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異世界小説家  作者: キクメン


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42:会食

 私は冒険者ギルド長のウォルロッドから紹介された小さな宿屋にいた。宿屋の宿主がウォルロッドの母親だというので驚いた。


 宿泊施設と宿泊料の説明を聞いたところ、食堂はなく共同使用の風呂と便所は1階にあって、それらに近い部屋から宿泊料は高くなり、残念ながら1階は今は全部埋まっており一番遠い3階の角部屋が最も安く1日100デンだが前払いで1500デン払えば30日まで宿泊できるが例え1日だけ宿泊してチェックアウトしても返金はしないとのことだった。


 食事なしで共同風呂に共同便所とはいえ、大分安いことに驚き、ポータルゲートで自由に現代日本のウォシュレット付きの水洗トイレを利用出来る私としてはむしろ人の行き来が少ない3階の角部屋の方が都合が良いし値段も安いので、1500デンを支払って3階の角部屋を利用することにした。


 宿主であるウォルロッドの母親から鍵をもらい、貴重品は部屋の中にある箱に入れておくとよいと言われた。部屋の鍵で開閉出来るそうだ。


 私は早速部屋へと向かった。全体的に石造りなので階段を上り下りしてもギシギシ鳴ることもなく、夜中や早朝に出かけても大きな音や振動がないので宿泊者の迷惑にならなくて良いなと思った。


 鍵についてるキーホルダーに部屋番号が刻まれており、各部屋の扉横の壁にも部屋番号が刻まれていたが私の部屋は一番奥の角部屋なのですぐに分かった。


 鍵を開けて部屋の中に入ってみると大体六畳間程の広さでベッドと小さな机と洋服掛けと頑丈そうな金属製の鍵穴のある箱がガッチリ床に固定されていた。


 3階の角部屋ということで日当たりが良く住環境としては申し分ないが、恐らく冒険者達は昼間はほとんど外で活動しているはずなので、あまり関係ないだろう。それよりも便所や風呂に近い1階の方が便利なので人気があるのも頷ける。


 そういうわけで、異世界の便所や風呂がどういうものか、ある意味怖いもの見たさで覗いてみることにした。


 1階に降りたところで通路に入るとすぐにそれらしい入り口があるので分かった。そこで思いついたのだが、便所が近い割にはほとんど匂わないことに驚き、扉のない入り口に入るとそれぞれの個室が4っつあり、個室扉が空いていたので恐る恐る覗いてみるとなんと穴の中に水が流れていた。


 しかもどうやら流水は温泉のようだった。なるほどこれで匂いが気にならなかったのか。ただし尻拭きは自分で用意しないとならないようだ。また、手洗い用の小さな洗面台もあり、絶えず温泉が流れていた。


 続いてその横にある風呂場に行ってみた。入り口には扉はなく男女も分かれていなかったが、個室と思われる扉が4っつと、多分複数人で利用すると思われる風呂場の大き目の扉が脱衣所と思われるスペースの奥にあった。


 まず個室を覗いてみると狭い脱衣所の奥にカーテンがしてあり、それをどけると小さな風呂桶があった。足を曲げれば首まで浸かれそうだ。そして絶えず温泉が流れていた。


 女性や一人で入りたい場合はこちらを利用するのがよさそうだ。家で使っているいつものシャンプーを使いたいときはこちらを利用しようと思った。


 次に複数人利用の風呂場を覗いてみることにした。脱衣所にある衣服を入れるカゴは全て空だったので、今は利用者はいないようで少しホッとしながら奥にある扉を開けると、そこそこ大きな風呂場が目の前に広がった。


 浴槽も大きく当然足を延ばして湯に浸かれそうだし、これなら10人くらいは並んで入浴出来そうだ。洗い場も左右の壁に5人分ずつのイスと桶が置いてあり、10人利用なのだなと分かった。


 昨日の朝は荒野で用を足したので、想像以上に衛生面で充実していることに驚き満足した。


 その後そろそろ約束の時間になりそうだということで部屋に戻り鍵を閉めて、冒険者ギルドへと向かった。


 ギルド建屋に到着し、中に入ってウォルロッドが出てくるまで掲示板に貼られた依頼書を眺めた。


 掲示板には様々な依頼書が貼られており、依頼書の一行目には推奨等級が記載されていて、続いて簡単な依頼内容を表す一行、その下に詳細な説明文、最後に報酬料、もしくは報酬アイテムが記載されていた。


