表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/75

第七十二話

「繰原君、どうだいボクの新しい体は?」




 数段も低くなった声で鳳凰院は言った。


 口が無いその体のどこから声を出しているのかは分からない。




「醜いな。その体じゃ誰も前みたいに慕ってくれないんじゃないか?」


「はっ、慕われるのは手段であって目的じゃないさ。この身体も手段の一つ。繰原君を倒して、神を言いなりにさせるためのな!」




 そう言って、鳳凰院は俺のいる方へ跳躍してきた。身体が重たいせいか動きは遅い。




「私たちは自分で自分を守れるから気にしないで存分に戦ってねっ。神をやめるつもりの私と違って、他の神は私みたいに誰かに強力な「守り」を授けたりできない。頼れるのは君たちだけだっ。頼んだよっ」




 タルマハジャ神は俺の肩を叩くとバリアを張った。こいつは俺たちが止めるしかない。




「やりましょう、クリハラ」


「ああ」




 ココはいつもみたいに怯えてはいなかった。




「多分ですけど、クリハラが一度壊した主のコアが弱点になっているんじゃないかと思うです」




 ココは小声で俺に耳打ちをした。




「なるほど」




 俺は巨大な緑色の魔石を思い出した。




「だから私が邪魔な魔石をテレポートさせます。そこで露出したコアをクリハラが破壊してください」


「わかった」




「何をコソコソ話しているのか知らないが、このボクに勝てるはずがないだろう! ——効果を表せ!」




 鳳凰院が咆哮を上げると、身体の各所からビームが飛び出してきた。それが俺たちのいる方向に集中して飛んでくる。




(コル、守ってくれ!)




 俺とココの周りにバリアが展開される。


 すぐに突破されそうだ。


 あの数の魔石から発せられるビームだ。とんでもない威力だ。仮に鳳凰院のスキルが封じられていたとしても、あの身体を持っていたら脅威であることに変わりはない。悔しいが、鳳凰院の言った通り、スキルが無効化されてもあいつの有利は変わらないみたいだ。


 魔石は変わらず飛んできて、鳳凰院の身体に吸収されている。早く決着をつけなければ鳳凰院はどんどん力をつけていく。




(耐久力を上げれないか?)


(防御できる確率は落ちるがやってみよう)




 バリアが小さくなり、それが高速移動してビームに対応していた。


 守れる面積を小さくする代わりに耐久力を上げたのだろう。


 このままじゃ俺たちは動けない。




「私にコアを破壊する力はありません。道だけでも切り開きます。大丈夫です。私のスキルならこの光線を避けられますよ」




 ココは自分に言い聞かせるようにそう言うと、バリアが守ってくれている場所の外に飛び出した。




「ちょっと待ってくれ! 危険すぎる!」




 今までにないような、頼もしい笑顔をココは振り向きざまに俺に見せた。




「任せてください——瞬間移動テレポート」




 言った通りに瞬間移動を繰り返して、ビームを避けているみたいだ。今までのココなら考えられない離れ業だ。タルマハジャ神の守りが付与されたことで可能になったのだろう。


 そしてついに鳳凰院の胸にとりついた。




 ココが触れた魔石が消えていく。どこかに瞬間移動させているのだろう。




「そのスキルは一度見た。対策済みに決まっているじゃないか」




 鳳凰院がにやりと笑ったような気がした。




「気をつけろココ! 何かしてくるぞ!」


「え?」




 突如として巨大なドラゴンが空中に現れ、ココを翼で殴った。




 ココは飛ばされていく。




——これは主の力か。この力はスキルじゃないから俺のスキルで対抗できない。




 俺はスライディングでココの身体を受け止める。急に動いたせいでバリアが追い付かず、俺の身体をビームが焼いた。




「くっ」




 俺のレベルがもう少し低ければ体を貫かれていただろう。普通の生き物は蒸発するに違いない。


 バリアが俺に追いついた。




「ココ、大丈夫か?」


「うっ……大丈夫です」


「ヒール」




 ココの身体が緑色の光に包まれる。




「一人で戦うのは無茶だ。二人で瞬間移動して、あいつの身体にとりつこう」


「でも、ビームが……」


「大丈夫だ。俺は多少耐えられる」


「わかりました。では、行きますよ」




 視界が目まぐるしく切り替わる。瞬間移動を何度も繰り返しているみたいだ。


 ビームの照準をずらしているのだろう。




 そして、今度は二人で鳳凰院胸辺りにたどり着いた。


 魔石の凹凸にしがみつく。




「無駄だと言っているだろう!」




 ドラゴンが俺たちをめがけて飛んでくる。


 ドラゴンは翼を俺たちに振りかざしてくる。すさまじい風圧だが、何とか手に力を込めて耐える。


 俺は迫ってくる翼に飛びついた。バリアはココのいる場所に残しておく。


 バランスを崩したドラゴンは空中で何度か回転した。


 俺は体勢を立て直して翼の上を走って、剣を抜く。そしてドラゴンの首を両断した。


 その間に何度もビームが俺の身体を直撃したが気合で耐える。




「なんだと! ドラゴンのレベルは200を超えるんだぞ!」


「俺のレベルは999だ。大抵のモンスターは勝てないさ」


「ちっ」




 俺は落下しながら鳳凰院を煽る。




「クリハラ! これがコアです! 私のスキルと筋力じゃ壊せません!」




 ココが魔石をテレポートさせて空いた鳳凰院の胸の穴にはひび割れた大きめの、緑の魔石があった。




 俺は着地して、その勢いを殺すように跳躍した。一気に鳳凰院の胸のあたりに到達して、魔石にしがみつくことができた。レベルが上がったことで筋力も飛躍的に上昇したんだ。


 今なら道具が無くても、コアを破壊することが可能なはずだ。


 


 俺は拳を振り上げる。




 この正しくない男はここで終わらせる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