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姉の代わりにVTuber  作者: 下田 暗
第十四章 代役の終わりと門出
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姉の代わりにVTuber 212


88(ハチハチ)の料理配信に対し、様々なコメントが流れ、流れるコメントの中で、ゆいは一つ引っ掛かるコメントを見つける。


料理配信、面白かったし、またやってほしかったなぁ~~

ハッちゃんって、料理好きだよね? 意外……

――てか、振り返り企画なのに、自分のデビュー配信はスルーなのな?ww


「で、デビュー配信ね……、やっぱり触れる??」


デビュー配信に触れたコメントが一つ出ると、コメント欄では段々と、初配信の時に言及するコメントが増え、88も触れざるを得ない状況になった。


「いや~~、マジで嫌なんだよね~~。

配信慣れてないの見え見えだし……、ちょっと声、違うしさぁ~~」


見ようよッ!!

おい、逃げるな!

俺たちの手料理デジタルタトゥーを晒して、自分のは晒さないつもりかッ!

偶に見返すけど、マジで声違うんだよなぁwww


「デジタルタトゥーじゃないからッ! マジ失礼だね、君ら!

――はぁ~~~、しょうがないなぁ~~。

今から流すけど、これからコメント欄で、声が違うってコメントは禁止ね?」


視聴者達が、初配信を見せろ見せろと盛り上がり始め、88は、ため息交じりに仕方なく、それを了承し、渋々デビュー配信を流し始める。


 「――――こ、こんばんわ~~……、は、初めましてッ

  私は普段、動画で歌い手として活動してます。 88でぇ~~す…………」


88の卒業配信に、彼女のデビュー当時の動画が流れ、当初の88の声はかぼそく、自信の無さげな声に、それを聞いた唯は悶絶した。


「~~~~~~~~ッ!!!」


言葉にならない呻き声をあげる88に対し、視聴者達は大喜びで盛り上がり、コメントも勢いよく流れる。


声違うわwww

声、作ってんだろw わざと

声ちげぇw

最後の消えてしまいそうな声よ

88でぇ~~すwwwwww


「おいッ!! てめぇら、声についてコメントすんなって言ったろッ!?

約束破ったな? エンコじゃッ! 指だせぇッ!!」


しばらく悶絶していた唯だったが、顔を上げ、モニターにて視聴者のコメントを見ると、怒りを露に、強い口調で言い放った。


この初配信見ると、威厳も感じないな

ハッちゃん~~、言葉汚いよぉ~~笑

――もう、ヤクザじゃん(泣 wwww

初配信でこんなに大人しいのに、ここまで変わる人いる??www


初配信の頃と、今の88を比べ、余計に視聴者はそのギャップを、面白可笑しく、楽しみ始め、このままでは埒が明かないと考えた唯は、初配信の動画を止めた。


「――もう、おしまいッ!!

羞恥心で、頭おかしなるぅ~~」


少し涙声な88は、そう言い放ち、次の動画をピックアップしようとする。


「次ぃ~~~。

あ、これぇ! これなら安心してッ……」


88が気になる過去配信を見つけた所で、88の配信に、彼女以外の声が乗る。


「「ちょっと待ったぁ~~ッ!!」」


88の声を遮るように、二人の女性の声が、配信に流れ、視聴者含め、唯も一瞬、驚いた。


そして、そんな割り込みながら入った女性二人は、続けて話し出す。


「長いッ! 長いよ!? ハチ??」

「動画一本流したら、すぐ私ら紹介するって言ったよねぇ~~ッ!?」


88に文句を言いながら入ってきたのは、88が呼んだ、今日の特別ゲストであり、88の古い配信友達である、みっちょんとAQUAアクアであった。


88の古参であるリスナーは、彼女達の声で、すぐに誰か気付き、一部の層のファンが、異様な盛り上がりを見せた。


マジッ!? マジ!?!?

すげ~~~! マジで久しぶりじゃん???

誰?

有名な人??

あぁ。この人達の声、聞いた事あるような……


コメント欄は見事に二つに反応が分かれ、配信に乱入して来た人達を知るリスナーは、特に強い反応を見せた。


「――あぁ~~、ごめんね?

つい、盛り上がっちゃって……。

――――えっとぉ、知らない人もいるだろうから、ちゃんと紹介するね?

私の古い友人である、配信者のみっちょんもAQUAアクアです!」


懐かしすぎるッ!!

みっちょんさん! 俺、歌聞いてました!!

二人共、昔はめちゃくちゃ有名な歌い手さんなんだよなぁ~~

新規税は知らんかぁ~~ 知らんかぁ~~


あまりの盛り上がりに、古参ファンではない視聴者は少しだけ、置いてきぼりを食らったが、88は余計な負担を新規のファンにかけない為に、やり取りを続けていく。


「いやぁ~~、二人共良く出てくれたねぇ~~?

もう普通に、二人共一般人でしょ??」


「ビックリしたよ! 声掛かって!」

「ホント、こっちのセリフだよね? よく声かけて来たね??」


88の配信は、一気に女子会のような雰囲気が出始め、88はコメントを確認し、ゲストの説明を更に続けた。


「最近、私を知ったよ~~?とか。

まぁ、私がレーベル契約した時期に知ったよ?とかの人達は知らないかもだけど……。

二人共、私よりも先に活動してて、当時、ブイブイ言わせてた人達なんだよ??」


「別にブイブイは言わせてないけど……」


「いや、みっちょんは凄かったでしょ? なんか、イベントみたいな所で歌ってたりしたじゃん?

ニヤニヤ超会議、みたいなイベントでさ??」


「それは、AQUAちゃんもでしょ!?

AQUAちゃんも出てたじゃん!?」


みっちょんとAQUAは昔話に花を咲かせ、唯はそんなやり取りを見て、自然と笑みが零れた。


みっちょんとAQUAがゲストで来るとは……

他にもゲストいるんだよね? え?? ちょっと待って? 期待していいのかな??

すげぇ、体がソワソワして落ち着かない

ハチは、今までも連絡取り合ってたの? 配信止めた後も?


「あ、今、コメントで流れたけど、取ってたよぉ~~。

みっちょんとAQUAとは……。

今後、まだ控えてるゲストの中には、最近、連絡取れた人なんかもいるけど」


「私達、引退しても、ハチちゃんは連絡取ってくれて、オフで旅行とかも言ったことあるよね~~?」

「ネズミのテーマパークも行ったし、もう普通に友達だよね??」


みっちょんとAQUAの引退後も、唯は二人と連絡を取り合っており、久しぶりの配信ではあったが、88と二人の距離感は、端から見ていても良い距離感を保っていた。

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