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異世界小説家  作者: キクメン


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57:服を爆買い

 冒険者ギルド建屋を後にした私は、すぐ近くの道具屋に行った。


「おお!タダノ様!お待ちしておりました!大蛇討伐に続き、アイスクリスタル採取の件、まことにお疲れ様でございました!いかがでしたか?リュックはお役に立てましたでしょうか?」


「はい、あんなに重たいクリスタルを入れても破れない程頑丈で、しかも重さが良い具合に分散されていて何とか一人でも持ち運ぶことが出来ました」


「お役に立てたようで誠に光栄でございます、後ほどリュックを持ってきていただければ、手入れをさせていただきます」


「本当ですか?それは嬉しいです、後で持ってきます」


「是非そうして下さいませ、ところで装飾品の商品リストが出来上がりました、御覧になられますか?」

「はい!是非お願いします!」


 そうして道具屋店主のトルバノが持ってきたのはかなり豪華な意匠が施された装飾品リストだった。まるで高級レストランのメニューのようだった。といってもそのような店に行ったことはないのであくまでも想像だが・・・


 その場でガン見するわけにもいかないので、パラパラとめくった程度だが、最後のページの一番最後に書かれた商品だけは目が釘付けになった。


-------------------

首飾り「竜の涙」

1千万デン

寿命が延びると言われている秘宝

-------------------


「やはりそちらが気になられますか」

「はい、これは大いに気になりますね、本当に寿命が延びるのでしょうか?」


「先々代の持ち主様は100歳を超える高寿命であられました。そして先代の持ち主、といってもレンタルでしたが、ウォルロッド様はこの竜の涙を身に着けてワイバルンに挑みました。ウォルロッド様が言うにはこの竜の涙を身に着けていなければ間違いなく生きて戻れなかっただろうとのことです」


「ゴクリ・・・その、一目拝見出来ないものでしょうか?」


「はい!ほかならぬタダノ様とあれば、こちらとしても是非ご覧いただきたいと存じます!」


 そうして、店主トルバノは奥にある鉄格子部屋に行き、とても豪華な宝箱を手に持ってきた。


「こちらの品で御座います」


 当然私は頭の中で「情報」を連呼した。


-------------------

首飾り(希少)

生命力:100

耐久性:10

損耗率:18%

-------------------


 「キターッ!」と、私はどうにか大声を出さずにいることに成功したが、顔から溢れる嬉しさだけはさすがに隠すことが出来なかった。


 先々代が100歳以上生きても、ウォルロッドが瀕死の重傷を負っても損耗率がたったの18%である。さらにもっとも前の先代も持っていたとしたら、自分の寿命が尽きてもほとんど損耗しないだろう。これは欲しい!是非とも欲しい!


「いかがでございましょうか?タダノ様」


「これは是非とも欲しいですね!俄然依頼をこなすやる気が湧いてきました!」


「ハッハッハ!それはなんともこちらまで嬉しくなるお言葉!」


「良い物を見させていただきました、それでは商品リスト代金の千デンをお支払いします」


「それには及びません」

「?」


「今のやりとりでタダノ様がこれからも当店をごひいきにして下さることが良く分かりました。昨日はタダノ様を試すような事を申し上げて大変申し訳ありませんでした。そちらの商品リストは無償で差し上げます」


「有難う御座います!部屋に戻ってじっくり見て、財布と相談してまた色々買いに来ます!」

「ハッハッハ!よろしくお願いいたします!」


「ところで、服を買おうと思うのですが、どちらで買えばよいでしょうか?」


「そうですね、防護服ならば防具屋、普通の服でしたら何件か服屋があります、仕事服から少々お値段のする服までそれぞれ別の店です、そうですね、店の者に案内させましょう」


「有難う御座います!」


 そうして、私は道具屋の店の若い女性店員の案内で、何件か服屋を紹介してもらった。店の場所と名前とどういう分野の服を扱っているか聞いただけで、自動的に「地図」が更新されていった。「情報」スキル様様である。


