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異世界小説家  作者: キクメン


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105/383

105:マナ料理

 魔法の町にて、イフリルの案内で魔法力が回復するという美味しいマナ料理とやらを出す店に向かう途中、前方にある建物から大声で逃げろと叫びながら出てきた男達と共に私は爆風で吹き飛ばされた。


ドガァァァンッ!!


 先ほどまでイフリル以外は皆まともで平穏な学問を愛する学園都市のような印象を持っていたのだが、その幻想は吹き飛ばされた。物理的にも吹き飛ばされた。


 ヘルメットをしていなかったので咄嗟に頭を腕でガードしたが、ヘルメット以外の防具を全て着たまま歩いていたのは運が良かった。


「おい無事か!?タダノ!」


「ええ、なんとか、こちらは大丈夫です」


「怪我人はいるか!」


「こっちに意識不明の重体者が3人いる!」


「回復魔法使いを呼んで来い!」


「それよりも警報を慣らせ!」


ウ~~~!ウ~~~!ウ~~~!ウ~~~!


「消火が必要だ!水魔法の奴等の手を借りよう!」


ウ~~~!ウ~~~!ウ~~~!ウ~~~!


 何コレ、何だコレ、戦争状態の町ですか?


「とりあえず放っておいて、アタイらは飯屋に行こう」


「ちょっえっ?怪我人がいますよ!重傷者ですよ!あと燃えてますよ!建物が吹き飛んでますよ!」


「ああ、だがアタイらじゃどうにも出来ん、回復魔法は使えないし、水魔法で消化活動でも出来ん、ここにいても邪魔なだけだ」


 えぇーーーッ!?・・・やっぱ、この人ダメな人だ、っていうかこの町がダメな気がする。ヤだもう帰りたい、始まりの町に帰りたい。


「そら、丁度いいぞ、これで飯屋も空いてることだろう」


「・・・あの、つかぬ事をお聞きしますが、こうしたことはこの町では日常茶飯事なんでしょうか?」


「ああ、大体こんなもんだ、とりわけウチらのシマは爆発が多いな、火だけに」


「えっと、一体何をしているんでしょうか?」


「大体が生活魔法の研究実験による爆発だな」


「生活魔法で爆発するんですか?」


「まぁ実験には爆発がつきものだ」


「・・・」


 どういう実験だ?爆弾の研究か?生活魔法で何故爆発がつきものなんだ?意味が分からない。


 後ろを振り返ると水の魔法使いが放水活動をしており、重傷者と思われた人達は回復魔法使い達により治療され、土魔法使い達が壊れた建築物をみるみるうちに修復していった。その手際は実に手慣れており、本当に日常茶飯事らしいことが分かった。


 それから5分もかからず目的の飯屋らしい店に到着した。開店前のようだが既に数人が並んでおり、最後尾に到着したところで、扉が開き扉止めを置いて「いらっしゃい」と言って中に入っていった。


 前行く人が振り返ってイフリルに挨拶し、私の方を見て「おお、アンタがタダノさんかね」と言ってきたので肯定して挨拶し、そのまま続いて歩いて店の中に入っていくと、扉を通過する際に何か風の圧というか膜のようなものを感じた。


