表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界小説家  作者: キクメン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/383

43:シュラ村

 冒険者ギルド長であるウォルロッドのおごりで若手ギルド職員達と一緒に非常に美味しく楽しく有意義な会食を終えた私はウォルロッドに宿の紹介共々世話になったとお礼を述べ、途中まで一緒に帰って道中で別れた。


 ウォルロッドの家はギルド建屋の近くに妻と3人の子供と一緒に住んでいるとのことだった。


 宿屋に着くと風呂場に向かう利用客とすれ違い軽く挨拶をした。特に絡まれるとか呼び止められて話しかけられることはなかったが、なんとなく力量を推し量られているような感じがした。まぁ私もちゃっかり「情報」と念じてしまったのでおあいこであるが・・・


-------------------

???

??歳男性

レベル:3

生命力:26

魔法力:0

持久力:22

攻撃力:3

防御力:2

素早さ:2

幸運度:1

魅力:1

魔法技能:0

異常耐性:0

【スキル】

槍使いLv3

-------------------


 割と年若く見えるが、私と同じ3等級冒険者だろうか?


 ともあれ、私は自分の部屋に入って鍵をかけてから、ポータルゲートを取り出した。2日以上も異世界で過ごしたので少し心配になって現実世界に戻ることにしたのだ。


 ポータルゲートを設置してすぐに気づいたのが、縁側の風景が真夜中で真っ暗だったのが薄っすらと明るくなっていたので、間もなく夜明けの時間なのだなということだった。


 部屋に入って目覚まし時計を確認すると、出てきたときは夜中の10時過ぎだったのが、今は午前3時過ぎだった。私が異世界に行っている間は現実世界では大体10分の1の時間の流れのようだ。


 私はもう一度異世界に戻って、機械式のアナログ針時計を0時にセットして机の上に置いてから、また現実世界に戻って、まずは風呂を沸かして入ることにした。何せこの2日結構砂塵が舞う荒野で過ごした上に汗をかいたにも関わらず、全く身体を洗っていなかったし下着も取り替えていないので気持ちが悪かったのだ。つくづく自分は現代日本人だなぁと思った。


 だが風呂に入りながらふと、湯船に浸かるなら異世界の大きな温泉風呂の方が気持ち良さそうだと思った。そしてしっかりと身体を洗い、入浴後は下着を取り換え、歯を磨いてから、しっくりくるマイ枕と布団でぐっすり寝た。


 現実世界で昼過ぎに起床し、少し遅めの昼食時間に朝食をとり、どうにも現実世界の自分の食生活のショボさに気付いて、なかなかに残念な気持ちになった。そりゃお金と手間をかければ異世界にだって引けは取らないが、あくまでも自分が用意する食事においては完全に異世界に負けていた。


 その後タブレットPCを開いてこれまで2日間での出来事について、得られた様々な情報とそれらに対する考察も含めてひたすら書き記した。書いているだけでも夢中になり、しばらく飽きずに延々と色々書き記していった。


 いつしか辺りは暗くなり、腹が減ったので冷凍食品の炒飯をフライパンで炒めて食べた。不味くはないのだが、何とも味気ない感じがした。やはり食事はなるべく異世界で食べたいものだ。


 その後現実世界の真夜中に、たいして汚れていないが家の中の掃除をして時間を潰し、やがて朝が来たので郵便受けを確認したが田舎なのでチラシすら入っておらず、特に家のことで変わったこともないようなので、もう一度異世界に戻って、異世界の宿屋の部屋のベッドで眠ることにした。時刻を確認すると前回0時にセットしてからまだ1時間半も経っていなかった。


 慣れないベッドに慣れない枕で寝付けないかと思ったがそんなことはまるでなくグッスリと眠り、3階の角部屋なので朝日がタップリ入ってきたので日の出とともに目が覚めた。窓に近付くと雨戸のようなものがあることに気付き、どうやら日よけ用のものだと理解した。


 多分相当早い時間だろうと思い、まだ飯屋はやってないかもしれないと思い、いったん現実世界に戻って天気予報が晴れなことを確認して洗濯をして、かつて愛用の槍の柄だったステンレス製物干し竿に洗濯物を干してから、もう一度異世界に戻った。


