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姉の代わりにVTuber  作者: 下田 暗
第十五章 波乱 ハムスターランド
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姉の代わりにVtuber 223


「――ねぇハル、結局組み分け天ケあまがせ君とじゃないし。

愛葉あいばさんに乗り物の固定とか、決められちゃってたけど、あれで良かったの??」


早速、ファストパスを取る為に、二人一組に分かれた瑠衣るいは、少し強引に春奈はるなとペアを組み、つい先程の出来事に関して、春奈に尋ねた。


「まぁ、しょ、しょうがないよね……。

元々、愛葉さんと穂高ほだか君二人で、この遊園地回る予定だったわけだし……。

瑠衣から話聞いて、今日まで色々と計画練ってきたけど、優先はあっちだよ。

偶然を装って合流して、今後、一緒に回ってくれるってなっただけ御の字だ。

穂高君だって、愛葉さんの意見を尊重すると思う」


春奈は自信なさげな様子で話し、春奈の声色から、容易に不安を感じ取れた。


「た、確かに最低限達成しなきゃならなかった、第一目標を達成できた事は喜ばしいけど……。

――こんなの春奈の方が不利過ぎるよ」


春奈に肩入れする瑠衣は当然、まだまだ現状に納得がいっておらず、今後も隙あらば、穂高と春奈、二人っきりにさせようと、そんな事ばかりを考えていた。


「まぁ、これ以上を望んでも仕方ないよ? 瑠衣。

――それよりも、他の皆は大丈夫かな??」


真剣に考える瑠衣に対して、春奈は半ば現実逃避気味に、話を逸らす。


「大丈夫じゃない??

俊也しゅんやは、春奈と一緒に回りたがってたけど、結局今は、友達の梨沙りさと回ってるでしょ?

松本まつもと君は、あんまり接点無い人が多いのかもしれないけど、今一緒に回ってるのは、あきらだから。

彰と天ケ瀬君と松本君って、昔からの友達みたいだし……」


瑠衣は、二人組を分けた時の事を思い浮かべながら、春奈にそう話した。


大貫おおぬきは、春奈に好意を寄せている事もあり、当然の様に、今回の遊園地でも、春奈となるべく関わろうとしていたが、瑠衣は今後の作戦会議もある為、春奈と話したい事が山ほどあり、半ば強引に、春奈と二人でファストパスを取りに行く事を決めていた。


そして、瑠衣との勝負敗れた大貫は、仲の良い彰に声を掛けるも、回りの空気をよく読む彰は、武志を気遣い、結果、他の仲の良い菊池きくちと回る事になった。


「ねぇ、瑠衣。

私と瑠衣が遊園地に来るのは分かるけど、どうして俊也とか彰とかも呼んだの?」


「え? いやぁ~~、流石にハルと二人きりじゃ、愛葉さんに警戒されるなって……。

絶対、同行を許してくれないし、だったら、男性陣も誘ってなるべく警戒されないようにって。

見ようによっては、4ペア男女のデート? みたいな??

――私と春奈、俊也、彰の四人でも良かったんだけど……、俊也を呼ぶと、それはそれでややこしい事になるからなぁ~~」


春奈の質問に、瑠衣は嘘偽りなく自分の考えを話し、大貫の事に関しては、小声で、少しだけ面倒そうに呟いた。


大貫から直接、告白などをされたわけではない春奈であったが、瑠衣の言わんとする事を若干理解でき、文化祭を機に、薄々と大貫の好意を春奈は感じ取っていた。


「――ね、ねぇ瑠衣。

ずっと気になってて、多分勘違いかもって、ずっと思い込んでいたんだけどさぁ……。

自分で言うのも凄い、恥ずかしいんだけど、俊介って、もしかして…………」


春奈が核心を言いかけた所で、瑠衣は春奈の言葉を遮る。


「えッ!? 気付いてなかったの??

俊也って、一年くらい前から……、いや、これ以上は、私から言う事じゃ無いな。

――多分、近いうち……、下手すれば今日、俊也からなんかあるかもね。

いやぁ~~、ヘタレ過ぎだね、アイツは……」


春奈がそこまで確信めいていなかった事に、瑠衣は驚いた後、鈍感な春奈を責める事は無く、いつまでも行動に移さない、大貫の方の愚痴を呟いた。


好意を向けられ慣れている春奈は、この手の話に、そこまで強く羞恥心を感じる事は無かったが、大貫は身近な関係であった為、いつもよりかは恥ずかしく感じた。


「仲良いグループで、付き合いも長くなってきて、今更ギクシャク……。

勘弁して欲しいよ、俊也……」


 ◇ ◇ ◇ ◇


ハムスターランド一角 トゥーンワールドエリア。


二人一組に分かれた、楠木くすのき あきら松本まつもと 武志たけしは、トゥーンワールドエリアへと訪れていた。


「――はぁ~~、折角のハムスターランド……。

なんで、野郎と二人で……」


トゥーンワールドエリアに来て以降、武志の愚痴は止まらず、彰はそんな武志の愚痴に、苦笑いを浮かべていた。


「野郎二人って……。

武志、今日みんなと会って以降、上がりっぱなしじゃん。

女の子と二人、梨沙とか瑠衣とかと二人っきりになって、平常でいられるの??

俺は、少しでも落ち着くように、フォローしてあげたんだよ?」


彰は武志の愚痴に嫌な顔せず、それでも言いたい事はしっかりと武志に伝えた。


幼い頃からの友人である為、言葉には遠慮なく、武志も、痛い所を付かれたのか、渋い表情を浮かべる。


「いやな? 徐々に落ち着いていくよ! 俺だって!!

初めてじゃないんだから、四条さん達とは……。

た、ただ今日は、イツメン……、穂高とか、瀬川せがわがいないから、様子おかしくなってただけで……」


「様子おかしい自覚あったんだ。

――でも、なら自分でも良かったって思うでしょ? ちょっとハーフタイム挟めて」


「ハーフタイムが長いわ!

メインエリアからトゥーンワールド入るまでの少しの時間で良い。

流石にもう女の子と話したいッ!!」


武志の我儘は止まらず、相手が彰という事もあって、遠慮は無かった。


そして、そんな愚痴も数分で終わり、武志は別の話題を彰に振り出す。


「彰はなんで、今日の集まり来たんだ?」


「え? なんでって……、そりゃ、俊也達は友達だし」


武志の質問に、彰は少し困惑した様子で答え、彰の反応を見て、武志はいつになく、真剣な面持ちで話し出す。


「ホントにそれだけか?

――彰とは、長い付き合いだし、色々と分かんだよなぁ~~、話さなくっても……。

俺もそこまで馬鹿じゃないし」


武志は意味ありげにそう呟いた後、彰を正面に捉えた。


「なぁ……、今日、なんかあるんだろ??

――俺も、浮足立ってたけど、俺から見れば、お前も今日、少し変だぞ?」


武志の突拍子もない発言に、彰は思い当たる節があり、腐れ縁である武志に、それは見抜かれていた。

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