 一通り案内してもらったところで、若い女性店員は頭を下げて礼を述べた。


「大蛇討伐有難う御座います、兄の仇を取っていただいて有難う御座います、そして兄の形見を持ってきていただいて有難う御座います、何かお困りのことがありましたら、私などでお役に立てることはないかもしれませんが、何なりとお申し付けください」


 そう言って、店員は道具屋へと戻っていった。


 私はなんだか自分が英雄になった気分になり、嬉しい気持ちでいっぱいになったが、そのまま入店した目の前にある高級ブティック洋品店でかなりベタベタな対応をされて相当に派手でどう見ても自分には似合わない服を大量に見せつけられてかなりゲンナリしてしまった。


 とはいえ、生地といい仕立てといいかなりの高品質なのは間違いなかったので、礼服のようなそれなりに大事な所に招待された時にその場に相応しい服が欲しいと言った。もちろん派手さがなく人から好感を持たれる品のあるものでお願いしますと付け加えて。


 予算を聞かれて、一番良い生地で最高の仕立てでお幾らぐらいですかと聞き返すと、店主はいったん目を閉じ考え込んで、「100万デン・・・お支払い出来ますでしょうか?」と恐る恐るこちらを見た。


「分かりました、早速ギルドに行って卸してきます」と答えると、店主は目を丸くして驚き、「本当ですか?服に100万デンでございますよ?防護服ではなく普通の礼服ですよ」


「はい構いません、その代わりどこに出しても恥ずかしくない、それでいて丈夫で長持ちする服をお願いします」


「・・・!、かしこまりました!我が店創業以来最高のものを作らさせていただきます!」


 そうして、かなり長い時間をかけて身体のあちこちを採寸されてしまった。その際普通に日本中どこにでもある有名アパレルチェーン店の千円以下の下着を見られて、見たこともない素晴らしい下着だと褒められた。


 出来上がりには10日欲しいと言われ、前金で20万デンいただけますか?と言われたがギルドに行ってお金を卸して全額先払いで支払ったので、またしても目を丸くして驚かれた。店を出る時は職人も含めて全員出てきて店の前で深々とお辞儀されてしまった。


 その後は普通の普段着用の服屋に行って、幾つか上下の服を買い、ズボンは裾上げをするからまた明日取りに来てくれとのことなので、他の服もその時持って帰るといって代金だけ支払った。結構良いジャケットなど色々買ったのだが1万デンもしなかった。


 その後は防具屋に行って防護服を買うことにした。入店するなり店員ともう一人なかなかに貫禄がある人がやってきて挨拶してきた。


「これはこれはタダノ様、ようこそいらっしゃいました、こちらはこの店のオーナーであり、私の父でもあるダルカルと申します」


「お初にお目にかかりますタダノ様、私目は当店の店主を務めておりますダルカルと申します、この度は当店自慢の品々をご購入いただき誠に有難う御座いました。また先日の大蛇討伐、私共からも深く御礼申し上げます」


「わざわざご丁寧に有難う御座います」さすがに自分の父親よりも年上で身分も高そうな人から頭を下げられたのでとても恐縮した。


「おお、タダノ様、お顔をお上げください、大切なお客様に頭を下げられたとあっては大変恐縮で御座います」


「あっ、そうなんですね、すいません。私の故郷では年長者を敬うのが当たり前の習慣なものですから」


「・・・そのような習慣があるとは、なんと素晴らしい徳のある故郷でしょうか」


「今日は防護服が欲しくてやって参りました、お金は幾らかかってもいいので、動きやすくて丈夫で長持ちのする良い物が欲しいです」


「かしこまりました!最高の物をご用意させていただきます!」


 そうして今日2度目の入念な採寸が行われるのであった。もちろんここでも数百円の下着がベタ褒めだった。

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