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姉の代わりにVTuber  作者: 下田 暗
第十三章 進む道
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姉の代わりにVTuber 208


 ◇ ◇ ◇ ◇


「ほ、穂高ほだか君がリム……?

ゆ、ゆいさん、なに言ってるんですかぁ~~、そ、そんなはずはッ…………」


唯から、穂高の秘密を伝えられた春奈はるなは。誤魔化すように、笑みを浮かべながら、唯に尋ねるが、春奈のそんな茶化すようなノリには、従う事なく、真剣な表情を崩す事が無かった。


「真実だよ。

穂高は、リムをここ数カ月に渡って、引き受けてる」


「―-な、なんでッ!?」


春奈にとっては衝撃的な事であり、様々な憶測が思い浮かぶが、そのどれもが確証の無い想像でしか無く、春奈は悲痛に近い声を上げた。


「――――ご、ごめん。なんで穂高が、リムを引き受けてるのかは、私からは言えない……。

正直、今の話だって、私から春奈ちゃんに、伝える事では無かったし。

て、てっきり、春奈ちゃんも、もう知ってると思ってたから……」


唯は失敗したと、言わんばかりの表情を浮かべ、確認を取らずに、探りを入れる形で話せばよかったと、後悔していた。


しかし、唯にとっても、春奈に対して、聞きたい事はあった為、会話を辞めるつもりは無かった。


「春奈ちゃんが穂高の秘密を知らなかった事で、今の穂高の契約延長が、穂高の単独での判断っていうのは分かった……。

春奈ちゃんのお願いでもなければ、二人で考えた作戦でもない。

佐伯さえきさんからの指示とも思えないし…………」


唯は俯き気味に、ぽつぽつと独り言を呟いた後、再び春奈に視線を戻した。


「穂高の単独での判断だとしたら、どうして? どうして、春奈ちゃんの為にそこまでリスクを冒すのッ!?

――春奈ちゃんと穂高は、付き合ってるの??」


唯は眉を顰め、少し悲し気にも見える表情で、春奈に訴えかける様に、質問を投げかけた。


「わ、私と穂高君がッ? つ、付き合ってないッ!

――それよりも、穂高君が私の為にリスクを冒してるって、何ッ!?」


唯の尋ねたかった質問の答えは、春奈から返ってきたものの、春奈の状況から、これ以上、唯の話したい話題について、続ける事が困難であり、唯は本来の目的を諦めつつあった。


「――春奈ちゃんは、ホントに何も知らないんだね……。

穂高に悪い事しちゃったな……、後で、なんて謝ろ…………。

春奈ちゃんもごめんね? 何も知らないのに、私が突っ走った結果、変な風に伝えちゃって」


唯は、気力が抜けたような様子で、とぼとぼと歩き始め。屋上を去ろうとし始めた。


校舎へ戻る為、校舎入り口側に立つ、春奈とすれ違い、唯はそのすれ違いざまに、春奈に声をかける。


「――やっぱり、春奈ちゃんとは、友達にはなれそうにないね?

私たちは、仲間どうきでライバルだ……」


唯の去り際の言葉について、春奈は正しく理解する事が出来ず、それどころか、信じられい事実を聞き、春奈はしばらく、その場に立ち尽くした。


 ◇ ◇ ◇ ◇


二日間の文化祭が終わり、穂高は、わけあって空港へと訪れていた。


(――しばらく、忙しくなるので、返信できないかも……かぁ~…………)


穂高は、携帯を見つめながら、春奈との直近メッセージのやり取りを、茫然と見つめていた。


文化祭初日以降から、春奈はそう言ったメッセージを穂高に送り、文化祭二日目に、美絆みき達の案内を手伝ってくれた事から、お礼をしようとしたが、妙に避けられていた。


穂高は、春奈のメッセージを見た後、唯とのメッセージやり取りを確認する。


 唯   春奈ちゃんから、何か聞いた??


 穂高  何かってなんだよ。

     てか、何にも言わずに、勝手に帰ってんじゃねぇ

     心配して探しただろッ!


 唯   草。

     探してくれたんだ~~、優男やさおだねぇ~~


 穂高  もう二度と探さん!


 唯   ごめんごめん、冗談だってぇ~~!

 

 唯   春奈ちゃんから何かあったら教えてッ


穂高は携帯をスクロールしていき、唯のメッセージを最後に、穂高とのやり取りは、途切れていた。


「――何かってなんだよ……」


抽象的過ぎる唯の言葉に、穂高はため息交じりに呟くと、そんな穂高に声が掛かる。


「穂高! 何見てんのッ?

もしかしてぇ~~、女??」


穂高に声を掛けてきたのは、美絆であり、美絆はニヤニヤとした表情を浮かべ、穂高に話しかけてきていた。


「邪推すんな。

友達だよ、友達。

――それより、母さんは??」


穂高は怪訝そうな表情を浮かべ、答えた後、空港に訪れた目的である、静香しずかの事について尋ねた。


「もうすぐ来るって!

――今回の帰国は、いつもより長かったね~~」


「そうか? いつもと同じくらいだろ??」


穂高はそう言いながら、携帯をポケットにしまい、美絆と共に、待ち合わせ場所に移動した。



誤字報告ありがとうございます! 助かります!!

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