表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界小説家  作者: キクメン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/383

59:異世界の職人の技

 間もなく夕暮れ時という時間になったので、私は毎晩のようにご馳走してもらった高級料理店へと一人自腹で入っていった。


 入店するとすぐに給仕の人がやってきた。


「冒険者タダノ様でいらっしゃいますか?」

「はいそうです、今日は私一人ですが、食事出来ますか?」


「もちろんでございます!ようこそいらっしゃいました!さ、こちらへどうぞ」


 店員に案内され、壁沿いにある少人数用のテーブル席についた。


「この度は大蛇討伐の件、誠に有難う御座いました。そしてアイスクリスタルを沢山採ってきていただき誠に有難う御座います。女王サソリもですが貴重な肉を持ってきていただき、さらにそれらの肉をしっかり保存出来るアイスクリスタルまで持ってきていただき、何から何までタダノ様からの提供、重ねて御礼申し上げます」


「お役に立てて良かったです、自分も最高の料理を食べられるのでお互いにとってウィンウィンですよね」


「ウィンウィン?」


「あっとすいません、つい田舎言葉が出てしまいました、これは双方にとって良い良いという意味の言葉です」


「なるほどそうでしたか、何やら愛嬌のある良いお言葉ですね、おっと、それではこちらがメニューになります」


 私はサラッとチラ見して値段を確認した。大体千デンくらいで、一番高いものでも1万デンなのでホッとした。


「何かオススメはありますか?」


「はい、やはり先日お出しした女王サソリの肉、それから卵が良い感じで煮汁の味が沁み込んでおります、さらに大蛇の肉です、先日ギルドに依頼して良いレシピを入手したのですが、女王サソリの肉とはまた違った味わいの絶品料理が出来たと自負しております」


「それは是非味わってみたいものですね!ではまず大蛇の肉料理と、女王サソリの卵の料理、それでもまだ胃袋に余裕があれば女王サソリの肉も頼むかもしれません」


「かしこまりました、果実酒はいかがなさいますか?」


「いただきます、食前に持ってきて欲しいです」

「かしこまりました」


 さぁ~食うぞ~!もう異世界で一番の楽しみと言ってもいいくらい、食事が素晴らしいのだ。しかも現実世界と違って懐具合もホクホクなので、今日は思いっきりご馳走を食べるぞ!


 そうして現実世界では決して一人では行くことのできない高級料理店で高級料理を爆食するのであった。


 腹一杯食べて大満足した私は上機嫌で宿屋へと向かった。ちなみに最上級の特別限定料理をたらふく食べても5万デン程だった。これは毎日でも通いたいし、実際毎日通っても経済的には余裕があるが、さすがにそれだと太ってしまいそうだ。


 そうして至福の時を終えて、宿屋へと向かった。いつものように部屋に入ってポータルゲートで現実世界に戻って体と髪を洗い、歯を磨き、下着を取り換え、髪を乾かしてからまた異世界に戻り、ポルルが干してくれたフカフカの布団に入って寝た。いつかポルルも美味しい料理店に連れていってあげたいな。


 翌朝、他の冒険者達よりも少し遅く起きて、いつも通り枕の上に10デン効果を置いて、棒を手にして飯屋に朝食を食べに行った。


 他の冒険者達はザラ小屋でザラを引き取りどんどん大門の方へ向かって行く。そんなザラにまたがって出発していく冒険者達の背中を見送りながら、飯屋に行って朝食を食べた。


 今日は防具屋で防具一式を引き取りに行き、普段着用の服屋で昨日買った服を引き取りに行く、その後は図書館に行ってもいいし、装飾品リストを見るのもいい、出来れば現実世界でもちゃんと過ごしたいところだ。


 やることが多い、それもどれもやりたいことというのは何と贅沢で素晴らしいことだろう、と幸せな気分になりながら美味しい朝食をしっかり食べた。


 その後部屋に戻って、ポルルが布団を運びに来る前にポータルゲートで現実世界に行って、トイレに行ってしっかりたっぷり出す物を出してスッキリし、食後の歯磨きをしてから異世界に戻っていつもの独り占め風呂に浸かりに行った。


 風呂からあがってまた部屋に戻ろうとしたところで、裏口を出て裏庭に布団を運んで歩いているポルルの後姿を見た。声をかけようとしたが、仕事中の邪魔をしちゃ悪いと思って見送るだけにした。


