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茹で上がる流線形

作者: ベアりんぐ

普段別の場所で色々書いてます。これを読んだ方は是非アルファのポリスの方で同じ名前を検索してみてくだちい。

 私は今、白い花嫁を目の前にしている。


 太陽と同じように丸い黄身をはらんで、その純白のベールで私を魅力する。そして今から私は、その君を温め確かなものにするのだ。


 初恋にも似たその感情。ドキドキ感と切なさが同時に襲ってきてその大波に攫われてしまうような。気づけば私は沸騰した水に大地の恵とも言える純白な粒をかける。そして不確かな内心の花嫁を、熱水の布団に寝かせた。いや、押し倒したと言っても過言ではない。


 そう言えば土星の扁平率をご存知だろうか?実は土星の扁平率から形を推察すると、まるで卵のような形になるのである。つまり卵は宇宙的神秘の形なのである。そこに艶やかで魅惑的なものを見るのである。


 茹で上がるまで10分という時間がある。この時間はラブレターの返事を待つような時間だと思ってもらって構わない。ドキドキ、ワクワク。






 残り5分。ああ、待ち遠しい。向こうからの返事はまだだろうか。こんな気持ちになるのはきっと沸騰した水から出る水蒸気のせいだろう。






 3、2、1……ピーーー。


 来た!


 タイマーが鐘を鳴らす。その音に共鳴して私の心臓もドクンと跳ねる。


 鍋から沸騰した水を流し、ゆでたまごを水で冷やす。


 ここからまた待ち。いつまで待たせるんだ。もう待ちきれないのだコッチは。







 ついに、ベールを上げるときが来た。私の心の式場のボルテージは最高潮だ。ちなみに、ラブレターの返事はOKである。成功だ。


 ベールを上げ、ついに素肌のご対面である。私は刹那、この世の真理を見た。


 美しき流線形。宇宙的神秘を持つその形。

 艶やかな肌は私を写し出す。

 気づけばもう、その姿に虜になっていた。


 今回は複数個で茹で上げたため、まず一つは鑑賞用として取っておく。このキュートでセクシーな外見が堪らない。


 そしてもう一つ。これは今からさらに衣を脱がせ、本当の君を拝むためである。


 包丁を手に取り、一気に入れた。


 真っ二つに割ってみる。するとどうだろう。綺麗に黄金色になっているではないか。外見の艶やかさとは裏腹に、中にはキュートさが隠れていたなんて!


 やはり黄身は私の太陽だ。その色もその形も。


 おっと、外見や中身がセクシーでキュートなこともあるが、一番はそのお味。勿論、一口で平らげる。


 良く咀嚼し、食べる。この時喉を詰まらせないよう気をつけてくれ。結構粘着質なんだよ彼女は。まあそこがまた可愛い点なのかもな。


 きちんと堪能し、完食だ。


 結論から言うと、やっぱりゆでたまごってのはセクシーなんだろうな。艶やかさ、明るさ、粘着質。全て兼ね備えているのだから、もはやセクシーでは収まらないのだろう。


 これからも愛してるぜ、ゆでたまご。


 

前書きと同じ感じです。どうぞよろしく〜

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