「ウンッ?・・・今の感じは?」


「これは虫避けネズミ避けの風魔法だ、地味だが飯屋では実に重宝する」


「そんなのがあるんですか!?」


「ああ、他にも色々あるぞ、意味不明なものもな」


 そうしてイフリルは迷わず窓際の小テーブルに座った。他の人もだがどうやら定位置のようだ。そしてすぐに水を持ってきた給仕がやってきた。


「イフリルさん毎度です、いつものでいいですか?っておや?そちらの方はもしや・・・」


「ああ、いつものやつを二人分頼む、こっちは冒険者タダノだ、今日からアタイが魔法を教えることになった、ウワサ通り相当やる男だ、挨拶代わりの戦闘で一本取られた」


「「「 ええっ!? 」」」


 周りにいた常連と思われる客達がこちらを振り返って驚いた。


「何も驚くことないだろう、皆も知っての通りタダノはたった一人でワイバルンやロックゴレムを倒した程の冒険者だぞ」


 皆さん知ってるんだ・・・なるべく目立たないように活動してきたつもりだったのだが・・・


 そんな気苦労を振り払うかのように良い匂いと共に料理が運ばれてきた。


「今日の日替わりはなんだい?」


「今日はポーのトウガル煮込みでニラルとニルニルがタップリ入っています」


「うわ、そりゃ相当辛そうだね」


 そうして運ばれてきた料理は大きな器に入ったチゲ鍋のような真っ赤なスープの煮込み料理で、白くてプヨプヨした見た目の何かの肉がゴロゴロ入っており、ニラに似た青い葉野菜とニンニクのスライスのようなものがタップリ入っており、それ以外にも色んな野菜が入っているようだった。


 さらに緑色の大きくて表面が硬そうなパンと、緑色のメロンソーダのようなものが大きなジョッキに入っていた。


「それじゃ食べるとしようかね」


「いただきます」


「?なんだい」


「食事の前の挨拶習慣みたいなもんです、私の故郷では大抵の人が言います」


「へぇそりゃ面白いね、メシを食う前に食べますって言ってるようなもんだ」


「そうですね、ご飯を食べさせてもらいます、有難う御座いますっていう感謝の意味に近いです」


「そりゃあれかい?宗教みたいなもんかい?」


「大昔はそうだったかもしれませんが、今は料理を作ってくれた人達への感謝の気持ちで言います」


「なるほど、タダノ達の故郷は優しい人達が多いんだな」


 そう言ってチゲ鍋のスープをひと口含んでみたところ・・・「辛ァッ!ゴホッ!ゲホッ!エホッ!」


「アッハッハッハ!いきなりスープを飲む奴があるかね!パンに浸して食べてごらんよ、それかポーの肉と一緒にお食べよ、ホラ、エナルを飲みな」


「エナル?」


「ジョッキに入った飲み物のことだよ、スッキリするぞ」


 そうしてエナルと呼ばれたメロンソーダのような炭酸飲料を飲んでみた。


ゴクゴク・・・プハーッ!


「うまいですね、コレ!」


「だろう?コイツは魔法力回復にすごく効くんだ、だが飲んでも1日2杯までにしておけ、こいつはかなりキくからな、それ以上飲んだら夜眠れなくなるし胃が痛くなるぞ」


 なるほどこれはエナジードリンクだ、まさに味もそんな感じで甘さと爽やかさと強炭酸の刺激がガツンと来るストロングエナジードリンクだ。そして飲んだ後に来る後味で結構色んなエキスが含まれているようだというのが分かった。


 気を取り直して、緑色のパンをちぎってスープに浸けて食べてみたところ、パンのほのかな甘味で辛さが抑えられてスープに含まれる凝縮した旨味を味わうことが出来た。


「コレはウマイ!辛いけど美味いです!」


「そうだろう!ポーも食え!ウマイぞ!」


 すぐにポーと呼ばれる白いプヨプヨした見た目の何かの肉を食べてみた。見た目はプヨプヨしていたが、意外と歯ごたえがありソーセージを食べているかのような食感の後にジュワッと脂汁がにじみ出てきて辛いスープと交じり合いマイルドな味わいになり、より一層美味しいスープに変化しながらポーの肉を味わうことが出来た。


「コレ抜群ですね!ポーの肉とこのスープは最高の組み合わせですよ!」


「ああ、ポーの肉はそれ単体ではそれほど美味しいというものではないが、このトウガルスープで煮込んで食べれば他の組み合わせは考えられないくらいに相性抜群でウマイんだ」


「ハフッハフッ、ホント、おいひいでふね!」


 辛さに慣れてくるとこれはなかなか病みつきになりそうな美味しさで、胃の中に送り込まれる度に身体がカーッと熱くなって代謝が高まった。熱くなったところでエナルをグイッと飲んでプハァーッと息をつくのが実にマッチしていた。


 昼間からこんなにエネルギッシュでスタミナ抜群の美味しい料理を食べられるとは、そりゃ人気も出るわけだとすぐに納得した。そして自分のゲージを確認するとみるみるうちに魔法力が回復していくのが分かった。

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