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第二十七話

「ココ、全員を安全な場所にテレポートさせれないか?」


「定員オーバーです! ですが空中浮遊の魔法を使えば……使えます?」


「わからんが、やってみる!」


 


 主の上に乗り続けていれば、全員落下して終わりだ。


 サシャと父はすでに魔法で空をとんでいるみたいだ。空中をふわふわと漂っているだけで、高速移動できるわけではなさそうだ。


 今更、呼び戻すわけにもいかない。




「二人ならできそうか?」


「ええ、できます。が、これ以上は期待しないでください。体力の限界です」




 ココが俺に手を触れると、俺たちは広場の主から離れた位置に瞬間移動した。


 下から見ると主は威容だった。


 優に十メートルを超える灰色の脚が四本生えており、それが大きな岩の塊に接続している。足や岩には魔石が大量に埋め込まれている。




「魔石が集まりすぎると、一つの大きな魔物に進化することがあると聞きましたが、初めて見ました」


「これが、世界が循環する前から存在する「魔物」か。生き物とは思えないな」


「生き物じゃないですからね。意思のある「なにか」です。アサヒナは勝てないでしょうね。そもそも魔物には燃える生命エネルギーがありませんから」




 生命エネルギーがいないなら、俺のスキルも同様に機能しないということだ。


 どうする。




「ぐおおおああああ!」




 朝比奈が吹き飛ばされていった。




 (やはり、人間など生み出されるべきではななかったのだ。欲にまみれ、吾輩を手に入れようとする傲慢さはあれど、それほどの力もない。まとめて消してやろう)




 俺たちを意に介していないかのように村の方へ進み始めた。


 


「どうすれば、こいつを止められるんだ?」


「魔物の中心になっている魔石を壊すことができれば止まるかもしれません。ただ、どれが中心なのかはわかりません」




(相棒、我ならわかるぞ。同じ魔石故にな)


(そうか、なら教えてくれ。異世界の知識が欲しいか?)


(今回は魔法を使うわけではないからチャラにしておこう)




「俺の魔石が中心の魔石がどれかわかるらしい。それを壊してくる」


「クリハラの魔石っていったい……ジャンク品にそんな高度なことができるとは思いませんが、わかりました」




 ココは信じてくれたが、俺自体がコルハジャを信頼していない所がある。本当に中心の魔石が分かるのか?




(わかるぞ! 壊してみればわかるだろうが! 右の方にある大きいくぼみはわかるか?)




 巨体の腹に大き目のくぼみがある。




(ああ、わかるぞ)


(よし、その中心に赤くて大きな魔石があるだろう。それが中心だ)




 一際大きく、カットされたダイヤのように輝いている赤い魔石が見えた。あれか。脚を登ってたどり着いて、叩けば壊れるか?




「ココ、村のほうまで行って皆に主が暴れていることを伝えてきてくれるか?」


「わかりましたが……絶対生きていてくださいね、じゃないと私……」


「なんだ?」




 ココはすがるような目つきで俺の胸辺りに視線を落としている。




「いいえ、気にしないでください。とりあえず死なないでください」


「もちろんだ」




 よくわからないが、死ぬ気はもちろんない。


 主の大きな足が踏み下ろされるたびに広場が揺れて、走りずらいが、くぼみに近い、動物でいう右後ろ脚を目標にして進んでいく。


 すると、地面から、急にカニの鋏のようなものが飛び出してきた。それに続いて、黒い物体もはい出てくる。


 


「ウホオオオオオ!」




 両手がカニの鋏はさみになったゴリラだ。


 名前は――ゴリクラブとかか?


 主は生物を治めているんじゃなくて、生み出せるのか?


 考えている間にもゴリクラブは地面から湧いて出てくる。


 攻撃力の高そうなやつらばかりだな。鋏で挟まれたら、身体が真っ二つにちぎれるかもしれない。


 


 鋏はさみが素早く俺にめがけて振り下ろされていく。何とか避けたが、鋏はさみがかすった肩から出血している。


 スキルを使わないとやられるのは時間の問題だ。


 俺はゴリクラブの鋏に触れて、スキルを発動させる。身体に力がみなぎってきた。


 そのまま鋏をたたき割って、2、3発殴る。


 ダメージは与えれていそうだったが、まだ倒れないので、顔面に蹴りをお見舞いした。それでやっと倒れた。


 同じことを繰り返す。これは得意分野だ。倒している間にもレベルが上がっているのか、倒すのにてこずらなくなっていった。




 ゴリクラブの大群を倒し切って、主の右後ろ脚にとりついた。腕の筋力には自信がある。凸凹に足を引っかけて登っていく。すぐにでも中心の魔石にたどり着けそうだ。




「うおっ!」




 半分を過ぎたころ、足を引っ張られた。誰かが続いて登ってくるはずもない。


 下を確認すると、植物のツタが足にまとわりついていた。


 植物型のモンスターか。



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