表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】憧れの冷徹王弟に溺愛されています  作者: 狭山ひびき
冷徹王弟殿下の素顔

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/36

青い鳥の絵 4

お気に入り登録、評価などありがとうございます!

「リシャールはレナの前だと自然と笑うな」


 書類を読みながらぽつりとこぼせば、決裁済みの書類を片付けていた側近がクラウスのつぶやきを拾って顔をあげた。


「すっかり仲良くなられたようですね。今度美術館へ一緒に行くお約束をされたとか」

「ああ……。私はリシャールを部屋から連れ出すだけで一苦労なのに、彼女は驚くほどあっさりあの子を外出させることができるようだ」


 もちろん二人だけで外出させるわけにはいかないので、クラウスもついて行くつもりでいる。しかし何というか、リシャールとレナの間には二人だけの独特の世界があるように見えて、なぜかクラウスは疎外感を感じてしまうのだ。


「クラレンスが見たらやきもちを焼きそうだな」

「おや、閣下もでは?」

「……そうだな」


 クラウスやクラレンスが必死になってリシャールとの距離を縮めようとしているのに対して、レナは僅か半月でその偉業を成し遂げてしまった。


(いや、会ったその日からかもしれないな……)


 どうしてだろう。何が違う。クラウスはこんなにも弟のことを心配しているのに、弟が心を許したのは実の兄ではなく他人の伯爵令嬢だ。


「……リシャールはああいう女性が好きなのだろうか」

「はい?」


 側近が驚いたように振り返ったが、クラウスは真剣な顔で顎に手を当てた。


「十二歳差か……だが、リシャールにはあのくらいの女性がいいかもしれない」

「か、閣下? 落ち着いて下さい。リシャール殿下はまだ十歳ですよ」

「十年たてば二十歳だ。今から決めておいても早すぎることはないだろう」

「……ええ………?」

「私はリシャールには幸せになってほしい」

「いや、そうは言いましても……いくらなんでも十歳の殿下に二十二歳の女性は……」

「年齢差は問題ではない。リシャールが心を開けるかどうかが問題だ」


 クラウスがきっぱりと言い切ると、側近は何か言いたそうな顔で黙り込んでしまった。


「そうと決まれば、レナ・クレイモランのことをもう少し調べた方がいいな。大丈夫だとは思うが、念のためだ」

「閣下……もう少し冷静にお考えになった方が……」

「私は冷静だ。だから調べると言っている」

「そう言う意味では……」


 クラウスはサインをした書類を側近に渡しつつ、真面目な顔でこう言った。


「調べてくれ」

「…………ご命令なら従いますが、あとでどうなっても知りませんよ……?」


 側近ははあ、と息を吐きだしたが、リシャールのことしか頭にないクラウスは。彼が何を不安に思っているのかさっぱりわからなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