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異世界小説家  作者: キクメン


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22:全力突撃

 バランスボール大のイエロースライム部屋の攻略完了報酬としてアイテム格納バッグを手に入れた私は、液体の格納について考えたところでアイディアが閃き、またしても大型ホームセンターまで行って容量20リットルのポリタンクを2つと電動ポンプを買ってきた。


 家についたところで軽トラに電動ポンプを突っ込んで買ってきたばかりのポリタンクにレギュラーガソリンを移していった。


 一つ目のポリタンクが一杯になったところで、いつも利用するガソリンスタンドより遠い別のガソリンスタンドに行って満タンにして家に戻り、2つ目のポリタンクにガソリンを移し、2個のガソリン入りポリタンクをアイテム格納バッグにしまい込んだ。


 原付バイクは1リットルあたり50キロ以上は走るので、合計40リットルのガソリンがあれば2千キロは走破出来ることになる。


 ・・・と、考えてみたのはいいものの、果たしてこれが必要になる状況など来るのだろうかと、我ながら想像力が飛躍し過ぎたと苦笑いした。ともあれ買ったばかりの電動ポンプも一緒に格納した。


 他にも何かバッグに入れて試したいモノはないかあれこれ想像してニヤニヤしながら、異世界記録テキストに追記して時間を潰した。


 次はボス部屋なので別に時間を潰さなくても、今行けば攻略出来るし、さらにその後の次の部屋もこれまでと同じパターンならば続けて入ることが出来るはずだが、それでも私は我慢して明日まで待つことにした。


 日中の間、私はアイテム格納バッグを日当たりの良い縁側に置いておいた。理由はバッグの中のアイスクリームがどうなるかを試すためである。


 良くある異世界モノと同じ性能ならば、アイスはバッグにしまう前の状態のままで、いつまでも鮮度は維持されるはずである。ちなみにアイス一つは明日食べてみようと思っており、残りのアイスと肉まんはイエロースライムゼリーの効果が切れた時に食べようと思っている。


 その後、やはり夜になってからの時間つぶしが実に辛く、何かじっくり時間がかかる趣味とか、攻略に時間がかかるゲームとかにハマっていればなぁとしみじみ思いながら時間が過ぎるのを待った。


 今は異世界に行くこと以上に没頭できることなど何一つ存在しないという心境だった。


 なんとか夜明けまで退屈を耐え忍ぶことに成功した私は待ってましたとばかりに装備を整え、新たに手に入れたアイテム格納バッグを肩にたすき掛けしてボススライムがいるであろう部屋へと向かった。


 足取り軽く扉も軽く、意気揚々としてボス部屋に入った私は思った通りの光景に満足して頷いた。


 そこには軽自動車並みの大きさのイエロースライムがいた。


 私は軽く準備運動をして、アイテム格納バッグを部屋の角隅の壁の下に置き、濃い青色のスライムゼリーを一つポケットに入れてボススライムへと近づいて行った。


 これまでと同じならば、同じ色のスライムの対象察知距離はスライムの大きさに関わらず同じ距離のはずで、イエロースライムの対象察知距離は3メートル以内である。


 今の私の攻撃可能距離は伸びる槍の長さを加えれば10メートルくらいはあるが、最初の飛び出し加速の速さに比べれば後半はかなり減速するので、最も素早く攻撃出来る距離は5メートルと考えていた。


 つまりこれまでと同じ状況ならば今回も私はノーダメージで攻略出来るということである。


 それでも油断は禁物、私は慢心することなくしっかり警戒しながら巨大なイエロースライムのボスとの距離5メートルの位置で槍を構えた。


 まずは軽く「シッ!」と槍を突き入れてみた。さすがに軽自動車並みの大きさなので中心核も大きくて外すことはまずないが、その分かなり内部まで突き刺さないと届かない。


 だからこその槍なのだろう、短剣では絶対にこうはいかない。


 当然今の一刺しではボススライムは何ともない様子だった。だがそれはこちらも同じで、私は伸びる槍のおかげも相まってボススライムの対象察知圏外から攻撃出来るので、そもそもスライムはこちらに伸びる腕で攻撃することすらせず、私からすればこれでは単なるサンドバッグのようだった。


