青い鳥の絵 7
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クラウスは激怒していた。
報告を聞き終わるや否や、書きかけの書類を放り出して、部屋から飛び出して行く。
向かう先は、国王の執務室だ。
「陛下以外、全員部屋から出て行け!」
部屋の扉を乱暴に開け放ち怒鳴ると、中にいたジョージル三世の側近たちが悲鳴を上げて飛び上がり、慌ただしく部屋の外へ駆け出して行った。
執務机に座っていたジョージル三世も瞠目して固まっている。
クラウスはずんずんと執務机まで歩いて行くと、その上にバン! 両手をついた。
「リシャールから強引に絵を取り上げたそうですね」
「り、リシャールではない。お前があの子につけた教師の絵だ」
「同じことです。リシャールは駄目だと言ったのでしょう? それをジョルジュのために強引に取り上げた。あってますね?」
「う……」
氷のように冷ややかな碧眼で睨みつけると、ジョージル三世がおろおろと視線を彷徨わせる。
「あなたも、王妃も、息子を甘やかしすぎだと何度言えばわかるんだ‼」
「ひ!」
「机の下に隠れるな!」
飛び上がって反射的に机の下に入り込もうとしたジョージル三世の首根っこを、クラウスは容赦なくつかみ上げる。
「お、落ち着け……お前は、怒っているときは本当に父上に似ているんだ……怖いから、頼むから落ち着いてくれ」
「そう思うなら私を怒らせなければいいだけの話だ!」
「ひい!」
「なかなかできなかった子供だから可愛い? 知るかそんなこと! リシャールだって十歳だぞ! それなのに国王や王妃が寄ってたかって押しかけて強引にあの子の大切なものを奪い取ろうなどと、恥ずかしくないのか‼」
「わ、わ、悪かったとは、思っている……。だが……」
「だが⁉」
「ぅ……、き、妃が、どうしてもと言うし……」
「だから?」
「お、お前は妻帯していないからわからないだろうが、夫婦円満の秘訣は、妻に逆らわないことだ……」
「馬鹿なのか⁉」
「ひい!」
「妻や子の我儘を何でも聞いているのが夫婦円満の秘訣⁉ そんな夫婦なら、離婚してしまえ‼」
クラウスはジョージル三世の首の後ろをつかみ上げていた手を放し、襟をつかんで強引に引き寄せる。
「それで? その絵は今どこに?」
「そ、それなら……確か、ジョルジュがアンリエッタに届けたはず……」
「ちっ!」
クラウスは舌打ちして、ジョージル三世をつかみ上げていた手を乱暴に話すと、くるりと踵を返した。
「ど、どこへ行くんだ……?」
クラウスは扉の前で肩越しに振り返った。
「決まっているだろう! ソルフェーシア伯爵家だ!」
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