関わらず5万デン程だった。いや~冒険者最高!と思ったのも束の間、ふとそこでポルルの顔が浮かんでしまい、自分だけが贅沢していることに少し後ろめたさを感じ、少しだけ寂しい気持ちで宿へと歩いて行った。


 その後はいつもと同じルーティーンで、現実世界に戻ってシャワーを浴びて歯を磨いて髪を乾かしてから、また異世界に戻って、ポルルが干してくれたベッドの布団の中に入って優しい温もりに包まれながら至福の眠りについた。


 明けて翌日、今日は日の出とともに起きて、多くの冒険者達と同様朝から稼ぎに行くことにした。独り占めの朝風呂に浸かりたいところだが、今日はロックゴレムの完全破壊を達成するのだ。


 何よりもとうとうスライム部屋で獲得したプロテクターを超える防御力を装備して挑むことが楽しみだし、新たに手に入れた防御力がありつつ素早さも向上させるブーツも楽しみである。水上歩行は出来ないが、素早さと防御力を兼ね備えるというこの世界で手に入れた新装備も大いに楽しみであった。


 そうして飯屋で朝食を食べて弁当とおやつ用にナン似たパンを買ってから、大門へと向かった。ちなみに今日は二本の槍を持っての出陣である。


 大門ではもうかなり顔馴染みになった門番に声をかけられ「今日は何を倒してくるんだ!?」と笑顔で言われると「神殿のロックゴレムを完全破壊してきます!」と応えたので門番だけでなくその場にいた人達からもオォーッ!と拍手で見送られた。


 そうして私はザラも連れずに走り出した、これからは素早さ向上の魔石のおかげだと言い訳できるので、隠すことなく最初から駆け足で移動した。でも誰も見ていない時以外は一応控えめな速度で走ることにした。

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