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異世界小説家  作者: キクメン


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104/383

104:修羅の町

 魔法の町の火の魔法使い達のいる区画にある火力演習場にて、つい先程まで初対面の挨拶代わりに殺し合いを行った私は今すぐにでも始まりの町に帰りたい心境だった。


「お前さん、大分良い防具を身につけているな、それがなければ三発目ので大分焼けてたぞ」


「はい、始まりの町で道具屋さんと防具屋さんに協力してもらって最高のものを用意してもらいました」


「なるほど、それと二発目に火の玉をぶつけてきただろう、あれも良かった、アタイのを貫通する程の威力は大したものだ」


「はい、避けるのもガードするのもダメだと思って咄嗟に火には火をぶつけようと思いました」


「うむ、さらに三発目の後の逃げ方も良かった、お前さんこちらを振り返ることもなくひたすら逃げていたが、あそこで少しでも止まっていたら火の玉を食らっていただろう、まさに手練れの動きだ、実戦経験で厳しい戦いを切り抜けていないと出来ない動きだ」


「あそこで動きを止めたり、反対方向に切り替えたりすればそのタイミングで動きが一瞬停止するのでダメだと思いました、そしてこのままだとすぐに未来予測位置に火の玉が来るだろうと思ったので、ほとんど考えなしに投げナイフを投擲しました」


「ああ、だがそれが良かった、そういうことを考える前に感じて行動出来るのが百戦錬磨の証だ、そしてすぐに私の行動をマネして取り入れたのも大したものだ、火の玉の後ろから近づき至近距離で二発目の火の玉、そこでお前はほぼ同時に三発目を槍で放ってきた、しかもほとんど同時にだ、このアレンジは見事にやられた、色々その場その場の運不運もあるだろうが、実戦では結果が全てだ、お前さんの冒険者としての経験と技量が勝利を呼んだのだ」


「有難う御座います」


「うむ、魔法力の練度も戦闘スキルも私を上回っていると認めよう、後は技だな、確かに爺さんやタダノの言った通りタダノの村には魔法に関する知識がなかったようだな、だが、むしろそれで良かったと私は思うぞ、昔の魔法使い達と違って、どうしても今は技の方ばかりを偏重する傾向がある、それよりも一番重要なのは何よりも魔法力を練ることだ、だがこれは地味で辛く長い時間がかかるので、誰もやりたがらない」


「はい、ヴァルヘルムさんやトゥルリィーンさんも同じことを言っていました」


「そうか、あの二人は確かにまぁまぁマシな方だ、さて・・・タダノよ、お前さんまだ魔法力は残っているか?」


「はい、大丈夫です」


「それなら昼飯前に空中移動の練習をするか」


「お願いします!」


 やった、イフリルの人としての人格面についてはさておき、コレはカッコイイと思っていたのだ。足からジェットのバーナーを吹かして飛ぶなんてロマン過ぎる。


「まぁあれだけ強力な火の玉が撃てるのだから、大して難しいことではない、ただ火加減と指向性を調整するだけだ、まずは初歩的な練習方法を教える、地面に立って足の裏から火の玉を放出するのだ、最初はなるべく火力を弱くだ」


 イフリルがやってみせるとポンッという小さな爆発音がしてほんの数センチ程度だけ身体が浮かび上がった。


「最初から浮かび上がらなくていい、足の裏から火の玉を出すことに集中するのだ、いいか、火力は弱めるんだぞ、足の裏から地面に向けて火の玉を放出することにのみ集中するんだ、もう一度言うが絶対に火加減を強くするなよ、弱火だぞ弱火」