 私は3等級冒険者推奨のものを探した。どうやら掲示板ごとに等級が別れているらしく、私は3っつ目の掲示板に移動すると、まさしく3等級冒険者向けの依頼書が貼られていた。


 そのうちの一つを見てみると・・・


-------------------

【3等級冒険者向け】

~ 大サソリ駆除 ~


【内容】

 南方のシュラ村付近に出没する

 大サソリの駆除をお願いしたい


【期限】

 メスの産卵シーズンまで


【報酬】

 1匹につき3千デン

 メスの場合は1万デン

 大サソリの状態によっては上乗せアリ

-------------------


 これは良さそうだと思い、まずは「地図」と念じて続けて南の遠くを見たいと念じると、大きな地図が表示されて、それ程遠くないところに村のアイコンが表示された。恐らくこれがシュラ村かもしれない。


 私はその依頼書をはがそうとしてみると、面白いことに依頼書の上部に細長い金属の棒があって、どうやら磁石でくっついているようだった。私はその棒をどけて依頼書を手に取り、受付カウンターへと向かった。


 受付窓で若い女性の方に依頼書を渡して話すと、「シュラ村の場所は分かりますか?」と聞かれたので「町から南に向かって一番最初にある村のことですか?」と答えると「そうです、そこがシュラ村です」と言われ「詳しい事はシュラ村で聞いて下さい」とのことだった。捕まえた大サソリもシュラ村に渡せば符丁をもらえるので、依頼完了報告の際は符丁だけを持って来れば良いとのことだった。


 シュラ村までは徒歩だと朝町を出て村に着くのは夕方、ザラだと昼前には到着する距離だとのことだった。


 その後鉄格子の扉が開いてウォルロッドと他の数人のギルド職員が出てきて「おう来ていたか、待たせたな、それでは行くとしようか」と言って後について行った。どうやら職員の人達も一緒に食事をするようだった。


 前日に行った肉屋の隣の飯屋ではなく、少し落ち着いた感じのする建物に入ると、ドルバ達と朝食を食べた飯屋と違い、武器を携行した客は少なく、ガヤガヤとした大きな雑音もなかった。


 すぐに給仕の人がやってきて、ウォルロッドを見るなり奥の個室部屋へと案内した。周りの客もウォルロッドの巨躯を見て、小さく頭を下げて挨拶する者もいた。ウォルロッドも僅かに頭を下げ目線を下げて挨拶を返していた。


 扉のない奥の個室に入ると円卓があって、ウォルロッドが座った右隣に私が座り、4人のギルド職員も続いて座った。槍とバッグは自分の背後の壁に置いた。


 給仕がやってきて「いつもので良いですか?」とウォルロッドに尋ねてきて「おう、お任せで頼む」とウォルロッドも応えた。


 ギルド職員達は「やった!」「ご馳走になりますギルド長!」などと口々に嬉しそうに言い、私の隣に座っている職員が「ここの店は私達のような若手職員はなかなかこれないお高い店なんですよ」と説明してくれた。


 私も「やった!そうなんですね!」と笑顔で答えたので、話しかけてくれた職員もニッコリと微笑んでくれた。


 その後ギルドや依頼に関する色々な話を聞けて情報収集としても実に有益な上に、出てくる料理も口に合わないものは何一つなくどれもこれもとても美味しく、甘い何かの果実酒も美味で、さらに会話も弾み、若手ギルド職員達とも打ち解けた。


「いや~実は皆、タダノさんには只者ならぬ雰囲気を感じていて正直少し怖がっていたんですよ」


「でもこうして話しをしていて、こう言っては失礼ですが普通の温和な方だというのが分かってホッとしました」


「そうです、それにズール族に襲われても怪我を負わせるだけで命を取らなかったと聞きました」


 そのような会話がきっかけで、彼等とも大分話が弾み、ますます人脈と情報収集という点で大いに得るものがあり、ウォルロッドの誘いを受けて来て非常に良かったと大満足した。

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