姉の代わりにVTuber 213
88の配信のゲストとして登場した、みっちょんとAQUAだったが、コメント内では、過去の二人を知っている視聴者から、二人の近況について尋ねるコメントが沢山流れた。
配信慣れしている唯が、そのコメントに気付かないわけは無く、みっちょんとAQUAも、元人気配信者という事もあり、コメントで尋ねられている事に気付いた。
「――――凄い、二人の事、知りたがってるけど……、もう二人共、普通の一般人だし、言える事ないよ?
無いでしょ??」
コメントの数から、88はソレに触れないわけにはいかず、ゲストを気遣いながら、二人に反応を促した。
88の口調から、みっちょんとAQUAには、親しみを感じられ、二人は一瞬、苦笑いを浮かべるも、そこまで答えずらい質問でも無かった為、88の卒業配信という事もあり、コメントの質問に答える。
「近況かぁ~~、答えられなくは無いけどね……。
――気になってる人も多いようだし、今何してるかだけは、言おうかッ!」
みっちょんはそう意気込みながら、声を発した後、続けて自分の近況について話し出す。
「私はなぁ~~、今は普通に家庭を持って、主婦してるよ?
双子の娘がいて、毎日子育てに追われtる」
みっちょんは、時々恥ずかしそうにしながらも、声色は明るく、幸せに過ごしている事が、その声からよく伝わった。
みっちょんがお母さんッ!?!?
――お、おめでとう……だけど、すまん、ファンだった俺としては、少しショック…………
みっちょん、子供いるのッ!? 凄い!!
双子ッ!? おめでとうッ!!!
みっちょんのカミングアウトに、コメント欄は様々な反応を見せ、ほとんどの視聴者が驚きと、祝福のコメントを流した。
「――いやぁ~~、まさか、配信止めて数年経って、こんな事を報告する事になるとは…………」
「良いじゃんッ! めでたい話だし?
コメントもほらッ! おめでとうってさ!」
「ハズいからやめれッ」
恥ずかしがるみっちょんに、AQUAは少し揶揄うように、みっちょんに声を掛けた。
そして、ひとしきり弄られたみっちょんは、今度はAQUAに話題を振る。
「ほ、ほらッ! AQUAも近況言いなさいなッ!!
アンタもみんなに言える事あるでしょ? 良いネタあるじゃない」
「ね、ネタって…………。
――近況、近況ねぇ……。
――――な、なんか、いざ言うとなると、凄い恥ずかしいんだけど…………」
みっちょんに促されたAQUAだったが、いざソレを言うとなると、一気に羞恥心が沸き立ち、中々告白する勇気が持てなかった。
「あ、AQUA。
無理しなくてもいいからね?」
恥ずかしがるAQUAに、88は笑いかけながら、そう伝えた。
「いや、大丈夫!
――ヨシッ!
近況で言えば、私は来年の春、結婚します!」
AQUAは、宣言するようにそう告げ、結婚報告を言い慣れていないのか、声は少し裏返り、みっちょん同様に、羞恥心を激しく感じていた。
け、結婚ッ!?
やっぱねぇ~~、女の私は、そんな気がしてたよ~~、話す前の雰囲気からして
す、末永くお幸せにッ!!(号泣
さよなら、僕の初恋
AQUAの発言に、再びみっちょんと同じようなコメントが流れるも、AQUAは異性のファンの割合が、みっちょんよりも大きかった事から、より男性陣の嘆きの声が散見した。
「二人共~~、そんな、無理して発言しなくても良かったのに……」
コメントが盛り上がる中、二人に気を遣わせたと後悔している88は、二人にそう投げかけた。
しかし、88の気遣いとは裏腹に、みっちょんもAQUAもそこまで、無理して体を張った事では無かった。
「大丈夫ッ! 大丈夫!
無理じゃないよ?」
「そうそう、無理してない! ちょっと恥ずかしいだけで……。
むしろ、88の卒業配信なのに、私達の近況話してごめんねぇ~?」
みっちょんとAQUAは、88にそう伝えながら、他にも胸に秘めた思いがあり、それを続けて話し出す。
「――みっちょんも、私も、配信を止めた立場ではあるけど、どこかでこういった事は、発信したいなぁ~~って思ってたんだ……。
かつて配信を見てくれていた視聴者に……。
まさか、88の卒業配信で言う事になるとは、思いもしなかったけどねぇ」
「そうだね!
88のリスナーもありがとうね?
中には、ウチ等を知らない視聴者もいるのに、付き合って貰っちゃって……。
――それと、私達を覚えてくれてた視聴者さん! ありがとうねッ!!
今はもう配信はしてないけど、あの日、あの時の事は、今でも鮮明に覚えてるよッ!」
泣ッ!!
俺も忘れてないよッ!!!
ハッちゃんもこうなるって思うと・・・泣
昔の配信者と視聴者の関係性って、なんか良いよね……
みっちょんとAQUAは、それぞれの思いの丈を、視聴者に伝え、その二人の言葉を聞き届け88は、再び動画の企画に戻り始める。
ゲスト二名を加え、みっちょんとAQUAの事も知らない視聴者もいる為、基本は二人と一緒に、コラボ配信的な物を振り返りつつ、88の過去の配信について、みっちょんとAQUAは、茶々を入れたりしていた、
ゲストが登場し、かれこれ50分程、過ぎると、88は頃合いを見図り、予定していた更なるゲストの紹介を始める。
「――とまぁ、こんな形でデビュー年を過ごした私だけど、ちょっと時間的にもそろそろ、二年、三年目の話をしようか?
このままだと、いつまでもみっちょんとAQUAしか、配信に登場しないし」
ゲストと予想以上に盛り上がっている現状に、88は苦笑いを浮かべつつ、本来の進行通り、次のフェーズに移行する。
「それじゃあ、二年目の振り返りに入る前に、ゲストの紹介しようかッ!?
今度は、ちゃんとやるよ!?
――二年目を一緒に振り返ってくれるのはッ! 当時、かなり一緒に活動していた男性配信者、『てっちん』ですッ!!」
88の勢いある紹介と共に、穂高が昔、配信していたハンドルネームが呼ばれ、いよいよ、穂高の出番となった。




