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異世界小説家  作者: キクメン


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20:攻撃力測定

 午前0時にスライム部屋が補充されたのを確かめ、さらにスライムと自分の戦闘の様子を録画して動画記録を保存した私は家へと戻ることにした。


 時刻はまだ午前3時前で、これからまた長い1日が始まるのかと少々ウンザリした。それこそお爺さんのノートを見て畑でも耕そうかと思った程だ。


 とりあえず日が昇るまでの暇つぶしに先ほどまでの出来事を整理してタブレットPCにある私の異世界記録テキストファイルに追記していった。


 イエロースライムゼリーのおかげで飲まず食わずで休息も睡眠もトイレも不要なのは便利な反面、ひたすら1日が長くて退屈なので、余程のことがない限りもうしばらくイエロースライムゼリーを口にするのはやめようと心に誓った。


 ただ、あの味は実に素晴らしく美味しいので、やめるのは容易ではないだろうなと思った。


 そうして異世界記録テキストの追記と動画ファイルの整理などをして暇つぶしをしていたところ、割と熱中していたようで時刻は朝の7時を過ぎていることに気が付いた。


 辺りは大分明るくなったので私は庭に出て、自分の攻撃力がどの程度のものなのか何かで試してみることにした。ついでに槍の威力や強度も確かめられればいいなと考えた。


 庭に出て辺りを見回してみても何も攻撃力を推し量るのに適したものが見当たらず、どうしたものかと考えた挙句、私はもう一度家の中に入ってタブレットPCを開き、ネットの検索地図の衛星画像とストリートビューを使って、この近くの川の画像をあれこれと眺めてみた。


 軽トラで河川敷まで入れそうな川べりがないか探し、さらに大きな岩などがあればなおいいと思いながら検索すると、なかなかいい感じの場所が見つかった。付近には民家や畑や何かの敷地もなく、あまり人目につかずに済みそうな良い場所だった。


 ここから軽トラで30分もかからない場所なので、私は早速出かけることにした。槍を荷台に載せて持っていこうかと思ったが、万が一警察にとめられて職務質問などされた際に見つかったら面倒なので、残念だが置いていくことにした。


 その代わり試し斬り用の岩を持ってこようと思った。以前軽トラのバンパーを掴んで持ち上げてみたら軽々と持ちあがったので、結構大きな岩ぐらい人力で持ち上げられそうだと思ったのだ。


 私は早速お爺さんの軽トラを運転して、スマホナビを頼りにお目当ての河川敷へと向かった。


 ほぼナビの到着時間通り特に問題もなく目的地に着いた。途中バイパス道路を走った時に朝の通勤時間でそこそこ車が流れていたが、川に近づくにつれて全くと言っていい程車通りはなく、私の軽トラ以外に走る車はなかった。また歩いている人もいなかった。


 全く誰もいない河川敷に軽トラを近づけて、私は適当な岩を探すことにした。すぐ近くにあった1メートル程の岩を持ちあげてみようとした。軍手をはめて腕を広げて抱きかかえるようにして持ちあげてみたところ、恐らく100キロ以上はあろうかと思われる岩は拍子抜けするくらい軽く持ちあがり、そのまま軽トラの荷台にゴトリと置いた。


 これならもっと大きな岩でもいけそうだと分かったので、自分の背丈程もありそうな岩を見つけたのだが、ちょっと距離がある上に軽トラでその近くに行くのは難しそうなので、私はまず歩いてその岩のところまで行ってみた。


 さすがにこれは無理かと思いながらも腕を回し、まるで相撲で組み合った状態のようになりながら岩を抱いて力を込めて持ち上げてみたところ、ズシリと物凄い重さを感じながらもなんとか持ち上げることに成功した。持ち上げた跡にはポッカリと大穴が開くほどだった。


 私は冷蔵庫程の大きさの岩を持ちあげながらヒョコヒョコと軽トラまで歩いた。400キロくらいはあるんじゃないかと思ったが特にそれ程身体のあちこちの筋肉が悲鳴を上げるようなこともなく、軽トラまで持ち運ぶことが出来た。荷台に乗せるとさすがに軽トラのサスペンションが結構沈んだ。