 まだ全然時間が経過していなかったが、とりあえず装備を整えて部屋を出ることにした。部屋を出て階段を降りると2階の部屋の住人達も階段に合流してきて、1階に着く頃には続々と武装した冒険者たちの列が出来た。挨拶や言葉を交わす者達で結構賑やかでこれから戦にでも行くのかといった感じだった。


 全員飯屋に向かって行くようで自分もその流れについて行った。私と同じように誰とも話さずひとりで歩く人はどちらかというと少数だった。


 程なくして飯屋に着いて、私も前の人と同じものをくれと注文し、さらに同じように弁当もくれと言うと、とても慣れた様子ですぐに渡してくれた。二つ合わせて100デンだった。とても美味しくてボリュームもあるのに実に懐に優しい値段だった。


 その後ほとんどの人がザラ小屋に向かって行ったが、自分は徒歩で門に向かって行った。


 門から出ていくときはほとんどノーチェックで、何か用でもない限り全員門番をスルーして出ていった。自分は初日に会った門番の人がいたので軽く挨拶した。


「おうアンタかい、聞いたぞズール族をやっつけったんだってな」


「はい、待ち伏せに会いましたが、なんとか相手を殺すことなく追い返せました」


「ああ聞いてる、大したもんだ、これからギルドの依頼かい?」


「はい、シュラ村の大サソリ討伐に行ってきます」


「ザラ無しで行くってのかい?夜までかかるぞ」


「はい、修行の身なので足腰を鍛えるのも兼ねてこのまま行きます」


「はぁー!大したもんだ!しかし気をつけてな!明け方は凍える程冷えるからな!」


「ありがとうございます、何日かしたらまた戻ってきます」


「おう!頑張れよ!」


 こうして自分は町を後にした。何事もだがこうして顔なじみになっておくのは大事だ。


 町の大門から少し離れたところで、人気もまばらになったので、とりあえずまずは時速30キロ以下程度に抑えて駆け足をすることにした。頭の中で「地図」と念じて一直線にシュラ村へと進む、そしてもう自分の周りにはほとんど人がいなくなったのを確認して時速40キロ程度の急ぎ足に切り替えた。恐らくザラよりも速いだろう。


 結局お昼どころか日本ならまだ朝のワイドショーの時間にシュラ村に到着した。私は速度を落として歩いて村へと近づいて行った。


 やはり村には小さなお堀があり、渡し板の先には見張りがいた。ただしゴドルム村程イカツイ感じはしなかった。


「冒険者か?」

「はい、大サソリ討伐の依頼に来ました」

 3等級冒険者の認証を見せた。


「おお!サソリ討伐に来てくれたか!助かる、それでは詳しく説明するので来てくれ」


 その後村の集会場に案内されると、別の人がやってきて大サソリの特性と習性ならびに生息域について説明を受けた。


「尻尾の毒針には要注意だ、あれにやられるとほぼ生きてはいられん、運よく手足を刺されたとしても刺された手足は切り落とさなければならくなるだろう」


「分かりました、弱点はあるのでしょうか?」


「頭が弱点だが、硬い甲羅で守られているのでなかなか貫通しない、アンタの槍は大分良いもののようだから貫通するかもしれん」


「なるほど分かりました」


「もしデカイのを倒して運べないようなら尻尾の先を切り落として持ってきてくれ、毒針に触れなければ大丈夫だ」


「分かりました」


「頼む、アレが出るとザラの放牧ができなくなる」


 なるほどシュラ村ではザラの放牧が主な収入源なのだなと理解し、私は教えてもらった大サソリの生息域へと向かうことにした。徒歩で30分程度とのことだが走れば数分だろう。


 さて、いよいよ冒険者らしい依頼クエストの始まりだ。毒針にやられたら命はないと言われたにも関わらず、相手が人間じゃないので、ほとんど恐怖心を感じず私はとてもワクワクした気持ちで大サソリ討伐へと向かったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