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異世界小説家  作者: キクメン


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49:武器屋のお礼

 武器屋の裏庭には購入する武器をある程度試すことが出来るスペースがあり、私は早速槍と棒を試してみることにした。


 何度も縫い直された修復痕が残る人型や四つ足の形をした打突用の標的があった。他にも試し斬り用の木や板や巻き藁のようなものも幾つかあり、いかにも武器を試す場所といった雰囲気があった。


 私は既に情報で武器の性能を知っているので、特に試し斬りなどは必要なく、感触を含めて手に馴染むかどうかだけ調べることにした。


 槍の方は先端が少し重い気がしてやはりいまいちな感じがしたが、そこでふと閃いて投げ槍として使うならアリかもしれないと思った。


 私は打突用の標的を指さして「この槍で軽く突き刺してみてもいいでしょうか?」と尋ねると、すぐに了承してもらえたので、自分は10メートル程離れた位置から投げ槍などこれまで生まれて一度もやったこともないのに、何となくこんな感じだろうかという構えをとった。


 力いっぱいやったらとんでもないことになりそうなので、敢えて力を抜いて、その代わりしっかり狙って正確に投擲してみた。槍が届かなかったら恥ずかしいなと思った。


 ところが槍はドヒュッという音と共に放物線どころが真っ直ぐ一直線に飛んでいき、標的を貫通して柄の真ん中まで突き刺さってようやく停止した。


 店員が身を乗り出して目を丸くして驚いたが、投げた本人も同じようにして驚いた。


 二人して標的を確認するために近付き、見事にど真ん中に命中しているので感激し、店員は槍を引き抜こうとしてもまるで抜けず、私が抜くと言ったので店員は標的をしっかり抱えて力を込めたのだが、私が難なくスポッと抜いたのでまた目を丸くして驚いた。


 次に棒を試すことにして、庭の中央で軽く持って突きと払いを繰り返した。私は槍の達人のようにクルクルと回転させることなど出来ないので、ひたすら単純な直突きと短く持って払う動作しか出来なかった。


 槍と違って短いので物凄く速く動かすことが出来るし、何かにぶつける心配もないので、楽しくなってつい激しく動いてしまった。気付くと埃が舞い上がって凄いことになってしまい、店員さんの姿すら見えなくなってしまった。


 慌てて動きを止めて、多分全く意味がないのに手でパタパタと振って埃を払う仕草をした。


 しばらくして埃がおさまって辺りが見えるようになると、他の店員や客からガン見されていた。相当ドン引きされたかもしれないと思い赤面した。


 申し訳ない気持ちになったのと、武器屋とも良好な関係を築いた方が後々役に立つと思ったので、二つとも買いますと店員に言うと、店員は一瞬「えっ!?」という表情をした後で「かしこまりました!ありがとうございます!」と応えた。


 値段を聞いたところ合計110万デンだと言われて、すぐにギルドに行ってお金を卸してくると答えると防具屋の時と同じように「えっ!?」という顔をした後で「かしこまりました、行ってらっしゃいませ」と言った。金を預けることがやはり珍しいのだろうか?


 またしても冒険者ギルドに行って、今度は武器を買うのでお金を卸したいと言うと、何も言わずにすぐにお金を用意してくれたので、受け取ってから武器屋に戻った。こういう時それぞれが近い距離にあるのは実に便利で有難い。


 すぐに武器屋に戻ると、槍には結構立派な鞘が被せられており、棒の方は手の込んだ刺繍の入ったしっかりした袋に入れられていた。


 すぐにカウンターに行って袋からお金を出して受け皿に置くと、やはり数だけ軽く数えてすぐに武器を渡してくれた。そして槍と棒とは別に、何やら別のアイテムを取り出した。


「?」

「先ほど、タダノ様に武器の合計金額を提示した際、タダノ様がすぐにお金をギルドに取りに行くと申された折、私は失礼にも驚いた表情をいたしました」


「そういえばそうですね、防具屋でもそんな風に驚かれました」

「さようでございましたか、それは恐らく防具屋も同じ事を考えたのだと思います」


「どういうことでしょうか?」

「タダノ様が値切らなかったからでございます」


「あっ、なるほど」

「はい、恐らく防具屋でもタダノ様は幾つかの防具をまとめ買いなされたと思うのですが、その際普通の冒険者ならば、複数買うからその分安くしろと言うものです、ですがタダノ様はこちらの言い値でそのままごく当たり前に支払うとおっしゃられたのです」


「そうですね、その通りです」

「恐らく防具屋もですが、私どももタダノ様にお見せした品は当店一の自慢の商品でございます、それなりに誇りもございます、その商品の価値をそのままお認めになっていただけたことに驚き、また喜んだのです」


「なるほど、そうだったんですね」

「そしてタダノ様のような実力も十分兼ね備えた方に私共の商品を存分に使っていただけるのならば、私共としても大変に嬉しいことです」


「分かりました、でも身を守る武器ですので、酷使することになると思いますが、その点は許してください」

「はい!それはもう承知しております!むしろ武器がそれだけお役に立てたということの証ですので嬉しい限りです!それと・・・よろしければ是非こちらもお受け取り下さい」


 そうして取り出していた別のアイテムを目の前に差し出した。それは3本の投げナイフが付いたベルトだった。


「えっと・・・コレって・・・」

「はい、言い値で買っていただいたことへの私どもからのお礼の品でございます」


「いいんですか?」

「はい、是非お受け取り下さい」

「ありがとうございます!」

「はい、今後とも我が店をどうぞよろしくお願いいたします」


 こうして思わぬおまけ付きで武器屋を後にすることにした。ベルトはその場で装着したが、槍二本に棒を両手に束ねて抱えたのでなかなか歩きにくかった。


 いったん宿へと戻り、階段と通路を歩くのにも若干苦労しながら部屋へと辿り着いた。部屋の中に入ると良い香りがして、ふと机を見ると小さな花瓶に一輪の花が入れられていた。恐らく布団を干してくれた少女のチップのお礼だろうと思って嬉しい気持ちになった。


 その後槍二本をアイテム格納バッグに入れて見事な刺繍が施された袋から棒を取り出し、袋はアイテムバックの中にあるリュックの中に畳んで入れてバッグに戻した。


 それからもう一度自分は冒険者ギルド建屋へと向かった。もちろん目当ては次の依頼である。それも当然5等級の。


 すぐに冒険者ギルドに到着し、早速建物の中に入り、5等級の掲示板を探して、掲示板に貼られた依頼書を見た。掲示板にはわずか3枚の依頼書しか貼られていなかった。


 とりあえず最初に目についたものを確認してみた。


-------------------

【5等級冒険者向け】

~ ロックサルペンティン討伐 ~


【内容】

 東のガダンダ砂漠の廃遺跡にいる

 ロックサルペンティンの討伐をお願いしたい

 頭部のみの提出で良い


 可能であれば討伐で亡くなった

 冒険者の遺品回収もお願いしたい


【期限】

 なし


【報酬】

 500万デン

 回収した遺品によっては上乗せアリ


-------------------


 まず報酬金額が一気に跳ね上がっているのに驚いた。次にサルペンティンって何だろうと思い、頭部のみの回収で良いということから恐らく大きいモンスターなのだろうと考えた。


 そこまで考えてから前にワイバーンのことをワイバルンと言っていたことを思い出し、サルペンティン、サーペンティン、サーペントのことか?と連想した。


 そして冒険者の遺品回収という点と報酬の高額さから、恐らく過去に討伐に向かった冒険者が何人も犠牲になっているのだろうというところまで考えた。


 私は依頼書を手にして受付カウンターへと向かって行った。

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