「弱火ですね、弱火、分かりました、足の裏・・・足の裏から地面に向けて火の玉・・・」


・・・ポフッ


「それだ!それでいい!最初は威力はなくていい、それが出来ることが一番重要なのだ」


・・・ポフッ、ポフッ、ポフッ


「おお!いいぞ!タダノ!お前センスあるな!」


ポフッ、ポフッ、ポフッ、ポフッ、ポフッ


 これは面白い、足の力は全く使ってないのに、なんか圧縮空気で下から身体が持ち上げられているようだ。


「いいぞ、この魔法で何が一番危険かって、力加減を誤って空高く飛んだ後に、減速して着地することが出来ずに地上に激突して死ぬのがヤバイんだ」


「確かにそれはイヤですね・・・」


「だから最初は高さとか飛距離とかは一切考えずに火加減と指向性、要は火を向ける方向だな、これだけに集中することが肝心なんだ、先々代の名人がこの技を発明したとき、大勢の魔法使いが墜落死したり、近くにいた人間を燃やしたりして、しばらく使用禁止になったと記録に残されている」


「・・・」


 私は完全に自分の考えが間違っていたことを痛感した。昨日の夜までは魔法の町はどこか研究学園都市のような知性を重んじる平和な町だとばかり思い込んでいた。まさか始まりの町以上に危険極まりない修羅の町だったとは思いもよらなかった。


「次は火加減を少しづつ強めてみるんだ、本当に少しでいい、自分でしっかり火力を制御することが一番大事なんだ」


「分かりました、やってみます」


 なんだかここまでの会話だけを聞いていると、まるでコンロの火加減を教わる料理人の師弟関係の会話のようだ。


・・・ヴォフッ

 ちょっと強いか?


・・・ボフッ

 こんな感じか?


ボフッ、ボフッ


「そうそう、いいぞ、なかなかうまいじゃないか」


ボフッ、ボフッ、ボフッ


「徐々に強めていっても大丈夫だろう、飛び過ぎないようにな、自分の身長の倍以上は飛ぶなよ」


「分かりました」


・・・ヴォフッ!・・・ヴォウッ!ヴォウッ!

 今ので50センチは飛んだだろうか、これは実に面白い、ファイヤーボールにこんな使い方があったとは。


「よしよし、今度はその位置で停止出来るかやってみろ、なるべく高度は変えずにだ」


「やってみます」


 そうしてようやくちゃんとした指導らしい指導を受けて上空1メートルの位置でのホバリングまでマスターしたところで、昼休み休憩にすることにした。威力は弱いが断続的にファイヤーボールを撃ち続けたのでかなり腹が減った。


「うまいマナ料理を食わせる飯屋があるからそこへ行こう、人気の店で混むから早めに行くのがいいんだ、アタイは大体いつもその店で朝昼兼用の飯を食べてる」


「マナ料理ですか?」


「そうだ、魔法力の回復に効果のある食材を使った料理だ、普通の飯よりも遥かに魔法力が回復する」


「そんなのがあるんですね!楽しみです!」


「ああ、それから飯の後はお前さん、ブーツのソールを頑丈なものに取り替えてもらいに行かないとな、火の移動は便利だが定期的にソールを取り替えるか、何かしら強化する対策をとらないとならないのが面倒なのだ」


「あっ!」

 私はあわててブーツの裏を見てみると同時に「情報」で確認した。


-------------------

ブーツ(希少)

防御力:3

素早さ:5

耐久性:4

損耗率:26%

-------------------


 本当だ、結構損耗している。これはイフリルの言った通りより強いソールに取り替えてもらおう。


「良い店を知っている、飯を食ったらそこに行こう、アタイも丁度良いから取り替えてもらおう」


 そうして昼にはまだ結構時間があるが、イフリルに連れられて美味しいマナ料理とやらが出る人気の飯屋へと向かった。


 朝よりも人の数が多く、ローブを着て杖を持った人や帽子を被った人も多く見かけるようになり、こちらを見て頭を下げて挨拶をしてくる人もいた。


 その人達を見ている分にはとても穏やかそうな感じで戦闘的な人など全くいないように感じた。


 やはりイフリルだけが異質なのだ、そうであって欲しい、どうかそうでありますように。


 そんな風に祈っていたところ、突然道行く前にある建物から数人の男達が逃げるように現れ、大声を張り上げながら建物から走ってきた。


「逃げろ!危ないぞ!爆発する!!」


ドガァァァン!!


 逃げる間もなく爆風で後ろに吹き飛ばされた。


 どうしてそうなる。

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