女性が三人集まれば…③
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「……押しが弱すぎるわね」
回想するようにレナがぽつりぽつりと白状すると、ユリアーナが面白くなさそうな顔をした。
フローラもつまらなそうに口を尖らせる。
「前から思っていたけど、クラウス様って紳士とヘタレを足して割ったような人よね。そこはもっとぐいぐい行ってほしかったわ」
「…………」
レナは真っ赤になって俯いた。
既婚者の熱はすごいと思う。こういう話を照れもせずに平然として、なおかつ文句まで言っているのだから。
ユリアーナがぬるくなった紅茶を飲み干して、ベルで侍女を呼びつける。
侍女が新しい紅茶を用意して下がると、頬に手をあてつつ続けた。
「純愛って感じがして微笑ましいけれど、それが許されるのは十代までよねぇ」
「あら、お義父様と純愛を経験されたんですか、お義母様」
ユリアーナは十六歳の時にエルネストと結婚している。ちなみにユリアーナとエルネストは同じ年だ。
ユリアーナは昔を思い出すような顔をしたあとで、微妙な表情になった。
「どうかしら。純愛……うーん、そんな春の日差しのような柔らかい時代はあったかしらねぇ。なかった気がするわねぇ。フローラは?」
「わたくしも、特に思い出せませんわね」
うふふ、と見つめ合う義母と義娘の顔が若干怖い。どうしてだろう、レナはエルネストとクラレンスに「頑張って」と声援を送りたくなった。その正体はわからないが、笑顔の奥に黒いオーラが揺らめいている気がする。
「まあ、初日はそれでいいとしても、一週間も一緒にいたんでしょ? ほかにないの? うふふな展開は」
フローラがマカロンを口に入れつつ、レナからさらに情報を引き出そうと悪い笑みを浮かべた。
レナは思わず身構えてしまったが、フローラとユリアーナの二人の追求からは逃げられる気がしない。
「そ、そのあとは……」
「「そのあとは?」」
楽しそうな二人の声が重なる。
クラウスと結婚したらこのようなことが常態になるのだろうかと、レナはがっくりと肩を落としながら、回想を続けた。
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