 私は今の様子を誰かに見られていないか心配して辺りを見回したが誰もいないようなので安心し、そそくさと軽トラに乗り込んですぐに家に戻ることにした。帰りは運転してて明らかに重い荷物を積んでるなというのが分かって思わず苦笑いした。


 その後特に問題もなく家に到着し、早速二つの岩を庭に置いた。


 さて、ここからどうしたものかと考え、まずは三脚を持ってきて岩の前に置き、スマホを取り付けて録画ボタンを押して、私が岩を持ち上げる様子を記録した。小さい岩はそのまま頭上に持ち上げ、冷蔵庫並みの岩は相撲のように抱き抱えてヒョコヒョコとダンスのように横歩きしてみせた。


 次にキックの威力を試してみようと思ったが、さすがに岩に対して蹴りつけるのは痛そうだし怖いので、ジャンプして踏みつけてみようと思った。これなら最悪踵の骨の骨折か足首の捻挫で済みそうで、回復魔法が効きそうだと思ったのだ。


 早速ジャンプしてみたところ、勢い余って10メートル近くまで飛んでしまい「しまった!」と思って飛びながら辺りを見回した。近くには誰もいなかったが、遠くの畑の農道でトラクターが動いているのが見えてかなり焦った。


 やってしまったのは仕方ないので、どうか気付いていませんようにと祈りながら、落下地点にある岩に向かってこれが本当のかかと落としだと言わんばかりに岩を踏みつけた。


 ドグゥッ!という音と共に小さい方の岩は4っつに砕けた。


 これには私は目を丸くして驚いた。


 こんなにも私のキックは威力があるのか!これはもうこの先間違っても人様の足を踏んづけるようなことは出来ないぞと自分に強く言い聞かせた。


 そして4っつに割れた岩の一つに対してジャンプせずに片足でグッと踏みつけてみたところ、スイカ程もある岩はいとも簡単に砕け散った。ところがその後何だか足が冷たいなと感じて足を上げてみるとお爺さんの長靴が見るも無残な姿になっていた。分厚い冬用靴下も破れて使い物にならなくなった。


 とりあえずいったん録画を終了して、靴を履き替え、槍を持ってきた。


 さすがに刃こぼれとかしたら嫌なので、穂先とは反対側の金属製の球で叩きつけることした。この部分は石突と呼ばれる部分で本来の目的は槍の重量バランスを整えるためと、打撃攻撃を行うためのものでもある。


 スマホを取り付けた三脚を先ほど4っつに割った岩の一つの前に移動して録画ボタンを押し、その岩に向けて石突を軽く振り下ろしてみると、岩は木っ端微塵に爆発した。


 またしても私は目を丸くして驚いた。


 数日前に結構力を込めてバランスボール大のイエロースライムに石突で攻撃した際はブニュンと弾かれてしまったが、イエロースライムの防御力はそれ程強いのかとあらためて感心した。


 そうなると、やはり穂先の攻撃力を試してみたくて仕方がなくなった。でもこれで刃こぼれしたり、最悪の場合刀身が折れたりなどしたら、この先非常に困ることになるので、どうしたものかしばらくの間逡巡したが、やはりどうしても試してみたいという気持ちが勝り、やってみることにした。


 どうせやるならいっそのことデカイ岩の方に思いっきりやってやれと思い、三脚を移動させて録画ボタンを押して「どうか折れませんように」と祈りながら鞘を抜いて、冷蔵庫並みの大きさの岩の前に槍を構えて大きく息を吸ってから一気に突き刺した。


 スライム部屋だったら「ヤアッ!」と声を上げるところだが、誰かに聞かれたらまずいと思って無言で息を吐きながら思いっきり突き刺した。


 冷蔵庫程もある大きな岩はくの字になって綺麗に真っ二つになって後方に吹っ飛んでいった。

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