 部屋に戻ると、机の上に何やら羊皮紙が数枚置いてあり、重りをどけて手にしてみると、まず防具屋から防具一式の仕立てが済んだのと、道具屋から競売所よりタダノ様のリュックを預かったので手入れをしたというお知らせだった。恐らく伝書鳥で運ばれたのだろう。


 私は机の上にも10デンを置いておいた。さらに良い事を思いつき、アイテム格納バッグからリュックを取り出して、大蛇討伐の時、遺跡の奥にあった泉の近くに生えていた恐らく薬草だと思われる花を咲かせた草を10デンの横に置いておいた。気付いて察してくれれば良いが。


 そうしてまずはともかく防具屋へと向かおうとしたが、そこで思いとどまりまずは道具屋に行くことにした。


 道具屋に入るとすぐに店主のトルバノがやってきて、リュックの件を話してきた。特にどこも修繕が必要な箇所はなく、しっかりと革に良いクリームを塗って手入れしたとのことだった。


 そして自分がアイスクリスタルを入れる時に底に板を敷いたことを大層褒められた。おかげで内装もまったく修繕要らずだったそうだ。


 代金を支払おうとしたら、リュック代30万デンの中には手入れや補修費用も含まれているとのことだった、ただ大きく破れたりして革の交換が必要な場合は革の材料費だけいただきたいとのことだった。なんという良心的な店だと大いに感心した。


 その後普段着を買った服屋に行って、買いこんだ服を引き取り、そのうちの上下セットを試着室で着込んで、それまで来ていた服はリュックの中にしまった。


 スライム部屋の報酬で手に入れたブーツだけが少し浮いているが、これで大分町の人の服装と溶け込むことが出来た。


 そうして次にお待ちかねの防具屋へと向かった。防具屋に入るなり、店主の息子の店員がすぐにやってきて、防具が揃いましたと言ってきた。すぐに試着なさいますかと聞いてきたので、そりゃもうこれが今日のメインイベントとも言っていい程に楽しみだったので「すぐに着ます」と応えた。


 服の上から装着するので、そのまま店内で装備することになった。今後のことも考えて一人で着脱出来るように装着方法を教わりながら装着した。


 まずヘルメットはオートバイ用のフルフェイスヘルメットのように頭部全体を覆う丸い形状のもので、目の部分に透明なシールドがなくそこそこ視界を確保した一本線の穴が空いていた。


 オプションでスリット付きのアイガードもあるそうだが、これは逆に視界を遮られそうなので不要とした。今回の仕立てでは内装のクッションを調整してもらい、私の頭部に少しだけキツめにフィッティングされていた。理由は当然使い込んでいるうちに馴染むことを想定しているためである。顎紐のDリングも現実世界のものに酷似していて、そうした小物部分もワンオフの手作りなので質感がまるで違ってこっちの物の方が作りが良かった。


 当然原付バイクで使うものと違ってしっかり防御性能を追い求めているので重たいが、自分にはまるで苦にも気にもならない重さだった。


 次にメインの胴当てだが、こちらは両サイドにある紐を引っ張ると簡単に締め付けることが出来た。後は縛るだけである。こちらも内装のクッションが私に合わせてフィッティングされており、スライム部屋で手に入れたプロテクターと遜色なく動きやすかった。軽さも全く気にならなかった。


 次に籠手についてだが、こちらは断然原付バイクで使っているグローブよりもガード性能が向上した。革が新しいのでまだ少し硬いかと思ったのだが、しっかり革に良いクリームが塗りこまれているようで、実に良く動き装着感も良かった。


 対人戦で剣使いの剣が槍を滑らせるようにして槍を持つ指を切りつけてきた場合などが考慮されており、そうした指の外側に甲殻類の殻のように金属プレートが縫い込まれていた。実用性もさることながら見た目からしてとても格好良かった。


 最後にブーツだが、こちらはなんと両サイドの外側に金属製のバックルが付いていた。昔のスキーブーツのようだが、現代のオフロードバイク用ブーツの様でもある。そして脛に当たる部分は当然金属プレートが縫い付けられており、くるぶしとかかと部分にも恐らく職人が叩いて形を整えたと思われるガードが縫い付けられていた。


 恐らく既にあるパーツを調整して取り付けたのだと思うが、これだけの仕事をわずか3日で仕上げたというのだから、職人の技の技術力がいかに高いか良く分かった。


 最初はそれほど欲しいと思わなかったことを大いに反省し、職人たちに心の中で深く頭を下げ、いよいよお楽しみの詳細情報を確認することにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