 とはいえさすがボススライム。その後1時間以上も槍を突き刺し続けているにも関わらず、まるで変わった様子がなく中心核も相変らず濃い黄色のままだった。


 私の方もイエロースライムゼリーの効果がまだ十分続いているおかげか、ひたすら槍を繰り出し続けているにもかかわらず疲労は全くしていなかった。


 もう少し距離を詰めて力を込めてみるかと思い、私は4メートルの位置に近づいて一撃一撃に力を込めて攻撃することにした。


 さらに1時間が経過したが状況に全く変化が現われず、私の方もまだまだ大丈夫そうではあるが、これまであっけなく倒せてきたのに全く何も起きないのでさすがに少し心配になってきた。


 せめて敵の体力ゲージなりステータスなりでも表示してくれれば良いのだがと思ったところで、ふと気が付いた。


 そういえば自分のステータスもレベルアップの時に黄色い枠に囲まれて1分程度表示されるが、その後確認したことがない。さらに今手にしている槍も以前手に入れた短剣も身につけているプロテクターもその能力について具体的な数値など分からず使っている。回復魔法の効果を調べる時にプロテクターの防御力を推し量る事は出来たが、正確な防御力や耐久性は分からない。


 異世界モノならばこうした情報は確認出来るようになっているはずなのだが・・・と、考えたところで私は「ステータス表示!」と声に出してみた。


 しかし何も起こらなかった。自分のステータスですら表示されることがなかった。私は一度下がって手にした槍を見ながらもう一度「ステータス表示」とか「槍の情報表示」などと色々と声に出して言ってみたが何も起こらなかった。


 私は諦めてまたボススライムにひたすら槍を突き刺すだけの単調作業に戻ることにした。考えてみれば前回は延々8時間もかかってようやく倒せたので、そう簡単にボスを倒せるわけないよなと思いながらも、ボスとそれ以外のスライムとでここまで耐久力に違いがあるのかと不思議に思い、まさか途中で回復しているのではないだろうかと考えた。


 とにかく私は休むことなくいつか状況が変わることを信じて槍を突き入れた。それでもせめてステータスが分かればなぁと思わざるを得なかった。


 朝の6時過ぎにボス部屋に入ってから6時間が経過し、昼の12時を回ったあたりでようやくボススライムの中心核が白っぽくなっているのが分かった。


 イエロースライムゼリーの効果がまだ続いているので疲労感や空腹感はないが、とにかく退屈で仕方がなかった。まぁ身体を動かしている分、心を無にしてただひたすら槍を突き入れる動作を繰り返すので、何もすることもなく暇を持て余す夜に比べればいささかマシではあった。


 既に今でも一撃一撃十分力を込めているので、これ以上の攻撃力をあげるにはどうすればいいのか分からないので今の攻撃を続けることにした。


 そうしてさらに1時間が経過したところで、中心核は真っ白になった。


 そこで私は助走をつけてそのままボススライムに体当たりする勢いで全力で攻撃してみようかと思いついた。恐らくこちらも被弾する可能性は高まるだろうが、前回の時みたいに次の一撃で倒せるかもしれない。


 私は壁際まで後退し、スライムに向かって小走りに走り出した、一歩一歩の歩幅間隔は短く、その代わり出来る限り速く足を動かし、ボススライムの手前4メートルの距離から一気に前方に跳躍した。


 ボススライムの手が伸びてこようが私が弾かれて吹き飛ばされようが何だろうがお構いなしで、自分自身もまるで槍になったかのように全身全霊で雄たけびをあげながらイエローボススライムに向けて突撃した。

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[気になる点] ポリタンクにガソリン????
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