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第二十二話

「そろそろ、ケルシャ山に向かった方が良いと思いますー、間に合わなくなりますからねー」




 アルルさんは「何に」間に合わないのかは言わない。仕事熱心なだけに、職業の本分から外れたことをしたくないのだろう。それだけに今回は例外で、朝比奈のことはさすがに見逃せないということだろう。




「わかりました。ココ、俺は行くけど、どうする? 疲れてたら休んでてもいいぞ」


「流石に疲れていますが、サシャ達をたすけたい気持ちは私も同じです。それに、報酬を貰うために、彼らよりも早く行かなければなりませんからね。私のスキルが使えるはずです」




 テレポートを使えば早く到着できる。




「なんでさっきは使わなかったんだ?」




 俺は疑問を口にする。




「一度行ったことがないと、使えないのですよ。それに、生命エネルギーを消費しますから、ここぞという時じゃないと使いたくないのです」




 ケルシャ山には一度行ったから、テレポートが出来るようになったし、今回は生命エネルギーを消費してでも早く到着したいからスキルを使うというわけか。




「頼めるか? 戦う時は危険だから隠れといてくれよ」


「もちろんです。私のレベルを抜かしたからって、みくびらないでください」




 ココは寂しそうに笑った。




「わかった。二人であいつを倒そう」


「そうしましょう。では報酬は一割増しでお願いします」




 なんでだよ、と言いそうになったが、俺は別に力が欲しいだけで、金は必要ない。金に執着するやつはあまり好きになれないが、ココにはなぜか嫌悪感がない。


 金に目が眩んだからといって、大切なものをおろそかにしないような雰囲気を感じるからかもしれない。あいつらとは違う。




「わかったよ」




「ではー、今から行かれるのでしたらー、また村長に場所を聞いてみてくださいねー。気をつけてくださいー。頼みましたよ」




 アルルさんの最後の一言は間伸びしていなかった。




 ココは俺を異世界に案内したときのように、指で空間をなぞって穴を開けていく。穴の中には見覚えのあるのどかな田舎模様が広がっている。


 俺たちは、村人にもらった農作物などの荷物をアルルさんに預けて、穴に飛び込んだ。




「また、戻ってきたな」


「当たり前ですが、変わってませんね」




 太陽光が直に当たって、少し汗ばむ。この世界に季節があるのかわからないが、制服以外の服も調達しないとな。




 ケルシャ山を見上げる。麓には木が生い茂っているが、中伏からは灰色の岩肌を晒している。あの頂上付近に遺跡があるのだろうか?




「まさかあの山に登らされたりしませんでしょうね?」


「何か問題でもあるのか?」




 歩けばいずれ頂上には着く。




「問題しかないですよ」


「なんだ? はっきり言ってくれよ」


「これがわからないのが、クリハラが強い所以だとは思いますけど、もうちょっと一般人に配慮して欲しいものですね」




 俺はいわゆる天才ではなく、一般人だと思うが、言いたいことがわからない。人の気持ちを考えろとよく言われたものだが、やっぱり難しいな。




「もういいですよ! 村長の家まで行きましょう」




 村に入ると、村人達が、不思議そうに俺たちを見ていた。挨拶はされるが、戸惑いながらだった。そりゃそうだろう、ギルドに帰ったはずの俺たちがなぜか戻ってきているのだから。




 ココが村長宅の玄関前に吊るされた魔石に触れる。




「……効果を現せ」




 甲高い音が響く。


 1分も経たずにメイドのルイさんが、出てきてくれた。




「クリハラ様、ココ様、どうなされましたか? 何か問題でもありましたか?」




 シープローチの件で俺たちがまた訪ねてきたと思っているのだろう。




「いえ、別件でまたきました。ちょっと聞きたいことがあるだけなので」


「承知いたしました、どうぞ」




 俺たちは応接室に入って、村長の対面にあるソファに腰掛けた。




「どうしたんじゃ? まだ、シープローチが?」


「いえ、ケルシャ山の遺跡の場所を聞きたくて来たんです。別の依頼で、調査に行かなくてはならなくて」


「ほう! 調査の依頼が来るということは、主が目覚めたんかのう!」




 村長は顔を皺くちゃにして、笑った。




「それはわからないんですけど、もしかしたら」




 そう言った方が、気をよくして話してくれるだろう。




「そりゃええわい。あそこの主は我々を守って下さってるみたいじゃからな。……そうじゃな、グルードに案内をしてもらおうか」




 グルードは俺たちが最初に話したケルシャ村の村民だ。良い声をしたガタイのいいナイスガイだ。




「グルードさんは仕事があるんじゃ?」


「いや、今日グルードは遺跡に供物を持っていくことになっていたはずじゃからの」


「それなら、よろしくお願いします」


「君たちの頼みなら、いくらでも聞くからの。ルイ、グルードを呼んできてくれないか?」


「かしこまりました」




 だからグルードさんに案内をさせようとしているのか。村とその遺跡は密接に関わっているらしい。


 


 この村が大切にしている遺跡を朝比奈に荒らされるわけにはいかない。

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