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ジンの妖力は残っているのか?

 記憶を失ったジンに聞いてみる。


「ジン君、あやかしって信じる派?」

「妖怪とか幽霊とか?」

 ジンは不思議そうな顔をして聞き返す。


「どうかな、いるのかどうかわからないけど……」

 本人はつくもがみだった記憶がないようだ。正しくは、夜神によって記憶を塗り替えられたのかもしれない。マインドコントロールというやつだろうか?


「ここにいる女の人、見えるよね?」

 ジンに問いかけた。


「そういえばよく見かけるけど、君、制服が違うよね」

 私はジンに説明した。


「この人は、トイレの華絵さん。あやかしだよ」

「まさか、普通の人間でしょ?」

 ちょっと戸惑ったジンがあわてている。本当に人間だと思っているようだ。


 ――ということは、あやかしが見えなくなったわけではなく、記憶をコントロールされているだけなのだろう。人間として見えるようにしてもらっただけで、特殊能力はまだあるはずだ。


 これは、ジンに一度かまをかけてみようと言った妖牙の提案だ。人間になって能力がなくなっているのか、あやかしが見えなくなっているのか、華絵さんで実験してみようと言ったのだ。


「こちらのアイドル系女子も見えるよね?」

「いつもこの男のそばにいる女子だろ」

「タイジくんの恋人の優菜です」

 気をよくした優菜が自己紹介を始めた。


「違う、こいつはただの幽霊だ」

 妖牙が思いっきり否定した。


「え……? ユーレイ? そんな馬鹿な」

 ジンは本当に目を大きくして驚いていた。むしろ腰を抜かすのではないかというくらい。それくらい、あやかしを信じてはいないということだ。それは、思い込みということだ。自分は人間だと思い込んでいるのだ。自分が本当に人間だと証明できる人、いるだろうか? 明日幽霊になっていても気づいていない可能性ってこともあるということだ。


「私たちあやかし相談所を開設したんだ、ホームページも作ったの。よかったらジン君もメンバーになってよ」

「でも、俺はそういう面倒なことに関わりたくないし」


 そういう性格は昔と変わらずだ。ちょっとひねくれているというか、人とまっすぐ交わろうとしない。でも、ジンが心配だった。何かあったら助けたい、そういう思いから誘ってみることにした。提案者は妖牙君だ。ああ見えて、一番気配りができる。


 元放課後授業を一緒にやった仲だ。

「顧問は城山先生にお願いしているから、入って」

「城山……?」

 彼の中に想い出が少しよみがえったのだろうか?


「理科の実験……」

 少し考えて頭をおさえた。

 何か思い出したいけれど思い出せない。ジンは辛そうに頭を抱えながら、髪の毛をぐしゃぐしゃにして考え込んだ。思い出しそうなのに思い出せない。のどの近くまで来ているのに、出せない思いが彼のどこかに残っているのかもしれない。


「決定な」

 あっさりジンをメンバーにした妖牙君。彼はやっぱり人情にあつい。

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